徒然草枕

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青天を衝け 第23話「篤大夫と最後の将軍」

なんかパリに非常に馴染んでいる栄一

 600万ドル借款の件が、薩摩の横槍で頓挫してしまって任務が達成出来なくなった栄一達。しかし何とか資金調達して昭武の諸国に対する親善訪問は達成、その後は留学ということになったようです。日本からは栗本鋤雲がやって来て何とか巻き返しを図りますが、それは功を奏さないというのは、以前に「歴史探偵」でやっていた通り。

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 その際に一行は髷を落として洋装をすることを求められたよう。栄一はとにかくうれしだから満更でないようなんだが、さすがにこれは水戸のバーサーカー連中は耐えられなかったか。我慢出来なくなって離脱する者が数人。まあ栄一達も「うるさい奴らがいなくなって助かる」ってな感じで、喜んで送り出してましたね。まあそもそも髷を落としただけだと、そのままだとカッパになってしまってあまり頭がまとまりませんからね。武士の体面が云々以前にとにかく格好が悪い。

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一方で日本では慶喜が追い込まれつつあった

 一方の日本では、慶喜がそれでなくても少ない側近をまた暗殺されていると。しかも犯行は直参の連中のようだから、そりゃ「なんでそんなことするんだよ」と文句も言いたくもなるわな。そのおかげで慶喜は全部自分で考えないといけない羽目に。よくまあ過労死しなかったもんだ。

 倒幕に動いている薩摩は、あの下品な岩倉具視の元に集まって、倒幕だ、錦の御旗だ、倒幕の綸旨だと騒いでおりましたが、薩摩がその方向に動くことが分かっている慶喜が先手を打って繰り出したのが「大政奉還」。確かにこれって、薩摩が倒幕するための大義名分を奪ってしまう手なんです。実際のところ朝廷は、いきなり「じゃあ明日から政治よろしく」と言われても官僚もなにもいないわけで、しかも奈良時代にみたいに天皇と数人の側近ですべて差配出来るほど政治が単純でない。慶喜にしたら「出来るもんならやってみろ」とケツをまくったわけで、恐らく早晩頓挫して「やっぱり幕府で頼む」と言ってくるだろうことを見越している。

 しかも王政復古のクーデターを行って慶喜を外した政権を組もうとしたら、薩摩にしたらこっち側だと思っていた土佐の山内容堂や越前の松平春嶽、尾張の徳川慶勝辺りが口を揃えて「なんで慶喜を外すんだ」とぶち切れてまとまらず。山内容堂がかなり吠えてましたが、元々彼は雄藩連合で天皇を補佐するという路線なので、政権構想の中に幕府も含んでいるわけで、完全に幕府を滅ぼして取って代わろうと考えている薩摩とは思想が全く異なる。松平春嶽なども基本的にその路線だから、結局は各人の思惑がバラバラ。

 あくまで幕府をつぶすことにこだわる薩摩は、こうなりゃ何が何でも戦争に持ち込むだけとバーサーカー西郷が幕府側が暴発するように陰謀を駆使した模様。慶喜はそんな手で来るのは読んでいるので、薩摩には手を出すなと言っていたのに、江戸の家臣連中は暴発、挙げ句に大坂城の連中まで薩摩打つべしで大盛り上がり。「何でみんなでよってたかって俺の足を引っ張るんだ」という慶喜の最初は怒り、次に絶望、そして最後には諦めのような感情がみなぎる様子を草薙剛がまずまず表現出来ていたのは良し。にしても今まで「何を考えているか分からない」慶喜が、最後の最後になってきてようやく感情を示すようになった。

 

ようやく話が盛り上がってきたのに・・・

 と言うわけで主人公の栄一は全く歴史に関与してません。結局彼は「パリから戻ってきたら明治になっていた」状態になります。もっとも彼自身は外国で銀行とかいろいろ見て、「やっぱり俺は商売人だ」ということを自覚してきたようですが。政治家も軍人も商売人もみんな一緒というのが多分キーワードになるんだろう。商売によって国に貢献するという発想が多分次回辺りに登場するはず。

 ようやく渋沢栄一が渋沢栄一らしくなってきたんだが、次回は8/15まで飛ぶらしい。オリンピックの影響だろう。いっそのこと栄一に「オリンピックは商売なんだ」と叫ばせたらどうだ。

 

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