徒然草枕

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広響の2015「平和の夕べ」コンサートでのアルゲリッチの演奏を聴く

 2015年広響の「平和の夕べ」コンサートのアルゲリッチによるベートーヴェンピアノ協奏曲第1番の演奏が、テレビマンユニオンチャンネルで無料公開されているのでそれを視聴した。

tvuch.com

 

2015広響「平和の夕べ」コンサート

ピアノ:マルタ・アルゲリッチ
指揮:秋山和慶
広島交響楽団

ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第1番
シューマン:幻想小曲集より 夢のもつれ

  アルゲリッチと言えば「上手いけど非常にアクの強い演奏」で知られるが、その一端はこのコンサートでも発揮されている。ベートーヴェンのピアノ協奏曲第1番という彼の曲にしてはアクの少ない曲が、アルゲリッチの手にかかれば後期の曲のようにアクが強いものになる。

 それでもオケとの絡みの多い第1楽章などはやや抑制気味に無難に演奏している印象。それがピアノがリードすることが多い第2楽章になると、溜やら揺らしなどの微妙な表現が多用される。まさにアルゲリッチ節というもの。もっともそれは単に悪趣味でそういう演奏をしてるわけでなく、曲が突然に深味を増すからそれはさすが。

 そして第3楽章は快速テンポで軽々と弾きこなす。ピアノソロパートでは揺らしもふんだんに入れるが、オケとのパートでは比較的無難な演奏。恐らくアルゲリッチの方も広響の技倆を計算に入れた上で演奏しているのは感じる。あまり極端な揺らしなどをすると、ベテラン秋山はともかくとして、オケとしてはアンサンブルが破綻する危険性があることは考慮の上なんだろう。

 さすがに最早大御所のアルゲリッチ。表現力の奥行きはかなり深いようである。テクニックの方も指のつかえのようなものは感じられないし、堂々たるものと言うべきだろう。そのアルゲリッチの胸を借りる形の広響もなかなかの熱演。

 アンコールはシューマンの幻想小曲集より「夢のもつれ」とのことだが、これがまさに変化自在のアルゲリッチ節。自在の変拍子でサラッと弾き流してしまう。やはり一筋縄ではいかない大御所である。

 

 「平和の夕べ」コンサートは今年も計画されていたが、このコロナの影響で開催が出来るかどうかが極めて怪しいところ。予定通り8月に開催されたとしてもアルゲリッチの来日が可能かどうかが極めて怪しい。広響の方もチケットの発売を当初予定よりも大幅に後送りにして様子を見極めているところのようである。アルゲリッチの来日が不可となれば、チケットの売れ行き事態にも大きく影響が必至なので、判断が難しいところだろう。