徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

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アニメ関係の記事は新設した「白鷺館アニメ棟」に移行します。

白鷺館アニメ棟

初訪問の美術館を含む美術館巡りと映画鑑賞の後、大フィルの定期演奏会へ

丸一日の休みはかなり忙しいことに

 昨晩は寝苦しくてやや寝不足気味であるが、今朝は7時半に目覚ましで起床する。やや眠い目をこすりながら、昨晩ファミマで買い求めていたカツ丼が朝食。どうもチョイスを間違えた。少々朝から胃がもたれる。

朝食にこれは失敗だった

 とりあえず活動のためにシャワーで体温を上げると出かける準備をする。今日の予定は夜に大阪フィルのコンサートがあるが、丸一日が空くので午前中に大阪南の美術館を訪問するつもりである。

 9時過ぎにホテルを出ると高石まで突っ走る。最初の目的地は小林美術館。文化勲章受章作家の作品を収蔵したという美術館。途中で渋滞があったり、目的地近くで路地地獄にはまり込んだりなどの紆余曲折はあったが、現地に到着したのはちょうど開館時刻の10時。

小林美術館に到着したのは10時きっかり

 

 

「橋本関雪生誕140周年記念 東洋へのまなざし 日本と中国の情景」小林美術館で12/10まで

 文化勲章受章者の作品を中心に展示している同館の展覧会。今回のメインは橋本関雪となっているが、やはり関雪と言えば馬か。

橋本関雪「蓬莱宝船図」

橋本関雪「意馬心猿図」

橋本関雪「高原新秋」

 さらに菊池契月、川合玉堂などの私の好みの作家の作品も。

菊池契月「風軟」

川合玉堂「緑陰垂釣」

 

 

 また富岡鉄斎、冨田渓仙などといった辺りも展示されている。

富岡鉄斎「渓山訪友図」

冨田渓仙「屈原漁夫図」

 そしてやけに印象深いのが中澤弘光のこの作品。

中沢弘光「鶴の舞」

 階を変えて2階展示室では秋をテーマにした絵画。この階は撮影不可作品が多いのだが、児玉希望などなかなか印象に残る作品が多々。その中でピックアップアーティストとして展示されていた樫原喜六と宇野孝之の作品が強烈に印象に残る。

樫原喜六「茅葺きの郷」

宇野孝之「秋宵」

 ちなみに同館展示作は撮影可と不可が入り交じっているが、どうやら著作権が切れるのが没後50年として、死後50年以上経過している作家の同館所蔵品は撮影可にしていると思われる。なおピックアップアーティスで紹介の作家は存命だが、恐らく作家の宣伝と言うことで許可を得たのだろう。

 展示数自体はそう多いわけでもないのだが、それなりに個性が覗えて興味深い作品が多数であった。

 小林美術館の見学を終えると、次は正木美術館を訪問することにする。この美術館の訪問は初めてである。書画や茶器などを所蔵した小規模の美術館である。

 

 

「禅ものがたり」正木美術館で12/3まで

正木美術館

 禅の精神に纏わる作品とのことで、絵画にはついては文人画になる。ただ人物画についてはどうにも定型的な印象を受けて、あまり個性を感じられないので今ひとつ面白味がない。そんな中で流石に重要文化財指定の「六祖慧能図」は異彩を放っている印象。妙に人物の存在感がある。

 茶器系統もあったが、基本的に織部から始まっている私には、全般的に地味で印象に残らず。

 最後に大作の群仙図屏風も展示されていたが、やはり全体的に平凡の印象は免れず、同じ題材を扱った曽我蕭白の異彩ぶりがかえって実感出来たというところがある。

 やはりテーマが禅となると、私にはあまりにも渋すぎたか。やはり私はもう少し浮かれた内容の方が合うようである。

 

 美術館見学後は、隣の正木邸を見学する。和風の苔庭のある典型的な日本建築。ちなみに土日は内部の見学も出来る模様。今日は平日なので庭園だけを見学することにする。なかなかに趣深い。

正木邸の苔庭

和式の庭園である

なかなか趣深い

 

 

昼食は近くの洋食店で

 庭園の見学後に昼食のため近くの店に出向くことにする。立ち寄ったのは「西洋料理ホルン」。典型的な街の洋食屋という店構え。ランチメニューが何種かあるが、今日は少し贅沢してハンバーグとエビフライのセットにデザートを付ける。

近くにある西洋料理ホルン

 まず最初はポタージュスープ。なかなかに美味く空腹を刺激してくる。しかし正直なところもう少し量が欲しいところ。

ポタージュスープ なかなか美味い

 メインはハンバーグとエビフライのプレート。ハンバーグのデミグラスソースが自家製なのかやや特徴がある。ただ個人的な好みから言えば、全体的に味付けがややしょっぱいように感じられるのが気になるところ。

メインのプレート

 最後はホットコーヒーとデザート。シャーベットがさっぱりしていて実に美味。

デザートはシャーベットが爽やか

 満足度はそれなりにあるのだが、以上で2360円の価格は私の感覚では少々お高い。と言うわけでCPの点でややしんどいかという気がする。まあそれならもう少し安いセットにすれば良いんだろうが。それとやはりこの手の洋食屋の常で味付けが若向きかもしれないので、そういう点でも私のようなジジイにはツライか。

 

 

昼には映画に出かける

 昼食を終えると一旦ホテルに戻ってくる。駐車場に車を置いて部屋に戻ってくると一息つく。さてこれからの予定だが、今日は19時から大阪フィルの定期演奏会。当初予定ではそれまで部屋でゴロゴロしているつもりだったが、それではあまりに無駄である。そこで映画を見に行くことにした。例のイオンカード特典の1000円鑑賞券を用意してあるので、イオンシネマシアタス心斎橋に出向く。

イオンシネマシアタス心斎橋

次回作品の紹介が

 見る映画は今話題の「ゴジラ-1.0」。なお映画の内容については別記事に掲載することにする。

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 映画を終えるとホールに向かうことにする。ここからだと四つ橋まで歩いて地下鉄に乗るのが最短ルートか。

 

 

夕食はラーメン

 肥後橋で降りると、ホールに入る前に若干早めだが夕食を摂ることにする。いつもヨルのコンサートは夕食に困るところ。公演前だと若干早めだが、公演が終わってからだとほとんど店がなくなってしまう。とりあえず今回は久しぶりに「ラーメン而今」に立ち寄って「特製あさり塩そば(1000円)」を麺大盛り(+100円)で頂く。

久しぶりの「ラーメン而今」

 こってりしたスープにしっかりした麺がなかなかに美味い。久しぶりにラーメンらしいラーメンという印象で今の気分には結構あっている。これでもう少し価格が安ければというところだが、場所柄仕方ないところか。

特製あさり塩そば

 とりあえず夕食を済ませるとフェスティバルホールへ。入場時からゲートがガラガラで大丈夫かと思ったが、最終的な入りは5~6割というところで、かなり寂しい入り。上岡の選曲があまりに変化球過ぎたか。会場を見渡しても会員の欠席が結構多いように思う。ということは収益的にはそう悪くはないのか。

入口からガラガラの印象だったが

 

 

大阪フィルハーモニー交響楽団 第573回定期演奏会

楽器がかなり多い上に奥には合唱団のためのひな壇

指揮/上岡敏之
合唱/大阪フィルハーモニー合唱団(合唱指揮/福島章恭)
曲目/シェーンベルク:地には平和を 作品13(管弦楽伴奏版:1911)
   R.シュトラウス:組曲「町人貴族」作品60
   ツェムリンスキー:詩篇 第23番 作品14
   R.シュトラウス:組曲「ばらの騎士」

 1曲目と3曲目が合唱付きということで、1曲目終了後と3曲目終了後にドタドタと合唱団の引き上げがあるので舞台転換に時間が掛かるという印象。

 1曲目は合唱メインというよりもほぼ合唱だけのイメージの曲。どことなく荘厳さを感じさせる曲調であるが、私としてはやや退屈感がある曲である。

 2曲目は室内楽的小編成オケでの曲。オケの規模に比すると打楽器が非常に多彩なのが編成上の特徴となっている。また弦楽の構成が通常とはかなり異なっており、ヴァイオリンなどは見ていると、一部が奏しないシーンがあったり、またソロ演奏がかなり目立つような場面もあるなど、使い方が独得である

 曲調自体は軽妙なユーモアを秘めた軽快な印象の曲である。小編成でも音色の多彩さはR.シュトラウスならでは。

 個人技の積み重ねがアンサンブルになるような曲なので、演奏する方はそれなりに大変ではと思うのだが、難なくこなすのは現在の大フィルのレベル。なおこういうグチャグチャした中からキラキラとしたものを引き出すのは上岡は上手い。

 休憩後の後半は再び合唱団がスタンバってのツェムリンスキー。基本美しい曲であるのだが、それが単に美しいだけでなく、アクセントなどをつけて若干ひねってくるのが上岡流。

 最後は16型大編成でのばらの騎士だが、これは曲想からしてもパワーでグイグイと押すタイプの曲ではない。上岡はこの大編成を鮮やかに音色を膨らます方向に活用している。内容的に非常に艶っぽい旋律の多い曲であるのだが、それをなかなかに華麗に色気のある表現で描き出した。大フィルのこんなに艶っぽい音色を聴くのは久しぶりであり(デュトワの時以来か?)、その辺りになかなかに上岡らしさを感じさせる演奏であった。


 観客は少なめであったが、場内は結構盛上がっていた。満足してホールを後にするとホテルに戻る。正直なところコンサート前に食べたラーメンだけだとこの時間になると腹が少し寂しい。とは言うものの、新世界も既にほぼ全ての店が営業終了。仕方ないのでファミマで翌朝の朝食も合わせてパンやおにぎりを買い求める。

 ホテルに戻った後はしばし休憩の後に入浴。その後は疲れが押し寄せてきたので何も出来ずに就寝するのである。

 

 

この遠征の翌日の記事

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この遠征の前日の記事

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