徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

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白鷺館アニメ棟

デュメイ指揮の関西フィルでモーツァルトの作品を

デュメイ指揮の関西フィルを聴きに

 連日の外出となるが、今日は大阪まで関西フィルの公演を聴きに行くことにする。今回は定期演奏会でなくいずみホールシリーズ。前回のいずみホールシリーズはデュメイは足の不調で来日不可だったので、久しぶりにデュメイの指揮を聴くことになる。

 午前中に家を出ると車で大阪に移動。阪神高速は珍しいほどに順調で、このままだと現地には予定よりも早すぎるタイミングで到着しそう。そういうわけなので途中の京橋SAで昼食を摂ることにする。いつもは1階の中華料理屋の方ばかりなので、今回は3階のレストラン「神戸6番館」の方に行って、カツカレーを食べることにする。

京橋SAの「神戸6番館」

 味はまあ普通(美味くもマズくもないというところ)、価格が明らかに高めなのは仕方ないところか。まあまともなカツが載っているので良しと言うところだろうか。

カツはまずまず、カレーはまあまあ

 

 

 しばらく時間をつぶしてから再び大阪を目指したが、今日はどういうわけか阪神高速が異常に順調であり、駐車場の予約時間よりも30分早く現地に到着してしまったことから、しばし道路脇で時間をつぶしてから駐車場に車を置く。

 これから開演まで1時間半あるが、その間に一ヶ所立ち寄り先がある。いずみホールと言えば近くにあるのは山王美術館。今はまた新しい出し物になっているはずなのでそれを見学することにする。

ホテル隣の山王美術館

 

 

「山王美術館コレクションでつづる 横山大観・梅原龍三郎展」山王美術館で'24.1/29まで

 横山大観の作品については初期の朦朧体と言われた頃から、戦後の作品まで幅広く展示している。ただし作品自体は足立美術館のような見応えのある大作ではなく、サクッと描いた印象の作品が多い。そのせいか、今ひとつこっちにグッと迫ってくる感覚がなく、個人的にはあまりピンとくる作品はなかったというのが本音。

 一方の梅原龍三郎はどらちかといえば私の苦手な油絵の具厚塗り系の画家。彼はルノワールと交流があり、日本での油絵はいかにあるべきかをかなり模索したという。展示品には花の絵が多数あったが、どちらかと言えば人物画よりも花の絵の方が面白い。なお晩年になって厚塗りをしなくなったと思っていたのだが、それは画材として岩絵の具をポリビニル系溶剤で溶いて使用するようになったので、水性塗料になって重ね塗り出来なくなったからだとか。日本向けの油絵を模索する内に、段々と日本画に近づいていったようである。そういうような点などは興味深かった。

 実は一番面白かったのは、併せて展示されていたコレクション展の方。黒田清輝の作品や、金山平三、小磯良平などの作品が展示されていて非常に面白い。またルノワールにボナールの興味深い作品に、平櫛田中の木像彫刻など、非常に見応えのある内容であった。
 正直なところ横山大観については「量産型大観作品」という感じで今ひとつだったが、梅原龍三郎が予想に完全に反して意外に面白かったのと、コレクションの方が見応えがあってなかなかだった。ちなみに今回の展示作もすべてこの美術館の所蔵品なのだから、ある意味で恐ろしい美術館である。

 

 

 美術館を後にすると既に開場時刻を過ぎているのでホールへと急ぐ。それにしてももう9月も終盤にさしかかっているに、未だに結構暑い。日陰だと風に涼しさを感じることもあるが、日向に出るとすぐに身体が焼ける。

いずみホールが遠くに見える

 ホールに入場すると10月に実施するヨーロッパ公演の寄付を募集している。例によって私が出費出来るのはチケット代が限界。ところで今回の公演は8-6-5-4-3の関西フィルコアメンバー構成なのだが、恐らく渡欧メンバーはこの顔ぶれになるんだろう。またちょうど今回のプログラムと前回の定期のプログラムはヨーロッパ公演プログラムの予行でもあるようである。

 

 

関西フィルハーモニー管弦楽団 住友生命いずみホールシリーズVol.56
デュメイのモーツァルト・マスターシリーズ2

中規模編成なのでいずみホールのステージに普通に収まる

指揮:オーギュスタン・デュメイ(関西フィル音楽監督)
ピアノ:児玉 桃

モーツァルト:歌劇「フィガロの結婚」序曲 K.492
モーツァルト:ピアノ協奏曲第21番 ハ長調 K.467
モーツァルト:交響曲第40番 ト短調 K.550

 

 久しぶりのデュメイの指揮である。今回は椅子に座っての指揮となる。

 フィガロについてはややテンポが速めのかなりメリハリの強い演奏である。デュメイ独自のアクセントや弦楽器の鳴らし方など、相変わらずのデュメイのクセのかなり出た演奏である。全体的にグイグイと進む印象の演奏である。

 ピアノ協奏曲については児玉の縦横で軽妙な演奏に尽きる。まさに軽業師のような演奏であり、軽快にガンガンと音楽を進める。いささか軽すぎの感もなきにしもあらずだが、ことモーツァルトとなるとこれがピタリとハマる。なかなかに圧倒されるものがあった。

 なお児玉の軽業師ぶりはアンコールでさらに発揮。児玉が選んだのは「展覧会の絵」から「卵の殻をつけたヒナの踊り」。まさにまんまの軽業そのものの演奏であった。

 休憩後のモーツァルトの40番は、やや哀愁を帯びた短調の交響曲であるが、その哀愁はあまり表に出てこない印象。それよりもやや速めのテンポでグイグイと行くという雰囲気が強い。こういうテンポで演奏すると、モーツァルトの古典派的要素の方が前に出てくる印象である。デュメイの演奏は以前からドイツ正統派の演奏と言われているのだが、今回のモーツァルトを聞いていると、確かにその通りだと感じる。関西フィルのアンサンブルをしっかりと固めた上で、活力があって推進力の強い整然とした演奏である。


 さすがにデュメイと言ったところか。まず満足の出来る内容だったのである。