岡山フィルの備前公演に出向く
昨日はNHK交響楽団のコンサートに出向いたが、今日はもっとローカルなコンサートに出向くことにする。岡山フィルの備前公演である。岡山フィルは以前から時々聴きに行っているが、今回は三ツ橋敬子指揮で備前市民センターでモーツァルトプログラムを演奏するという。別に三ツ橋にはそんなに興味はないが、岡山フィルは元々小編成の曲にむいているオケではという気があったのと、モーツァルトの小短調こと交響曲第25番を演奏するとのことで興味を持った次第。
会場の備前市市民文化センターへは山陽道の備前ICから降りて少し走るとすぐに到着する。体感的にも岡山よりは随分近い(何より悪名高い岡山ダンジョンを抜ける必要がない)。現地到着は開演の1時間前ぐらいだが、文化センターの駐車場は既に満車の状況である。ただし近くに大きな無料駐車場があるので車を止める場所には困らない。
私はこの辺りには来たことはないが、辺りを見渡しただけで明らかに格好の山城用の独立峰が南にそびえる。私がこの地域の領主なら絶対にあそこに山城を築くなと考えたが、調べてみるとそこにはかつて富田松山城という山城があった模様。やはりいつの時代でも考えることも同じだし、私も各地の山城を回ってる内に、段々と思考が戦国領主的になってきたか。ちなみに私ならこの山上にお籠もり用の堅固な山城を築き、平時用には北方の小高い丘の上に館を建てるところである。
開場は15分からとのことだが、私がホールに到着したのは開場まで10分ほどある時刻。そこで入場前に建物内を少し散策。となりのロビーには場所柄備前焼の簡単な展示が。そもそも実用陶器から発している備前はとにかく渋い。また備前焼定番の大壺も展示されている。
その内に開場時刻となったのでホールに入場する。ホールは典型的な一昔前の市民文化会館ホール仕様。客席は一階のみで全790席。収容人数からしてやや奥行きが深い。たつの市の総合文化会館を思い出す構造である。ただしあっちよりは圧倒的に古い。なお設備の古さから来るコンサートホールとしての致命的な弱点として、空調の音がかなりうるさいという問題を抱えている。耐震性はキチンと確保されているのだろうか? これはいずれ建て替えの必要がありそうだが、備前市にそこまでの財源があるかである。
ステージ上にはこじんまりとしたオケの用意がされている。
岡山フィルハーモニック管弦楽団 備前特別公演
指揮/三ツ橋敬子
フルート/畠山奏子(岡山フィル首席フルート奏者)
管弦楽/岡山フィルハーモニック管弦楽団
モーツァルト/ディヴェルティメント K.136
モーツァルト/フルート協奏曲第1番 K.313
モーツァルト/交響曲第25番 K.183
岡山フィルは8-6-4-3-2型の小編成。そのためか通常よりまとまりの良い演奏を行っている。三ツ橋の指揮は軽快なもので、オーソドックスにやや速めのテンポでサクサクと進める印象。まさにディヴェルティメントそのものである。
フルート協奏曲はソリストの畠山の音色に若干の濁りがあることが気になる。何となく綺麗に吹き抜けてこずにつかえたような感じがする。トータルとしての演奏はモーツァルトらしく軽妙で美しくてマズマズだったのだが、そこだけがちょっと引っかかったところ。
休憩後はモーツァルトの小短調。「アマデウス」のテーマとして有名になった音楽であるが、三ツ橋のアプローチはややクール。例によってのややアップ目のテンポで、過剰な煽りなどは行わず、オーソドックスに淡々としたところのある演奏である。
終始岡山フィルの演奏はまとまりが良く、やはりこのオケの本領はこういうところではと思わされたのである。