徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

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白鷺館アニメ棟

岡山フィルの定期演奏会と県立美術館の「皇室と岡山」展

岡山へ

 昨日は大阪だったが、今日は岡山に向かうことにする。目的は岡山フィルのコンサート。もう少し早朝に出るつもりだったのだが、昨日の疲労か完全に寝過ごして慌てて家を飛び出すことに。

 山陽自動車道は概ねスムーズに流れていたが、例によって岡山ICを降りた後の岡山ダンジョンが走りにくい。岡山ドライバーの運転の下手さはともかくとして、岡山の道路案内はなぜこうも分かりにくい表示になっているのか。右折のために車線変更するべきタイミングが分かりにくい。よそ者を徹底排除する構造になっている。

 とりあえず目的地周辺に到着したが、今度は駐車場を探すのに四苦八苦。どうしたわけか今日は駐車場が満車ばかりである。ウロウロした挙げ句にようやく駐車場を見つけて車を置くが、この駐車場も私が車を置いた途端に満車表示が出る状態。

 さて車を置いて灼熱地獄の中に繰り出した時にはもう既に昼時。何はともあれ昼食を摂る必要がありそうである。ホール裏手の中華料理屋「広東料理 海華楼」に入店。中華ランチの類いでもあればと思ったのだが、メニューは比較的高価な一品料理ばかり。仕方ないので五目炒飯(990円)を注文することにする。

ホール裏手にある「海華楼」

 炒飯はなかなかに美味い。ただCPを考えると、やはり炒飯というメニューだけに大衆中華に対して価格ほどの圧倒的アドバンテージがあるかとなると微妙なところである。

五目炒飯はまずまず美味い

 昼食を終えたところで開演時間までに1時間半以上ある。どうするか迷ったが、最初に予定していた美術館に立ち寄ることにする。

 

 

「美をたどる 皇室と岡山~三の丸尚蔵館収蔵品より」岡山県立美術館で8/27まで

岡山県立美術館

 皇室所蔵の美術品を展示する三の丸尚蔵館の収蔵品から、代表的な作品を展示。現在三の丸尚蔵館が新館建築工事中であることから、各地で行っている巡回展のようである。

 展示されているのは古代の品から近代絵画、さらには工芸品など多彩。古代の品では国宝の「春日権現験記絵」が展示。時代を感じさせない鮮やかな色彩に驚かされる。さすがに収蔵状態は最良なようである。

 また近代絵画では山本春挙の大作屏風のような日本画が目を惹くが、意外なのは近代洋画コレクションが実に多彩であること。松岡壽、高橋由一、原田直次郎などの日本洋画黎明期の作品なども見られるが意外な画家の作品なども含まれていたりする。いずれも献上かお買い上げなどの作品なので、かなり気合いを入れて描かれていることが良く分かるのだが、その分画風などはやや保守的になっている感がある。満谷国四郎の作品なんかも含まれているのだが「おいおい、あんたの画風はこんなのじゃないだろう」と言いたくなるような作品も(その後に画風が変わったようで、その時期の作品もあり)。児島虎次郎の出世作などもあるが、もっと彼らしい作品は、併せて開催されている「岡山の美術展」の方で見ることが出来る。

 また工芸品は溜息の出そうな逸品の数々である。なかには最早現在では制作不可能な作品もあるのではなどと思われ、日本の工芸技術の深さを感じさせられる次第。

 

 

オリエント美術館の喫茶店で一服

 美術館を一回り見学するとホールに向かうが、まだ開演まで余裕があるので喫茶に立ち寄ることにする。立ち寄ったのはオリエント美術館内の喫茶室「イブリク」。ここで出されるというアラビックコーヒーなるものが以前から興味を惹いていたのである。なお喫茶室には美術館に入館しなくても手前から上がることが出来る。

 アラビックコーヒーとは、細かくひいた-コーヒー豆に香辛料のカルダモンを加え、水と砂糖を加えてイブリークと呼ばれる手鍋で煮立てるのだそうな。カップに注ぐとしばし待って粉が沈んでから上澄みを飲むという代物である。私はこれに人気というチーズケーキを合わせる。

イブリクはオリエント美術館の2階

喫茶内からは美術館の入口が見える

 私は通常はミルクコーヒーしか飲まない人間なのだが、このコーヒーは非常に爽やかな感覚を受ける。カルダモンの風味が絶妙に効いている。正直なところ香辛料やハーブの類いはあまり得意ではないのだが、バランスが絶妙で違和感を持たない。私はコーヒーの強烈な苦味は苦手なのだが、それが適度にマスクされている印象。またチーズケーキの甘味がコーヒーと非常に良く合う。

アラビックコーヒーとチーズケーキ

 

 

 しばし喫茶でマッタリとしてからホールへと移動することにする。なお確保しているのは最安席であるので3階である。ちなみにこのホールは登りは階段しかない上に、ホール内も段差が多々という、今時のバリアフリーに真っ向からケンカを売っている斬新なホールであるのでなかなか足に厳しい。残念ながら今の私はこれを一気に駆け上がるということが出来ない状態(息が上がるのが先か、ひざが壊れるのが先か)。

岡山シンフォニーホール

 三階席でステージまでは遠いが、ステージ全体が見渡せるまずまずの席。ザ・シンフォニーホールの三階サイド後列のような見切れ席でないのがありがたいところ。なお入りは8割ぐらいとのことだが、三階後部には高校生が大量に入っており、招待客だろうか?

3階席はかなり高い

 

 

岡山フィルハーモニック管弦楽団 第77回定期演奏会

岡フィルは12型

指揮/デリック・イノウエ
ピアノ/松本和将

リムスキー=コルサコフ/スペイン奇想曲
ラフマニノフ/パガニーニの主題による狂詩曲
チャイコフスキー/交響曲 第4番 ヘ短調

 デリック・イノウエは初めての指揮者であるが、とにかく岡フィルをガンガンと煽りまくるという印象の強い指揮者である。やたらにフォルテッシモでガンガン鳴らしたがる傾向があり、12型でややパワー不足気味の感がある岡フィルが、かなり無理矢理に近い大音量でガンガンと演奏をしているので、いささかうるさい感のある演奏。ただ強弱がピアノとフォルテッシモしかない感があるので、喧しい割には結構一本調子に聞こえる。

 ラフマニノフは、バックのオケがその調子であるからか、ソリストの松本もかなりガツンガツンと弾いてくる印象。力強くてテクニックも華麗なのだが、ガツンガツンしすぎていささか色気に欠ける印象。アンコールでのヴォカリーズでは結構シットリと聞かせていたところを見ると、やはりバックのオケとの絡みの関係でか。

 ラストのチャイコの4番もその調子。最初っから前回フォルテッシモでガンガンと突っ走るイノウエ。岡フィルの方も大変だろうと思うが、金管の崩壊や弦楽陣の息切れなどもなかったようであり、「おっ、岡フィルも技倆が上がったかな」というのが正直な感想である。なお演奏自体はとにかく力強くて熱演と言っても良いものなのであるが、冒頭に言ったようにギアが二段しかない印象なので、やはり一本調子なのは否定できない。イノウエにはもう少し細かく歌わせたりニュアンスを加えるという小技が欲しいところ。結局は最後までドンチャン騒ぎのお祭りで終わってしまったように感じられて、今ひとつの深みが音楽から表現できていなかったように思われる。もっとも岡フィルの実力を引き出すのには効果的だったかもしれないが。