徒然草枕

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青天を衝け 第19話「勘定組頭 渋沢篤大夫」

栄一が商売人としての才覚を出すが

 栄一がようやく栄一らしい活躍を開始しました。一橋の懐を豊かにするべく、米の入札制での売却による販売価格上昇、さらには火薬の製造、そして木綿を特産のブランド化して付加価値を上げる。さらに経済を円滑にするために藩札の発行と矢継ぎ早の手を打ってくる。相変わらずスラスラと調子の良い話しっぷりは、明らかに栄一の本質が武士よりも商売人にあることを示している。攘夷の熱に取り憑かれた厨二病を脱して、渋沢栄一がようやく渋沢栄一らしい活躍を始めました。

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 結局はこの功績が認められ、栄一はついに勘定組頭にまで出世。慶喜を初めとして上役連中は栄一の目論んでいることを完全に理解しているわけではなさそうだが、とにかく栄一が実績を上げているということだけは買った模様。栄一はこのまま経済畑を突っ走ることになります。

 一方の成一郞は元より武断派。結局は自分は武士になったということにこだわっており、あくまで武力によって一橋に貢献するという考えで、多分に当時の武士の共通認識として金勘定のことを軽蔑している節がある。成一郞の目にはひたすら財務畑に突っ走る栄一の姿は堕落にも映る模様。栄一は「懐も大事だ」と言っていたが、実際にいくら戦力を整えたところで補給が尽きたらそこまで。水戸の天狗党も結局はそこのところで破綻したんだが、武力バカになってしまっている成一郞にはその辺りは映らないのだろう。

 

慶喜を取り巻く状況は動乱含み

 ただ一橋を取り巻く状況は波乱の度を極めている。幕府はハリスが要求した条約のための勅許を得るのにドタバタ。挙げ句の果てに「何も出来ずに横槍だけ入れてくる朝廷なんか無視してしまえ」という声まで幕閣から出てくる始末。将軍家茂は「さすがにそれはマズいだろう」と抑えに回るが、収拾が付かず。挙げ句の果てが「自分は力不足だから将軍位を慶喜に譲る」と言い出す羽目に。慶喜は慌てて飛んでいって、勅許は自分が何とかするから将軍やめるなんて無茶はいわないでくれと説得することに。慶喜にすると、今の状況の中で将軍になったところで幕閣が自分の考え通りに動きそうにもないことは分かっているから、「こんなところで押し付けられても・・・」ってのが本音だろう。

 結局は貿易の条約の勅許を得るのは、慶喜が「勅許を得られないなら切腹するしかないが、そうなった時には家臣達がお前達をどうにかしても責任は取れん」と天皇の側近連中に露骨に脅しをかけて無理矢理強行突破。天皇の側近連中は未だに尊皇攘夷とか言った現実味のないことを唱えているような使えない連中と、薩摩に通じているような連中だから、慶喜にとっては邪魔なだけ。救いは孝明天皇自身は慶喜のことを高く信頼していること。結局は慶喜は勅許を得ることに成功する。

 と言うのが今回のドラマの内容になっているが、実際のところはこんなに単純なものではなかったようです。孝明天皇は基本的には攘夷派であったためにかなり揺れていたとか。この時も諸外国がかなり強硬な方法に出て来たせいで勅許を出すこともやむなしという状況に追い込まれた模様。この後は孝明天皇も段々と影響力を失っていき、その挙げ句に突然に病死してしまいます。孝明天皇との関係は決して悪くはなかった慶喜にとってはこれも痛手になる模様。

 で、挙げ句の果てに長州征伐で苦戦中に家茂が倒れる。これで必然的に慶喜が将軍を押し付けられることになるんだが、完全に火中の栗を押し付けられる羽目に。本当に不運な人だわ、この人は。

 

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