徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

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白鷺館アニメ棟

横浜美術館の「ルノワールとパリに恋した12人の画家たち」を見学して東京ツアーの終わり

 翌朝は気がついたら8時を回っていた。さて今日の予定だが、横浜美術館に立ち寄って夕方のスカイマーク便で帰宅するだけ。ただ気になるのは、天皇の即位式関連で要人のシュッ入国が相次いでいるとのことで、その煽りで飛行機のスケジュールに変更や欠航が起こる可能性があると言うこと。スカイマークなんかはかなり会社の位置づけが低いから、真っ先に煽りを食らう可能性がある。常に情報に注意しておく必要がありそうだ。

 出発準備をしながら、自宅のディーガにリモート接続して昨晩の「にっぽん!歴史鑑定」をチェック。百人一首に藤原定家の後鳥羽院に対する思いがこもっているというのはなかなかに面白い話だ。

 ホテルを9時過ぎにチェックアウトするとJRで横浜を目指すことにする。外は台風の影響で生憎の雨。キャリーがずぶ濡れになるから鬱陶しい。とりあえず横浜に移動すると、そのキャリーはここでコインロッカーに入れておくことにする。

 何だかんだでウロウロしていたら気がついたら11時前になっていた。今日は朝にパンを少し食べただけで腹が減っているし、美術館に行く前にルミナのレストラン街に立ち寄って朝食を摂っておくことにする。

 

横浜のつばめグリルで昼食にする

 入店したのは「つばめグリル」。昨晩のリターンマッチである(笑)。「ハンブルグステーキ」を注文する。柔らかいハンバーグがなかなか美味ではあるが、トータルとしては東洋亭の方が美味いかなというのが本音。

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つばめグリル

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ハンブルクステーキ

 昼食を終えるとみなとみらいに移動して横浜美術館に向かう。それにしても毎度のことながら、途中の新高島駅の薄暗さは何なんだろう。以前に子供が気味悪がっていたのを見たことがあるが、それもさりなん。落ち着いたデザインを目指して失敗して廃墟めいてしまったというところか。

 横浜美術館には向かいの商業施設ビルまでは地下伝いで行けるのだが、最後のところで表を歩く必要がある。まだ外は雨がぱらついている。

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横浜美術館

 

「ルノワールとパリに恋した12人の画家たち」横浜美術館で1/13まで

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 ルノワールを表題にしているが、実際はオランジェリー美術館展である。日本ではかなり知名度の低い美術館であるが、画商であったギョームが蒐集して国家に寄贈された印象派を中心としたコレクションを誇る美術館でもある。恐らく集客の看板としてルノワールを掲げたのだろうが(大抵はモネを掲げるところだが、本展ではモネは一点しか展示されていない)、内容的にはルノワール以外の作品が大半である。

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 ただしルノワールの数点の作品には秀品が揃っている。有名な「ピアノを弾く少女たち」の下絵のスケッチと見られる作品があるが、これなどは背景が簡略化されていることでかえって人物の美しい色彩が映える効果も持っている。この柔らかい表現はルノワールならではのもの。

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 これ以外にも印象派やエコール・ド・パリ系の有名画家の作品が目白押し。個人的にはプリミティブなルソーの作品などが面白かったりする。

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コートールドの屋敷のギャラリーの再現

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同じくギャラリー

 横浜美術館の見学を終えるとこれで今日の予定は終了してしまった。実のところ考えていたプランもないではないが、それを実行するだけの体力と精神力がもう残っていない。この後は帰りの飛行機の時間までをグダグダとつぶすしかない。とりあえず商業ビル地下の上島珈琲でアイスココアを頂きながらマッタリ。

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アイスココアで一息つく

 

横浜のネカフェは異空間だった・・・

 1時間ほどこの原稿を入力したりして過ごしていたが、やがて体力の限界が近づいてきたことを感じる。何だかんだで昨日も1万5千歩以上歩いていたので、この数日で蓄積疲労が洒落にならなくなっている。とにかくどこで横になって休みたい。そこでネットを調査したところ、横浜駅近くに「俺の部屋」なる個室のネカフェがあるとのことなので、休憩のためにそこに向かうことにする。

 現地は繁華街のど真ん中。「俺の部屋」はネカフェと言いながらも、漫画の充実度よりも明らかに宿泊機能に重点を置いている構成。個室はリクライニングチェアの個室とマットのシートがある個室があり、個室に鍵をかけられるのが特徴。またペアマットシートという、2人が横になれるサイズのマット部屋という「?」な施設もあり、正直なところ旅館業法や風俗営業法などの観点から見てかなりグレーな施設である。一応外から中が見えるようにはなっているが、今時の野外でさえことに及ぶような野獣カップルにはそんなものが歯止めになるかは極めて怪しいところ。

 狭い個室にはPCの載ったデスクと、その横に寝台(と言ってしまうと旅館業法でアウトなのでマットなのであるが)がある構成。一目見て思ったのは、今時の個室型カプセルホテルとそっくりであるというもの。PCがあって鍵がかけられる(カプセルホテルは大抵アコーディオンカーテンである)だけカプセルホテルよりもさらにホテルっぽい。いよいよもって旅館業法的にいいのだろうかとの疑問も湧く。

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個室の中には明らかな寝台

 ここの個室でマットの上にゴロンと横になって、2時間弱ほどウトウトしたところで店を出る。おかげで頭はスッキリしたし体の疲労も大分解消された。ところで個室には爆睡中のサラリーマン風のオッサンの姿などもあったが、上階からやたらにドッタンバッタンといった騒音が聞こえてきていたことから考えると、室内で組んずほぐれつしていたカップルもいるのでは。実際に私が店を後にした時には、多数のカップルが入室待ちしている状況だった。

 さすがに港町横浜は恐ろしいところである。「歩く道徳教科書」と言われている私のような人間には想像できないような世界が広がっている(笑)。

 

 頭がスッキリしたところで羽田空港に向かうことにする。キャリーをロッカーから回収すると京急の空港快速で羽田空港へ。要人の移動などに伴うダイヤの混乱が懸念されたが、とりあえずスカイマークの神戸便は定時運行予定の模様。もっともいざ飛び立つまでにやたら地上を長時間走行するのが羽田空港。もう静岡ぐらいまで着くのではという時間がかかってからようやく離陸。それでもとりあえずほぼ時間通りに神戸に到着する。

 夕食を三ノ宮で摂ってから帰ることにする。立ち寄ったのはミントのレストラン街。さすがに行きと同じパスタはないし、「かつくら」の連チャンもあり得ない、ハンバーグは昼に食べたしと考えていたら、思いの外選択肢が少ない。結局はうどん店「うどんの詩」に入店して「カツ丼」という面白くおかしくもないチョイスをすることに。

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ミントのうどんの詩

 カツ丼は美味い。丼の味付けは私好みだし、トンカツもうどん屋のものにしては本格的。ただ残念なのはうどんの方。麺は悪くないのだが、出汁の味付けが単純すぎる。やはり関西のうどんなら出汁にもう一味の深みが欲しいところ。

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夕食のカツ丼

 夕食を終えると帰宅したのであるが、スケジュールがハードすぎて途中で体力切れという破綻を来してしまったのが情けない。若い頃ならこの程度の無茶は利いたはずなんだが、もう既に無理の利かない年齢になってしまったようである。次からは美術館を訪問する度にお抹茶でマッタリするスケジュールにでもするか(笑)。しかし実際はそこまで枯れてしまうことも出来ない中途半端な生臭ジジイというのが今の私のようである。旅費をケチるので、一度遠征すればできる限り最大の成果をと考えてしまう貧乏性が諸悪の根源。これだけは私の財政が根本的に改善して「東京までの旅費? そんなもの安いじゃん」という状態でもならない限りは変わらないか。