徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

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アニメ関係の記事は新設した「白鷺館アニメ棟」に移行します。

白鷺館アニメ棟

びわ湖ホールで沼尻のマーラーシリーズは「夜の歌」

昨日の余波で朝からグダグダ

 翌朝は7時半に目覚ましが鳴ったが、昨晩は一晩中ウトウトとしただけであり、朝からグッタリとしてベッドから起き上がれる状態でない。結局はそのまま9時前まで再び意識を失い、結局は朝食時間終了ギリギリの9時前に慌てて朝食に出向く。

 朝食は決して品数が多くはないが、和洋両対応でまずくはない。ただ昨日は夕食をまともに取っていないにも関わらず食欲はイマイチである。やはり先日の体調と精神状態の悪さをかなり引きずっている。

朝食は良くも悪くもなし

 部屋に戻ると再びベッドの上でグッタリ。今回の宿泊プランは12時チェックアウトのレイトアウトプランにしてあり、10時からとなりの入浴施設が開くので入浴に行こうと考えていた。しかしこの状態ではそんなどころでなく、しかもまだ身体の火照りがあることを考えると、入浴する気にもならない。結局は12時ギリギリまでベッドの上でダウン。わざわざ温泉施設付きのホテルを確保したにも関わらず、結局は温泉にはほとんど入らずで、また持参していたPCも最後まで開く気力さえないままにチェックアウトすることになってしまった。

 

 

昼食は安直にイオンモール草津の和食店で

 公演は14時から。とりあえずびわ湖ホールに向かうが途中で昼食を摂っておく必要がある。昼食を摂る店を物色するのも面倒(そもそも滋賀にはあまり思いつく店はない)なので、近江大橋手前で巨大なイオンモール草津が見えたので、そこに入ってしまうことにする。

 イオンモール草津はかなり巨大な施設。これだけ巨大施設というと、私が連想するのは阪急西宮ガーデンズぐらい。ただ現在のようにへばりきっている状態では、こういう大きな施設はそれだけ歩く必要があるということで難儀でもある。とりあえずフードコートに立ち寄ってみるが、異様な混雑に食事どころの雰囲気ではないので早々に逃げ出す。

 結局は1階のレストラン街をウロウロ。こちらも結構混雑しているがフードコートほどではない(こういうのも日本人の貧困化の1つの表れではないかと感じる)。一回りしたところで「五穀」という和食店に入店することに決め、20分ほど待つことに。そう言えば西宮ガーデンズにも店名は違うが同じようなコンセプトの店があったことを思い出す。結局は日本人は最後はこの手の和食(昨日のさとのようなインチキ和食でなく)に戻ってくる。

イオンモール内の「五穀」

 

 

 注文したのは「ヒラスの粕漬けの定食」。待ち時間中に事前に注文をしていたので、ほどなく料理が到着する。実にシンプルな和食だが、本来私が食べたかったのはまさにこういう本当の和食である。かまどご飯がありがたい。ヒラスの粕漬けもなかなか良い味だが、添えてある小鉢が美味い。ようやくまともな和食にありつけたという感覚である。

キチンとした和食である

 ただかなりの体調の悪さはまだ引きずっているので、食欲の方が皆目である。結局はご飯もヒラスも1/3ほど残すという不本意な食べ方にならざるを得なかったのである。もう既に13時頃になっていたのでホールへと急ぐ。

 近江大橋を渡ってからの渋滞にややイライラしたが、そう遠い場所ではないのでほどなくホール近くの駐車場に到着する。ホールに到着したのは開演の30分前ぐらい。大ホールは上階には客は入れていない様子であるが、まずまずの入りである。

大ホールにゾロゾロと入場中

 

 

マーラー・シリーズ 沼尻竜典×京都市交響楽団

ステージを拡張していないので、やや狭苦しい感覚がある

沼尻 竜典(指揮)
京都市交響楽団

マーラー:交響曲第7番 ホ短調「夜の歌」

 マーラーの比較的演奏されやすい歌なし交響曲の中でも、演奏頻度が決して高いと言いがたい作品の登場である。そもそも演奏頻度の低さは構成が悪いの、まとまりがないのとの悪評から起因しているところでもある。実際に沼尻もそのような点は演奏で何とかするという主旨のことをプレトークで語っている。

 さて第一楽章であるが、冒頭から沼尻は少々ひねってきているのを感じる。音のバランスやテンポなどに細かいひねりが見られる。ただしそれは音楽を明快にするというよりも、マーラーのこの混沌とした交響曲をそのまま混沌として披露している感がある。いかにも錯綜したカオスな世界がここに存在するといわんばかりである。

 そして第二楽章がこの曲が夜の歌と言われる所以でもある夜曲であるのだが、風情のある牧歌的な雰囲気の曲である。京都市響の緻密な弦楽陣が能力を発揮する曲調でもある。沼尻は京都市響のその特性を把握した上で効果的に演奏している。

 若干悪魔的なスケルッツオはややメリハリを効かせて、続く2つ目の夜曲は静かな曲調の中でギターの音色が地味に映えている。この辺りは沼尻はキチンとギターの音色が届くようにバランスに配慮しているようである。穏やかな美しい音楽である。

 最後は乱痴気騒ぎとも言われる第五楽章。下手をすれば野蛮な正真正銘の乱痴気騒ぎで終わりかねない危険のある曲なのだが、沼尻はそこのところは節度を持って「制御の効いた乱痴気騒ぎ」でブイブイとぶっ飛ばすという印象である。メリハリの効かせた内容で、そのまま大盛り上がりのフィナーレに持っていった。

 場内の盛り上がりはなかなかに爆発的なものがあったが、まあそれも妥当なまずまずの名演であった。


 以上、自身が体調を崩したせいもあって、かなりグダグダ感のあった今回の遠征であるが、コンサートの内容自体は共にかなり満足度の高い物であったので、それが最大の救いである。もっとも既に体力的には限界に達しており、この後の帰りの運転は気が緩んだら車が壁に寄っていくというかなりヤバい運転となってしまって、自分自身でもヒヤヒヤものだった。今年の夏の暑さは侮ってはいけないと痛感。

 

 

この遠征の前日の記事

www.ksagi.work