徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

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白鷺館アニメ棟

大フィルのメンデルスゾーンチクルス第3弾は「スコッチ」

大フィルのメンチク第3弾

 今日は大阪まで大フィルのメンチクに繰り出すことにした。第3回目となる今回は、私の好きなスコッチがプログラムに入っている。ちなみに今日は九州交響楽団のポリャンスキーの公演もある。正直なところ、私としてはそっちの方に行きたかったのだが、先にこの日が大フィルのメンチクで埋まっていた上に、そもそも現在の私には北九州まで遠征に出る財力が全くない(時間的に宿泊も必須だし)ということで残念ながらそっちはパスである(これに行けるぐらいの経済的余裕があるなら、多分先日のコンセルトヘボウのチケットを確保している)。ただカーテンコールのライブ配信のチケットは取ってあるので、後でアンコール配信を視聴したいと思っている。

 仕事を早めに終えると大阪まで車で移動。例によって阪神高速は渋滞だが、まだ今回はマシな方か。大阪には予定よりも若干早めに到着。車を置いてホールにたどり着いた時にはまだ開場前であった。余裕を持って夕食を摂る店を探すことに。

ホールはまだ開場前

 

 

 と言ってもホール周辺は選択肢は少ない。頭には「イレブン」もあったのだが、生憎と本日は休業。となると必然的に行く店が決まってしまう。結局は「福島やまがそば」で毎度のように「そばセット(900円)」を注文することに。

いずこも人手不足のようである

 店内は満席で私は相席である。しばらく経って18時を過ぎた頃に続々と客が店から出て行って半分ぐらいになる。どうやらほとんどの客が私と同じ目的ではないかと推測される。私もそばセットを腹に入れると18時過ぎに店を出る。

そばセットを腹に入れる

 開場時刻をしばらく過ぎたこともあるのか、ゲートは混雑が全くない状態だった。会場内もロビーを見ている限りではそう人影が多いとも思えない。とりあえず開演まで喫茶で時間をつぶすことにする。

入場ゲートは人影があまりない

 

 

 喫茶でアイスコーヒーと高級チキンサンドを注文してマッタリする。私も若い頃はCP重視主義でホールや美術館の喫茶は徹底して避けていたんだが・・・年を取って体力低下だけでなく、精神的にも堕落してしまったものである。

喫茶で時間をつぶす

 開演時刻が近づいたところで座席へ。今回は大フィルであるので先日のチェコフィルのような見切れ席ではなく、一階のまずまずの席を確保している。会場の入りは6割程度でやや寂しい。関西のクラシックファンは今日は大挙して九州に行ってるんだろう(笑)。

今日は結構入りが寂しい

 

 

メンデルスゾーン・チクルスⅢ~メンデルスゾーンへの旅~

[指揮]尾高忠明
[ピアノ]河村尚子
[管弦楽]大阪フィルハーモニー交響楽団

メンデルスゾーン:
序曲「フィンガルの洞窟」op.26
ピアノ協奏曲 第2番 ニ短調 op.40
交響曲 第3番 イ短調 op.56「スコットランド」

 一曲目のフィンガルの洞窟は最初の海のさざめく雰囲気からまずまずである。この曲は往々にしてこの表現で弦楽がバラバラになってしまうオケが少なくないのだが、大フィル弦楽陣は一丸にまとまってなかなかに端正な演奏をしている。

 メンチクでは尾高は一貫してかなりロマンティックな表現を取っているのであるが、本曲に関してはやや古典寄りの端正な演奏に振っていたような印象を受けた。尾高のことだからもっとうねらせてくるかと思っていたのだが、その辺りは予想外。まあ結果としては無難な演奏になったという気もする。

 2曲目はメンデルスゾーンのマイナー曲。彼はヴァイオリン協奏曲は超有名であるが、ピアノ協奏曲は知名度はほぼない。まあその理由は先に第1番を聴いた時に何となく理解出来たのであるが、実は同じことはこの第2番にも言える。曲の調子は第1番に近い。

 冒頭はいきなりロマンティックでメランコリックに始まるのであるが、やがて曲が進むにつれてピアノのタッチがやたらに増えていって、曲の雰囲気も変わってくる。とにかくやたらにピアノセッションの音が多いのが第1番と共通する特徴。それ故に煌びやかな感じはあるのだが、メロディが表に浮かんでこないので、ヴァイオリン協奏曲のように観客に訴えるキャッチーなフレーズがない。結果として曲全体の印象が薄いことになる。この辺りはむしろ旋律ラインがハッキリした曲の多いメンデルスゾーンにしたらむしろ異色である。その辺りが今ひとつの馴染みにくさにつながっている。

 さて河村の演奏であるのだが、そこのところは技術的には流石で、このやたらに音の多い協奏曲を全く何の問題もなく弾きこなしており、さらには情緒的なものも込めてくる。とは言うものの、元々の曲自体が結構クールなのであまり情感タップリに歌える部分が少ないというのが何となく不完全燃焼な感じになってしまう。

 河村のアンコールはシューマンの「子供の情景」だったんだが、やっぱりこういう曲の方が普通にロマンティックに歌えて彼女らしい。

 

 

 後半はオケを14型に戻してスコッチこと交響曲第3番である。予想通りというか期待通りというか、冒頭からかなりロマンチックな演奏である。とは言うものの、過度に情緒に溺れるわけでもないややクール目の演奏であると言える。

 今日の大フィルはとにかく弦楽陣のまとまりの良さが際立つ。このスコッチに関しても一丸となった弦楽陣がグイグイと来るという印象で、それがこの曲特有のほの暗い情緒を盛り上げてくる。

 第2楽章は暗さが影を潜めて美しい音楽となる。なかなかによく歌わせると思うが、ここでもやはり溺れはしないややクールなスタンス。この曲はとかく過度にロマンティックになる演奏もあるのであるが、どうも尾高はそうなることは避けているようであり、ロマンティックではありながらも、基本的に古典派の要素を残しているメンデルスゾーンというスタンスは守っているようである。

 第3楽章は怒濤の快進撃であるが、重くならないようにかと言って軽快にグイグイという雰囲気ではない中庸というところか。そして堂々たるフィナーレにつながる。

 間違いなく平均点以上の演奏ではあり、非常にまとまりが良くて特にこれという難点をつけようという演奏ではないが、正直なところその割にはこちらにグイグイと迫ってくる「つかまれる」という感覚がなかったのも本音。私の好きな曲だけに、もう少し感情的盛り上げが欲しかった感はある。その辺りが若干物足りなさもあったというのが本音ではある。


 帰りにチケットカウンターの方に立ち寄ってチラシを見たが、来年にワルシャワ国立フィルが来日するというので価格を見てみたら、A席18000円に絶句。元々ワルシャワ国立フィルは12000円ぐらいでCPが良いオケだったのであるが、ワルシャワでこのレベルとなるともう手が出せない。アベノミクスの副作用(というよりも、本来の作用であるのだが)による狂乱円安のせいである。あんな無能を国のトップに据えてしまったばかりに・・・。安倍は爺さんもなしえなかった憲法改悪を実施することで歴史に名前を残したいと考えていたそうだが、このまま行けば確実に亡国の宰相として歴史に名前を残しそうである。