徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

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白鷺館アニメ棟

月岡芳年展と大阪交響楽団のコンサートに行ってから、京都の本願寺のホテルで宿泊

この週末は大阪・京都方面

 この週末は大阪・京都方面へとコンサートに出向く。土曜日は大阪交響楽団の名曲コンサートである。本来ならこれのためにわざわざ大阪まで出向くという選択肢はないが(私は以前から大阪交響楽団に対する評価は低い)、明日は京都に出向くついでというのと、今回はベートーヴェンのピアノ協奏曲チクルスということで立ち寄ることにした。なお山下一史が就任以降、大阪交響楽団も上り調子にあることを感じていたので、それを確認しようという意味もある。

 名曲コンサートはホール代を節約するためか、以前より同日のダブルヘッダーで昼の部が13時半からというやや早めの時間帯で、夜の部が17時から開催される。私はその午前の部に参加することにした。なお出発は午前中にして、ホール前に一軒、美術館に立ち寄る予定である。

 

 

「月岡芳年」芦屋市立美術博物館で10/9まで

芦屋市立美術博物館

 奇想の画家・歌川国芳の弟子にして、江戸時代末期から明治にかけて活躍して「最後の浮世絵師」との評もある月岡芳年の展覧会である。なお月岡芳年は私が河鍋暁斎と共に注目している画家でもある(河鍋暁斎も「最後の浮世絵師」と言われていたりするのだが)。

最後の浮世絵師と呼ばれている

 芳年と言えば豪快な武者絵や芝居絵、さらには血みどろ絵と呼ばれる残酷で壮絶な絵画などで特に知られているが、本展では芳年のそのような作品よりも、もっとおとなしくて正統派な美人画の類いなどを含んだジャンルの作品を中心に展示している。

芳年の絵画と言えばこの手の作品のイメージが強いが

 芳年の作品は明らかに浮世絵の伝統を踏まえているのであるが、そこにはやはり幕末から明治にかけての時代の流れも反映している。いかにも定型的な浮世絵表現にとどまらず、あからさまに西洋画の技法の影響を受けた作品なども多く見受けられ、芳年独自の伝統を踏まえた上でのリアリティー表現というものが随所に見られる作品群となっている。また画題の方も日本髪に洋装の女性の像があったりなど、明治という時代の雰囲気も現れている。

 代表作とも言われる「月百姿」などは、伝統的な浮世絵的な作品から、山水画的な作品、さらには西洋的な写実がメインである作品などが入り混じり、芳年独自の落ち着いて美しい世界を形成している。

 一般的な芳年像とはやや異なる芳年の世界を堪能できることで、この画家のことをさらに深く知ることができる展覧会となっていた。実に興味深い。


 展覧会の見学を終えると既に12時近くになっていたのでホールに向かって急ぐ。流石に渋滞などはなくスムーズにホール近くまでやってきたのだが、大変なのはそれからだった。駐車場がことごとく塞がっていて車を置く場所がない。結局は空いている駐車場を求めてウロウロ。空いていると思えば20分200円で上限なしとかいう超ぼったくり駐車場だったりで、妥当な価格の駐車場を探して辺りをグルグルと20分近く回る羽目になってしまう。

 

 

昼食は久しぶりに寿司にする

 ようやく許容範囲の駐車場を見つけて車を置くと開演までにまずは昼食である。何を食べるかだが、今日は気分として寿司でも食いたい。というわけで「元祖ぶっちぎり寿司魚心」に出向いてランチメニューの「ぶっちぎりセット」を注文する。

高架下の「魚心」に寿司を食べに

 まあ寿司は美味いんだが・・・若干ネタのボリュームが低下した気がする。ここにもアベノミクスの悪影響か? 店内も大入りからは程遠い雰囲気だし、どうもこの店の今後が危ぶまれる。そう言えば前を通りかかってメニューを覗いていた子連れ夫婦が「やっぱり少し高いな」と呟いて入店せずに帰っていくのを見た。やはりバラマキメガネこと岸田内閣の悪政のせいで、日本人の貧困化が加速度的に進んでいるようである。このままいけばカルトの目論見通りに日本は滅びそうだ。

何となくネタのボリュームが減った気がする

 昼食を終えるとホールに向かう。もう開演までに30分ぐらいしかない。ホール内には結構の人影がある。私の席は2階の正面席だが、ここから見た感じでは5~6割程度の入りか。ダブルヘッダーであることを考えるとまずまずの入りのようである。

ホール入りする

 

 

大阪交響楽団 第128回名曲コンサート ◇昼公演◇

[指揮]山下一史
[ピアノ]菊池洋子
[管弦楽]大阪交響楽団

ベートーヴェン:「プロメテウスの創造物」op.43 序曲
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲 第3番 ハ短調 op.37 
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲 第4番 ト長調 op.58

今回は2階正面席

 一曲目はベートーヴェンの序曲。相変わらず大阪交響楽団の弦楽陣には斉奏時に若干の音色の濁りがあるが、以前に比べるとずい分良くなった。いささかゴチャゴチャした感のあるが、元気のある演奏である。演奏に活力があり、そういうところは数年前よりもかなりの進歩である。

 さてピアノ協奏曲の3番であるが、菊池のピアノは細かい揺らしなどはあるが、あまり極端ではなく、比較的オーソドックスに聞こえる演奏である。それに対する大阪交響楽団の演奏もかなりオーソドックスに徹している。トータルで言えば特に不可はないのであるが、かと言って強烈なアピールもない演奏で終わってしまった感がある。

 休憩後の4番も基本的に同じ路線。菊池のソロピアノで始まる協奏曲はなかなかに美しくはある。そしてバックのオケもそれなりにまとまっているとは感じる。ただ残念ながらそこまでで終わってしまって、もう一歩ぐっと掴まれるものがないというのが本音である。

 大阪交響楽団も、一昔前のあからさまに下手という状態からは脱したことを感じる。あからさまに音程が狂ったり、音色が濁ったりということはなくなったように思われた。ただ何というか残念ながらまだ音楽にもう一段の深みを感じさせる域には達していないという感がある。無難に演奏を完成させるという領域にまでは達したが、そこからの音楽性である。その辺りは山下一史もそうキャラが濃い指揮者ではないということもあるのであろうか。

 

 

京都の本願寺のホテルで宿泊

 コンサートを終えると明日に備えて京都に移動することにする。明日は京都コンサートホールでのコンサートなので、今日は久しぶりに京都に宿泊することにしている。選んだホテルは聞法会館。西本願寺に隣接している宿坊というか、あからさまにホテルである。一応私は信仰心皆無の浄土真宗門徒であるので宿泊の資格があるというか、そもそも別に門徒でなくても普通に宿泊できる。とりあえず京都で駐車場があって高すぎないホテルという条件で探したらヒットしたのがここだったというだけの話である。

聞法会館

 聞法会館は西本願寺の北に隣接している。駐車場に車を置くとチェックイン。部屋はトリプルルームのシングル使用ということなので無駄に広い。

トリプルルームなので無駄に広い

 設備的には空調が集中管理ということで、細かい温度設定が効かない辺りは設備の古さを感じるが、別に部屋自体や水回りなどに汚さはない。まあまあのホテルというところか。

 

 

本願寺を駆け足で散策

 荷物を置いたとこで周囲の散策に出るが、このホテルの一番の難点は周囲に飲食店やコンビニの類が非常に少ないことである。その代わりにあるのは、本願寺の参道筋に多数の仏具屋。まあ数珠などの調達には困らないが、調達の予定はない。

 本願寺の参道筋の先にあるのが伝道館だが、これはレンガ造りの洋館という意表を突かれる建築。元々は明治28年に設立された真宗信徒生命保険株式会社の社屋だったとか。洋風材料による建築だが、日本建築の様式を取り入れるというコンセプトで建設されているという(と言っても赤煉瓦のインパクトが強すぎて、よくよく見ないと日本建築の伝統とやらは見えてこないが)。

伝道館は赤煉瓦建築

 ここから総門があって、国道をまたぐ形で先にあるのが御影堂門。ここからが本願寺の境内となる。

手前の総門から、国道をまたいで奥の御影堂門

御影堂門

 

 

 本願寺を覗くがもう閉門の5分前になっていたので、参拝などというものではなくてグルっと視察するだけ。正面が御影堂で、その右隣につながっているのが阿弥陀堂である。左手には最近修理が終わったという飛雲閣が見えているが、ここは通常非公開。なかなか面白そうな建物であるのだが。

左手に見えるのが飛雲閣

正面が御影堂

隣が阿弥陀堂

両伽藍はこういう位置関係

 

 

 非常に巨大な伽藍であることに感心しつつ、阿弥陀堂門から出てくる。この阿弥陀堂門は彫刻などが施された凝った門である。

阿弥陀堂門

かなり派手だ

扉にまで細かい彫刻

外側から

 周囲が完全に堀になっていることに関心。確かにちょっとした要塞だが、それでも明智の軍勢に包囲されたらひとたまりもなかろうなんてことが頭を過る。

周囲は堀で囲まれてちょっとした要塞

 本願寺の鬼門の方向にあるのが太鼓楼。まさに櫓のような建物だが、幕末には新選組の屯所になったこともあるとか。

隅櫓のような太鼓楼

 

 

夕食は地下のがんこ

 本願寺を5分で見学すると本願寺前のローソンに立ち寄って夜のおやつを少々調達して戻ってくる。さて夕食だが、ホテルの地下に和食がんこがあるようなので、面倒くさいのでそこで済ませることにする。HPで調べた時には3000円以上のコースしかないような雰囲気だったのだが、実際に覗いてみると1000円台のそば定食などもあるようなので普通に使えそうである。ただ夕食オープンの17時を少し回った頃に訪問したのだが、満席と言われる。18時から台湾からのツアー客団体の予約が入っており、一般客用の席は3席ほどしか残っていないのだとか。しばらく待ったがすぐに空く様子もないことから、空いたら部屋に電話してくれるように頼んで一旦部屋に戻る。

地下の「がんこ」

 部屋に戻ってしばしこの原稿を書いていたら電話がかかってきたので夕食に出向く。注文したのはまあ京都だからにしんそばの定食。

にしんそばの定食

 まあ特に美味いというほどではないが、かと言ってまずくもない。典型的な可もなく不可もなくという内容。まあ最初から特別に期待はしていなかったのでこれで良しだろう。京都は調べて選んだら美味しい店もあるんだろうが、とにかく調べるのが面倒な上に、美味しい店は概して支払いが高めであるから、結局は私の京都飯はいつも極めて適当になってしまうのである。

 

 

大浴場で入浴してから休む

 夕食を終えると大浴場に入浴に行く。このホテルのポイントの一つは大浴場があること。入浴は夜の22時までとのこと。朝風呂がないのが難点だが、まあその日の汗を手足を伸ばして流せるだけでもかなりありがたい。今日は確保した駐車場がホールよりもやや遠かったうえに、寿司屋がホールの真反対側だったことなどからなんだかんだで意外に歩いている(本日9000歩)ので足腰にダメージが結構ある。

大浴場

 汗を流してさっぱりしたら原稿執筆の続き。しかし入浴してホッとしたら眠気がこみ上げてくるのでなかなか進まない。結局は適当なところで見切りをつけることになる。

 

 

この遠征の翌日の記事

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