半年ぶりに姫路交響楽団のコンサート
昨日に京都より帰還したところでやや疲労もあるが、今日は姫路に出向くことにした。目的は姫路交響楽団の無料コンサート。久しぶりにアクリエひめじを訪れるが、相変わらず駐車場は一杯。また事前にやって来ている観客が大勢で、私が到着した時にはまさにゾロゾロと入場中であった。
ホールは大きいのでまずまずの席を確保することに成功する。アクリエひめじを訪れるのは久しぶりである。本当はここで開催されたベルリンフィルのコンサートに来たかったが、それは予算的に不可能であった。
姫路交響楽団は前回の定期演奏会も聞きに来ている。その時は大入り満員だったが、それはアクリエひめじの開館直後の物珍しさと、ドヴォルザークの「新世界」というプログラムの人気もあっただろう。それに比べると今回はメインがチャイコの悲愴で、協奏曲がショスタコのチェロコンとやや渋いプログラム。今回も意外と観客は多いが、前回ほどではない印象。
姫路交響楽団は以前に聴いた印象では、技術力は平均的と言うところ。編成が大きいのが特徴の一つだが、メンバー表を見るとバランス的にチェリストが不足気味のようであり、そこはトラを加えているようである。
姫路交響楽団 第90回定期演奏会
指揮:黒田洋/永井孝和
チェロ:梶原葉子
モーツァルト 歌劇「魔笛」序曲(指揮:永井孝和)
ショスタコーヴィチ チェロ協奏曲第1番変ホ長調 作品107(指揮:黒田洋)
チャイコフスキー 交響曲第6番「悲愴」ロ短調 作品74(指揮:黒田洋)
一曲目は永井の指揮は表現意欲よりも安全運転に徹しているように感じられた。確かに姫路交響楽団は編成が大きいことが災いして、旋律が錯綜してくるとアンサンブルがやや不安定になってくるきらいがある。そこでアンサンブル崩壊を警戒して、随所随所でタイミングを合わせているような様子が覗えた。その結果として、非常に無難な演奏にまとまったのであるが、特別な面白味は薄いきらいがある。
二曲目はややマイナー曲。オケを小編成に変更した分、先ほどよりは明らかにアンサンブルが向上している。独奏チェロの梶原は、深みのあるなかなかに良い音色を奏でる。音楽に表現意図が見られて納得の出来る演奏である。ただこの曲はこのチェロと渡り合うようなポジションで重要性が高いのがホルンであるのだが、残念ながらこのホルンがチェロと渡り合うにはあまりに非力。アマオケである以上仕方のないことであるが、どうしても音程がやや不安定な素人の音色であるので、聞き劣りしてしまうのが否定出来ない。ホルンというのはプロでもとんでもないしでかしがあるぐらいに音程の難しい楽器のようであるので、アマオケではかなり厳しいところだろう。
最後はチャイコの悲愴。黒田の指揮はかなりの意図を込めてのものであるのは良く分かる。またオケの方も相当に力を入れて練習したと思われ、やはりところどころアンサンブルが怪しくなるところはあるものの、それでもまとまった激しい表現を行っている。
結果として、アマチュアオケとしてはまずまずの演奏になったと感じられる。最終楽章の切実さなどもそれなり訴えてきていた。
拍手に答えてのアンコールはチャイコのアンダンテカンタービレ。弦楽のなかなかに美しい曲であり、このテンポの曲ならアンサンブルも乱れることがなく、このオケはこういう曲の演奏が非常にあっているようである。