徒然草枕

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白鷺館アニメ棟

青天を衝け 第33話「論語と算盤」

銀行生き残りのためにあっさりと小野組を見捨てる栄一

 前回、渋沢のテーマの内のソロバンの方が登場しましたので、今回は論語が登場です。まあ経済も理念が必要という話で。そう言えば論語って男女関係に節度が必要というような類いの事は言ってなかったよな、多分。

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 岩崎弥太郎と「従順でない商人にはお灸をすえる」という類いの密談でウハウハしていた大隈ですが、渋沢に怒鳴り込まれると「ワシの一存で決めたことではない」と逃げ回る。相変わらず滅茶苦茶器量の小さい大隈である。で、栄一は小野組の資産が政府に巻き上げられる前に国立銀行が差し押さえてしまう。小野組を切り捨てて銀行を助ける冷血栄一。

 しかしそうやって生き延びさせた銀行を、今度は三井が乗っ取ろうとしてくる。それなら「国に裁定してもらおう」と言い出す栄一。どうやら裏で大隈で圧力かけまくったんだろうが、結局は三井は退けられて栄一が自ら頭取となって経営を差配することに。銀行の黒幕からもろに陣頭に立つことになったようですが、実際のところ栄一の立場がそう大きく変わったようにも見えん。

 

 

そして死亡フラグ立ちまくりの大久保

 その頃、大久保は五代と碁を打ちながら「あんたは弱みを見せないから味方が少ないんだ」と諭される。どうやら五代は大久保に死亡フラグを立てに来たようである。そうしている内に蚕卵紙の大暴落の問題が。外国商人が示し合わせて買い渋りをすることによって価格暴落に持ち込んだらしい。まあよくある方法です。これに対して打つ手を持たない政府は「渋沢にでも頼むしかない」という結論になるが、「もうあいつには絶対に頭を下げたくない」とへそを曲げて逃げたす大隈に、大久保は自ら交渉に当たるしかないと腹を括る。

 そして大久保に呼び出されて敵意を隠し切れていない栄一に対して、大久保は「自分は経済のことは全く分からんから国のために味方になって欲しい」と懇願する。五代の助言に従って自らの弱みをさらけ出したということです。これを見ている視聴者は「ああ、とうとう大久保の死亡フラグが完成したな」と感じるシーン。もっと完璧に死亡フラグを完成させるつもりなら、ここで大久保に「ワシは今の一連の騒動が終息したら、政府から引退して故郷で妻と静かに暮らそうとでも考えている」とでも言わせれば完璧でしたが、さすがにそこまで歴史捏造は出来ないでしょう(笑)。

 

 

そして10年越しの横濱焼き討ちに明治の元勲の相次ぐ軽い死

 これを受けて栄一が実行したのが横濱焼き討ち(笑)。市場でだぶついている蚕卵紙を政府の金で買い占めて燃やしてしまえという乱暴な方法。しかし実際に、この頃はヨーロッパではカイコガ伝染病で壊滅しており、日本からの蚕卵紙がこなくなったら向かうの絹織物が壊滅する状況でしたから、我慢比べになったら勝算があるという読みは栄一にはあってのことでしょう。10年越しの横濱焼き討ちだと盛り上がっている喜作に惇忠。大々的に横浜でキャンプファイヤーを行って、その様は新聞で報道、これは間違いなくヨーロッパの商人に強烈なインパクトを与えたはず。そしてそのキャンプファイヤーを眺めながら先立っていった同志や兄弟達に思いを馳せる喜作。

 この後はなかなかにして怒濤の展開。まずは西郷がナレ死どころか、ナレさえない「活字死」。西南戦争については栄一は「馬鹿らしい」の一言。確かに戦費を無駄遣いしただけで、日本としては全く得ることのなかった内戦であった。しかし一方で戦争に乗じてウハウハなのが政商・岩崎弥太郎。まあこういう風に戦争ってごく一部には非常に儲かるので、今の日本でも憲法変えてまでやりたがる連中がいるのだが。

 そして「大隈にも大久保にも取り入っているから、これからさらにウハウハ」と思っていた岩崎の元に弟が駆け込んできて「大久保様が不平士族に滅多刺しにされて殺された」という報。というわけで大久保の方は「台詞死」です。明治の重要人物に対して朝倉義景よりも軽い死にしてしまうのは流石に大河。まあナレ維新で済ませたぐらいですからね。主人公に関係なかったらどうでも良いってことです・・・ああ、そう言えばその前に三井の番頭も死んでたっけ。

 

 

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