徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

山形交響楽団の定期演奏会を改善されたアーカイブ配信で再度聞く

 先のライブ配信では音量が低すぎて良く聞こえないという残念な結果に終わった山形交響楽団の定期演奏会ですが、問題であった音量については再調整されたものが、カーテンコールのサイトで4/5までアーカイブ配信されることになったようです。おかげで一曲目からバッチリと聞こえるようになっております。画質面にはまだ不満がないわけではありませんが(ベルリンフィルのデジタルコンサートホールなどと比べるとやはり見劣りはある)、音楽は良好に聴けるようになりました。と言うわけで前回には感想を述べるところまで行かなかった前半について。

curtaincall.media

 

山形交響楽団第283回定期演奏会

指揮:阪哲朗
ヴァイリオン:神尾真由子

ロベルト・シューマン:序曲、スケルツォとフィナーレ 作品52
ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品35
ロベルト・シューマン:交響曲 第2番 ハ長調 作品61

 一曲目はシューマンらしくロマンティックで躍動感溢れる曲。例によって構成の甘さは垣間見えるが魅力的な曲である。さて山形交響楽団の演奏であるが、溌剌として颯爽としている。ところどころアンサンブルに乱れがないわけではないが、阪が軽快なノリの良い指揮を行っているので、明らかに欠点よりも魅力の方が遥かに優って聞こえている。

 二曲目は神尾をソリストに迎えてのチャィコの協奏曲。相変わらず神尾のヴァイオリンは圧倒的な表現力であり、冒頭から魂を鷲掴みするようなところがある。阪の指揮と山形交響楽団は過度に感情表現に走ることはなく、神尾の情感タップリのロマンティックな演奏をしっかりと地味目に支えるという印象。決して出しゃばらず、結果としてはソリストに注目が集まるというところがある。この曲は神尾のヴァイオリンを堪能するだけで十分である。

 この後はシューマンの交響曲で、これについては以前に記しているので省略するが、一曲目の雰囲気がそのまま三曲目に通じることで、コンサート全体での統一感的なものが現れている。

 

 今回のアーカイブ配信によって、ようやく山形交響楽団の定期演奏会の真価を体感できることになり非常にありがたいところである。なお近日中に先日の大阪フィルの定期演奏会のアーカイブ配信もあるとのことなので、まだ未体験の方は是非とも視聴されることをお勧めするし、「あの感動をもう一度」というのもありだろう。さすがに井上道義らしい一筋縄ではいかないハルサイなので聴き応えありである。

 今回カーテンコールがこのレベルでの配信が可能であると分かったことで、ベルリンフィルのデジタルコンサートホールに相当する日本のライブ配信システムをカーテンコールをベースに確立するということも可能性として考えられるのではという考えに至った。日本オーケストラ連盟辺りが中心に、それが無理なら有志のオケが協力して考えてもらいたいところである(N響や読響などの自身の配信メディアをもっているオケは乗ってこないことが予想されるので)。オケがコンサートチケット以外からも収益を得る手段となり得るし(上手くいけば一度のコンサートで何度でも美味しいということになる)、さらにはファンの裾野を広げることにも貢献できるので。私としてもわざわざ出向くことのできない地方のコンサートを聴いたり、ダブルブッキングになってしまったコンサートを聴くことができれば非常にうれしい。災い転じて福となすで、今回の逆境が日本のオケの新たな展開につながれば喜ばしいところである。