今日は京都へ明日は奈良へ
翌朝は7時半に目覚ましが鳴るが、夜は爆睡していたはずなのに体が重くて動かない。どうやら私の認識以上に体に疲労が溜まっている模様。結局はグダグダしながら意を決して体を起こすまでに30分以上もかかってしまった。
起床すると昨日購入しておいた朝食を摂る。今回は前回の反省(朝からカツ丼やパスタは重過ぎる)を踏まえてうどんにしている。まあこのぐらいが最も朝食には適切なようだ。
朝食を終えると大急ぎで仕事道具をキャリーに詰め込むとチェックアウトする。今日は京都まで長駆する予定。目的は14時半から京都コンサートホールで開演する京都市響の定期演奏会だが、その前に美術館訪問の予定がある。朝に予定通りに起きられなかったことでスケジュールが後ろにずれているので、慌てて車を出すことにする。
京都までは阪神高速と名神を経て1時間ほど。ただ京都市内に入ってからが渋滞で動きにくい。とりあえず最初の目的地は嵐山の福田美術館。近くの駐車場は観光用の割高なものばかりなので、少し離れたまともな価格の駐車場に車を置いてからしばし歩く。
嵐山界隈はいつも大混雑だが、流石に今は厳しい京都の冬のせいか、いつもよりは若干人は少なめ。と言うものの、インバウンド中心にかなりの人混みである。
「進撃の巨匠 竹内栖鳳と弟子たち」福田美術館で4/7まで
京都画壇を代表する日本画の大家・竹内栖鳳とその弟子たちの作品を集めた展覧会。
栖鳳と言えばまず思い浮かぶのは「獣の栖鳳」。まさにそれにふさわしい獅子や虎の絵も展示されている。なかなかに力強い絵であり、この迫力は流石に栖鳳。
一方で雀を描いた愛らしい作品も。
川合玉堂、横山大観との競作も展示されている。本作では玉堂が雪、大観が月、栖鳳が花を担当しているが、この担当が異なるバージョンも存在するとか。
さらに栖鳳の師匠である幸野楳嶺の渾身の作品も登場する。
弟子筋では西山翠嶂に西村五雲、さらに上村松園なども展示されている。各人の特徴の出た絵画である。
さらに伊藤小坡、村上華岳、土田麦僊など。小坡及び華岳はいかにも作品であるが、麦僊の「ヴェトイユ風景」は日本画の岩絵具でセザンヌ的な印象派っぽい作品を描いているという点で、彼のチャレンジを思わせて面白い。
また入江波光に小野竹喬など蒼々たるメンバーの作品が揃う。
結構見ごたえのある内容であった。流石に京都画壇の血脈は侮れない。
さて日本画を堪能してからホールに行く前にもう一カ所立ち寄る予定。これは私としては初訪問の美術館。まあ美術館と言っても相国寺の宝物展示館のようなものである。相国寺の山門にたどり着くと車で構内へ。案内に沿って走ると駐車場があるので、そこに車を置いて美術館へ向かう。
「若冲と応挙」承天閣美術館で1/28まで
相国寺が所蔵する伊藤若冲と円山応挙の作品を展示。
第一展示室はいきなり若冲の動植綵絵全点が展示されていて圧倒される。そう言えばこの作品はそもそも相国寺に寄贈された作品だった。例のNHKのBLドラマ「ライジング若冲」で有名にもなったハートが飛び交う鳳凰像なども展示されている。鳥の絵がメインであるのだが、左も右も一番端に魚介類の絵があるのが興味深いところ。こちらも鳥と同様に観察に基づいて描いていると思われる。かなり精密描写が光る。
第二展示室には若冲による水墨画の障壁画が展示されている。先ほどの精密絵画と違い、こちらは墨の滲みなどを生かして結構勢いを持って描かれているのが特徴。なおこちらでは若冲の鳥以外での得意分野、青物問屋店主の経歴から来る野菜の描写の上手さが光る作品もある。
この展示室の奥には応挙の水墨作品もある。若冲の水墨画勢いで描いているのに対し、徹底的精密描写なのがさすがに応挙。また応挙の絢爛豪華な牡丹孔雀図なども展示されていて見応え十二分。なお子犬を描いた「狗子図(別名モフ図)」なども展示されている。
これもかなり見応えのある展示であった。特に動植綵絵は私は東京で見たもの以来。ただあの時はとにかく人混みがすごかったので、絵の上半分しかよく見えない状態だった。今回はそれを堪能できたのが一番の収穫。
昼食は洋食を
これで美術館の予定は終了なのでホール近くに確保している駐車場まで車を走らせる。車を置いた時には開場の30分前ぐらい。まだ時間的余裕があるので、とりあえず昼食を摂っておくことにする。「東洋亭」は当然のように無理(待ち客多すぎ)。「進々堂」が待ち客がいない状態だったのでそこに入店する。
注文したのはビーフシチューのセット。まあ可もなく不可もなくというところか。少なくとも前回に立ち寄ったフォルクスよりは数段美味い。またここはパンが食べ放題なのが良い(と言っても、今はそんなにガツガツ食える体調ではないが)。
昼食を終えるとホールに入場することにする。私が確保したのは3階正面の席。ここから見渡したところ、ホール内は9割ぐらいは入っている模様。まずまずの入りである。
京都市交響楽団第685回定期演奏会
沖澤 のどか(常任指揮者)
吉野 直子(ハープ)
オネゲル:交響曲 第5番 「三つのレ」
タイユフェール:ハープと管弦楽のための小協奏曲
イベール:寄港地
ラヴェル:ボレロ
京都市交響楽団の首席指揮者に就任した沖澤のどか指揮による公演。今回はフランス系の小品が集められており、なかなかに洒落た演奏をする沖澤にはむいている選曲というように思われる。
一曲目のオネゲルはいささか重たい曲である。当時のオネゲルは健康状態に不安を抱えており、それが反映されたのかもしれない。沖澤のアプローチはその重さを反映しつつも、過度には重たくならないようなバランス。また京都市響の響きも基本的には陽性であるので、どことなくアンバランスな感もなきにしもあらず。
二曲目はオケを小編成に変更してのハープのための協奏曲。吉野のハープは非常に華麗で美しくあり、この曲の曲調とも合致している。
休憩後のイベールはパーカーションフル動員の華麗な曲。公演開始時にステージ上に大量に並んでいた多彩なパーカッションはほぼ全てこの曲のために用意されていたらしい。こういう煌びやかで華麗な曲は、まさに沖澤の真骨頂という感を受ける。京都市響の音色にも一際華麗さが加わる。
そしてそのノリのままにラストは京都市響ソリスト陣の個人技が光るボレロ。ラヴェルの達人技のオーケストレーションを支える各楽器の華麗な音色が曲を盛り上げ、そのまま興奮のクライマックスへ。
いささか軽めで派手目なプログラムは沖澤にあった選曲のように思われる。もっとももっと違ったパターンも聞きたい気もするのであるが。
この日は奈良の高級ホテルで宿泊する
コンサートを終えるとホテルに向かうことにする。明日は奈良に予定があるので、今日の宿泊は奈良にしている。宿泊ホテルはスーパーホテル奈良駅前。天然温泉付きでスーパーホテルの中ではランクの高いホテルであり、私からしたら高級ホテルになる。ここのところはインバウンドの影響で宿泊費が高騰して、私には手の出ないホテルになっていたが、現在はレストランが工事中とのことで、自慢のLOHAS朝食が出せないせいか、週末にも関わらずまあまあな価格になっていたことで選択。
ホテルの駐車場まで車を走らせるとチェックイン。部屋はデラックスなシングルだったようで、なかなか広い部屋である。昨日の新今宮基準のホテルとは雲泥の差である。
三条通に夕食に繰り出す
部屋に荷物を置くととりあえずまずは夕食に。ここの駅には「やよい軒」とかしかないので、三条通方面に繰り出す。しかしどこか当てがあるわけでなし、プラプラしたものの面倒くさくなってきたので、三条通の入り口近くにあった「やまと庵」に入店する。
待ち客がいたので10分ぐらい待たされる。内部はロールカーテンで仕切った個室のような構造になっている。とりあえず飲み物に梅サイダーを注文。さっぱりしていてなかなかである。
一応は地場産品推奨の緑提灯の店であるが、流石に居酒屋定番の刺身盛りは地場ではなかろう(笑)。と言うわけで、料理の方はまずは「和牛の薄切りレアステーキ」と「やまと豚の角煮」を注文する。レアステーキの方はさっぱりしていてなかなか。角煮の方は肉が柔らかい。
これだけだとやや不足なので「大エビフライ」を追加。まあ悪くはないが、あまりインパクトのあるものでもない。
締めは「おにぎりの天ぷらだし入り」。これはもう少し味にインパクトが欲しいところ。
以上で締めて4444円(なんて価格だ?)。まあその程度は覚悟はしていたが、CPとしてはあまり良くはないか。味は悪くはないんだが、印象に残るものでもなかったというのが本音である。
夕食を終えるとホテルに戻って入浴。地下から汲み上げたナトリウム・カリウム塩化物泉とのことで、嘗めてみるとわずかに苦味が感じられる。快適な湯で凝り固まった体をほぐした上で、体を温めておく。
入浴後は部屋に戻ると仕事環境構築。こちらのホテルは昨日と違って広々としたデスクがあるので、快適に作業スペースが確保できる。この辺りは高級ホテルとエコノミーホテルのどうしようもない差である。
しばし原稿作成作業を行っていたが、昨日からの疲労は如何ともしがたく、この日は昨日よりも早めに就寝する。
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