徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

サー・サイモン・ラトル指揮 ロンドン交響楽団他

 翌朝は7時半に目が覚める。このホテルの難点はビルの合間にあるのでほとんどの部屋が窓を持っていない構造(窓のすぐ前が隣のビルの壁なので、事実上窓を塞いでいる)なので、外の明るさや天候が分からないということ。おかげで気をつけないと寝過ごすことがある。

 目は覚めたものの何となく体がボンヤリしている。とりあえずシャワーで目を覚ましてから朝食にレストランに行く。腹に燃料を放り込んだことでようやく目が覚めてくる。

 今日の予定は14時からフェスティバルホールで開催されるロンドン交響楽団のコンサートに行くのがメイン。その前に大阪市立美術館で開催されている「ルーブル肖像画」展を見学しようと思っている。ホテルを9時過ぎにチェックアウトすると大阪に向かう。

 京都駅も大阪駅も大混雑である。大阪駅でJRを降りるととりあえずコインロッカーを探してウロウロするが、300円や500円のロッカーは全部塞がっている。仕方ないので空きのあった700円のロッカーにキャリーやカメラ類を放り込む。

 身軽になったところで地下鉄で天王寺まで移動。さあ市立美術館に向かうかと思ったところでハルカス美術館で開催中の「太陽の塔」展のポスターが目に飛び込んでくる。しまった、これのことを完全に失念していた。市立美術館の前にまずハルカスに立ち寄ることにする。

太陽の塔あべのハルカス美術館で11/4まで

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 大阪万博のシンボルであり、岡本太郎の代表作である太陽の塔についての展覧会。塔の構想を示す初期スケッチ、また当時の塔の内部や外観を示す模型、さらには塔の頂上に設置されている黄金の顔(初代)まで展示されている。

 太陽の塔に関する諸々の資料のみならず、岡本太郎の作品もいくつか展示してある。いずれも感性が爆発しているのだが、太陽の塔は彼の一つの集大成であることはよく分かる。

 万博を知っている世代も知らない世代も、岡本太郎という芸術家に触れる良い機会ではある。芸術は爆発だ! 

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 なかなかに面白い展覧会であった。また物販部門もかなり豊富で太陽の塔グッズなどが多数販売されていた。未だに太郎の人気は根強いものがあるようだ。昨今の世の中を見ていたら、ようやく時代が太郎に追いついてきたというところだろうか。それにしてもこの展覧会を見ていたら太陽の塔の中を見てみたくなってきた。予約を申し込むかな・・・。

 

 ハルカス美術館を後にすると市立美術館に移動する。大群衆でごった返して大騒ぎの天王寺公園を抜けて美術館に急ぐ。

ルーブル肖像画展」大阪市立美術館で1/14まで

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 ルーブルの収蔵品において肖像芸術という観点で作品を選んでの展示。

 古くはエジプトなどの作品から始まるが、初期の完全に理想化してしまっている肖像画から、だんだんと本人の特徴を捉えたリアルな肖像画へと時代が移っていくのが一つの特徴。理想的な神の世界を求めていた時代から、人間重視の時代への変遷と軌を一にしているように思われる。また権力者は自分を立派に見せるために肖像画などについてもいろいろと盛りすぎるのは今も昔もあまり変わらないようだ(今でも選挙ポスターなどはかなり修正する)。

 展示作は絵画のみならず彫刻から装飾品までその他多彩。作品自体云々というよりも、その作品を通して時代背景のようなものが浮かび上がるのがなかなか興味深かったところ。


 美術館の予定を急に一つ増やしたので時間に余裕がない。とりあえずホールに移動することにする。肥後橋駅に到着したのはもう開場時刻になってからだが、開演までの間にフェスティバルゲートの地下で急いで昼食を摂っておくことにする。立ち寄った「PRONT IL BAR」ミートスパを注文。可も不可もなく、冷凍スパとの違いもなくという内容。

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この日の昼食

 昼食を終えるとホールへ急ぐ。ホール内はほぼ満席に近い模様である。

サー・サイモン・ラトル指揮 ロンドン交響楽団

ピアノ:クリスチャン・ツィメルマン

バーンスタイン交響曲 第2番「不安の時代」
マーラー交響曲 第9番

 さすがにロンドン交響楽団の技倆は圧倒的だし、各楽器が素晴らしい音色を奏でる。しかもツィメルマンの自在のピアノはさすが。オケとピアノの呼吸もピッタリと合っており、正直なところよく分からない曲にも関わらず、圧倒されて感心させられた。場内の満場の拍手も当然の演奏。ちなみに拍手はツィメルマンが楽譜を持ち去って「アンコールはない」ということを暗に示したにも関係なく鳴り続け、楽団員が半ば強引に引き上げるまで終わることはなかった。

 後半のマーラーもまた圧倒される演奏であった。マーラーの9番と言えば、一昨年のヤンソンスバイエルンの圧倒的名演が記憶に残るところだが、あちらがすべてを超越した天上の音楽としたら、ラトル・ロンドンの9番は、あくまで人間として苦悩し葛藤し、その挙げ句に到達した悟りの心境といった非常に人間くささを感じるものであった。決して焦ることなくじっくりと音楽を描くラトルに、しっかりと安定した技術で答えるロンドン響。そこから緊張感溢れる名演となっていた。最後のまさに消え入るような終曲の後に、しばしホール全体が凍り付き、その後に割れるような大拍手となった。この拍手もいつまで経っても止むことがなく、最後はラトルの一般参賀

 かなりの名演にフェスティバルホール内も滅多にないほどの大盛り上がりとなっていた。ここまで盛り上がるのは年に数回した見たことがない。また拍手と同時に溜息も出ていたのが特徴的。

 

 今回の大遠征の最後を飾る見事なコンサートであった。今回の遠征では天候のために予定の半分もこなせないという未消化部分のかなりある物になってしまったが、まあ終わりよければすべてよしということにしておこう。