徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

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白鷺館アニメ棟

連休初日はデュメイ指揮の関西フィルのモーツァルトのジュピター

連休はコンサートに出かけるが・・・

 この飛び石休は模範的プロレタリアートたる私は、組合からの呼びかけに応じて金曜日に年有を取得して四連休とすることにした。国を挙げてワークライフバランスが唱えられる昨今、やはり愛国者たる私はその意向を尊重すべきだろう。

 さて連休となればやはりコンサート。本来ならどこかに遠征でもしたいところだが、現在の私にはそんな経済的余裕など全くない状態であり(そんな余裕があったら、ベルリンフィルやコンセルトヘボウに行っている)、仕方ないのでいつもの大阪安宿お籠もりである。例によってのしょぼいお出かけだが、それでも日頃の様々なストレスからは逃避できるだろうという考え。

 木曜日は午前中の内に家を出発して・・・のつもりだったんだが、またも寝過ごして昼前まで寝てしまった。以前はサラリーマンの習性として、何時に寝ても7時前には自動的に目が覚めたのだが、どうもストレスの多い日常と年齢から来る衰えは、私のサラリーマンとしての習性まで破壊したようだ。果たしてこれで後何年働くことが出来るやら。今の政府が「働けなくなった老人は直ちに死ぬべき」という政策を推進している以上、私の将来には明るい展望は全くない。

 

 結局は昼までに考えていた計画はすべてすっ飛ばしてホールに直行することにする。そうなると今度はやや時間に余裕があるのだが、こういう時に限ってスムーズに流れるのが阪神高速。予定よりもかなり早めにいずみホールに到着する。

 しかしいずみホール手前辺りから嫌な空気が漂い始める。道路の左側が路駐の車でびっしりである。途中の駐車場も満車表示が出ている状態。どうやら吉村が万博の集金目的で便乗企画した阪神タイガースの優勝記念パレードの余波がここまで及んでいる模様。まさかと思いつつそのままホールまで走ったら、嫌な予感的中でホール駐車場まで満車、急遽の予定変更を余儀なくされる。

 

 

とりあえずホテルに直行することにする

 全く想定外という事態でもなかったので、変更計画はただちに決定する。まだ開演まで時間に余裕があるのを活かして、先に宿泊予定ホテルに直行することにする。今日のホテルは新今宮のホテルみかど。大浴場タイプのホテルである。まだチェックイン時刻まで早かったが、ダメ元で交渉してみるとチェックイン可。これ幸いと車と荷物を置いてからJRでいずみホールへ向かうことにする。結構な手間だが、まあいずみホールの駐車場代と往復のJRの料金の差額が浮いたと考えるべきか。

新今宮のホテルみかど

 とりあえずホールに向かう前に手早く昼食を摂りたい。オムライスでも食べようかと南自由軒を訪問したんだが・・・店の感じが微妙に違う。何やらもつ鍋屋の模様。流石に昼からもつ鍋食う気も時間もなければ、そもそも私はもつ鍋は好きではない。「すみません。間違えました。」と頭を下げて店を後にする。南自由軒閉店したのか? 頭の中が「?」で一杯だが、時間がないのでとりあえずホールに直行することにする。

 ホール到着は開演の1時間前ぐらいだが、とりあえず今日はまだ何も食べていないのでどこかで昼食を摂りたい。プラプラと近くのIMPまで歩いて行くが、ここも大混雑。ラーメンでもと考えていたのだが、ラーメン屋は行列。ここならまさか行列はなかろうと考えていた「そじ坊」まで待ち客がいる状態で、段々と馬鹿らしくなると共に腹も立ってくる。仕方ないのでとりあえずファミマでおにぎりを購入して腹に入れることにして引き返す。

いずみホールまで戻ってくる

 

 

ここでもまさかのトラブル

 ホールは既に開場時刻になっている。しかしここでまたトラブル。どうやらデュメイが腕の不調で指揮のみの出演となって辻彩奈が代演とのこと。説明によると先日の昼の練習の際に、デュメイが腕の痛みを訴えて今日の演奏が不可能という判断になったそうだ。これは事務局はてんやわんやになったことは間違いない。デュメイの演奏を聴きに来た観客を納得させるには、半端な奏者だと顰蹙ものだし、そもそも前日の夕方に出演依頼して、翌日にこのプログラムを問題なく弾きこなせる奏者でないと話にならない。そういう意味ではよくぞ辻彩奈を確保できたもんだというところか。

奏者変更の案内

 もっとも今期のいずみホール公演はデュメイシリーズだったはずなのだが、第1回はデュメイが足のトラブルで来日不可、第2回は予定通りの開催だったが、第3回の今回がデュメイは指揮のみという半分だけ内容。トータルで見ると3回中でデュメイは1.5回ということで、内容がかなりまずい状況ではある。デュメイも御年74歳。指揮者としてはまだまだこれからかもしれないが、奏者としては大分しんどくなってくる頃かも。それもあるのか、本日公開された来年度のプログラムでは、デュメイの登場は年に2回で、いずみホールシリーズもデュメイ指揮のセレナーデばかりになっている。

 開演までの時間は喫茶でアイスコーヒーに高級サンドイッチのセットでつぶす。さすがにおにぎり1つではしんどい。これでまた無駄な出費ではある。

アイスコーヒーと高級サンドイッチ

 

 

関西フィルハーモニー管弦楽団 住友生命いずみホールシリーズVol.57

ホールに合わせて小編成

オーギュスタン・デュメイ(指揮)
辻 彩奈(vn独奏)
関西フィルハーモニー管弦楽団

モーツァルト:アダージョ ホ長調 K.261
       ヴァイオリン協奏曲 第5番 イ長調 K.219 「トルコ風」
       交響曲 第41番 ハ長調 K.551 「ジュピター」


 関西フィルは8-6-5-4-3型の2管編成の正団員で固めたいわゆる関西フィルコア編成。それだけにアンサンブル力は高く、非常にまとまりの良い演奏を展開する。そしてやはりソリストの辻彩奈である。その演奏は非常に力強く、それでいて透明感が高い綺麗な音色を出す。またカラーも基本的に陽性であり、実にモーツァルト向きという印象を受ける。

 彼女自身も今回の公演はほとんどぶっつけ本番に近い状態だと思われるのだが、オケとの絡みも問題なく、しかもソリストの味も十分に出ている。オケとの絡みが破綻しない範囲で、個性を発現させた演奏である。その音色の美しさが十二分に発揮されたのが最初のアダージョである。

 そして2曲目のヴァイオリン協奏曲になると、目まぐるしい旋律の波の中で、しっかりと歌うところは歌わせてくる彼女の演奏が光る。デュメイもしっかりオケに目を光らせたうえでソリストの演奏に合わせてきているのが感じられる。ソリストのダイナミックレンジも広く、非常に聴きごたえのある演奏である。

 流石、日本のヴァイオリニストの第一人者の一人、辻彩奈と言うべきか。準備不足など一切感じさせない見事な演奏であった。確かにデュメイの濃厚な演奏を聴きたい気もあったが、これはこれで一服の清涼剤のような爽やかな演奏でなかなかに良かったのである。

 後半はデュメイ指揮によるジュピター。やはり前半はソリストと合わせる必要性もあることから、ややデュメイ節は控えめであったその鬱憤を晴らすかのように、冒頭からかなり濃厚なデュメイ節が炸裂する。

 独特のテンポの揺らし、時折入るかなり極端な音量変化などはいわゆる典型的なデュメイ節。かなりクセのある演奏であるが、それでいて説得力があって音楽の表情が多彩になる。そしてデュメイの指示に的確に追従して全く乱れないのが流石に関西フィルである。長年のデュメイとの信頼関係と言うべきであろうか。

 第一楽章は特に濃厚な表情付でかなり独特という印象を受けるもの。そしてややアップテンポ気味の第二、第三楽章へとつながる。その後の怒涛のフィナーレは、時折効果的に全休止が入ったりなど、非常にメリハリが強い引き締まった演奏である。久しぶりにかなり濃厚なデュメイ節を堪能したという印象である。

帰りに見かけた大阪城の夕日

 

 

夕食は新今宮で

 コンサートを終えると新今宮に戻ってくる。ホテルに戻る前に夕食に「らいらいけん」に立ち寄る。「日替わり定食(800円)」を注文。今日の料理は豚肉のうま煮とのこと。

らいらいけんを訪問

 正直なところ私が予想していた料理とは内容が違ったのだが、これはこれで美味い。また自然に野菜も摂れるようになっているのが、何かと野菜が不足しがちになる私にはちょうど良い。こうして超ハイCP夕食を終えるとホテルに戻ってくる。

800円の日替わり定食

 ホテルに戻るとしばしマッタリしてから大浴場に向かうことにする。今日も体が疲れているうえに、長時間運転のツケが腰に来ていて腰の様子が怪しい。そこで浴槽内で体を十分に伸ばしておく。ようやく生き返る心地。

ややせまっ苦しいが仕事環境構築

 入浴を終えると仕事環境を構築してから今日の原稿執筆。こうして落ち着いてみると気になってきたのが「南自由軒」がどうなったのか。そこで調べてみたところ「南自由軒、移転」というキーワードが引っかかってくる。ああ、そうだったのかと思ってページを確認してみるが、よくよく見たら日付が10年前になっている。いよいよ「?」で頭が一杯になったので、Google mapで調べるとほんの一か月前の口コミが掲載されており、Googleが把握している限りでは閉店の様子がない。もうこうなると現地を再調査するしかない。部屋着に着替えていたのを外出着に着替えなおすと再び出かけることにする。

 

 

南自由軒は生きていた

 現地に到着してようやく謎が解けた。結果から言うと南自由軒は何の問題もなく営業していた。何を寝ぼけたのか、私は昼には南自由軒の巨大看板を目にしながら、なぜか隣のもつ鍋屋に入店してしまったようである。自分のやったことながら意味不明である。最近とみに私は自身の知的能力の衰えを痛感しているが、まさか徘徊老人の手前まで来てしまったのだろうか? それともあの瞬間、私は一瞬の次元のはざまに落ち込んだんだろうか? とにかくなんでそんな勘違いをしたのかは謎である。やはり現場百回、百聞は一見にしかずである。あやうく南自由軒が閉店したなんて言うデマを振りまくところであった。

南自由軒はしっかり健在

 と、ここまで来たとこで腹が少し寂しいことを感じ始めた。今日は朝抜きで昼もまともに食べていないので、早めの5時過ぎに食べた夕食だけだともう既に腹が不足気味になってきたようである。この際だから昼に食べようと思っていたものを食べていくことにする。オムライスの並(780円)を注文する。

牛肉のオムライス

 ここのオムライスは牛肉を使っていることが最大の特徴だが、話を聞いただけでは「?」なんだが、実際に食べてみるとこれが正解という説得力がある。通常のオムライスよりも一段コクが強いオムライスと言う印象で、実はオムライスとはこうあるべきなのではという考えさえ浮かぶ。とりあえず納得のいく夕食第2弾を頂くことになったのである。

 これで完全に腹を満たしたところでホテルに戻る。腹が十二分に膨れるととにかく疲労が出てくる。すぐに原稿執筆する余裕もなく、しばらくベッドで横になって休んでから、ようやく起きだして執筆の続き。こうやってこの夜は更けていく。

 

 

この遠征の翌日の記事

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