徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

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白鷺館アニメ棟

読売日本交響楽団第562回定期演奏会&「鈴木其一」at サントリー美術館

 翌朝は8時前に目が覚める。朝食無しプランで宿泊しているので、昨日買い込んでおいたおにぎりを腹に入れると、朝シャワーで目を覚ます。

 テレビをつけたら豪栄道の全勝優勝のニュースをしている。最近はあまり明るい話題のなかった角界だが、久しぶりに明るい話題か。ところで豪栄道の名はカタカナが非常に似合う。神魂合体ゴーエイドーとか。

 9時前にホテルをチェックアウトすると神戸空港へ。中埠頭からだと乗り換えで遠回りになって面倒くさい。

 今日の11時前のスカイマークの便で東京に飛ぶことになっているからまだ時間がある。空港内で朝食を摂ることにする。朝からカツカレーを食べる気にもならないので、隣のうどん屋でうどんを頂く。

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今日の朝食

 1時間ほどの狭っ苦しいフライトの後、羽田空港に到着したのは12時過ぎ。明日は朝一番の飛行機で帰る予定なので蒲田に宿を取っている。東京に行く前にホテルに立ち寄って荷物を預けておくことにする。

 

 宿泊ホテルは相鉄フレッサイン。特別価格の素泊まり宿泊プランがあったのが選定理由。明日は朝食を摂っている時間はないので素泊まりで十分。また大浴場がないのが私のホテル選択の基準からはずれるが、どうせホテルに戻ってくるのは夜遅くになり、寝るだけになるのが見えているから今回はこれで十分。

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今日の宿泊ホテル

 京急蒲田は非常に猥雑な印象の町。こういう町はガラが悪いと嫌う者もいるだろうが、私のような関西人には普通に馴染める町。ホテルは京急蒲田から徒歩10分ほど。

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蒲田の商店街

 キャリーを預けると京急蒲田に戻る途中で軽く昼食を摂っておくことにする。たまたま目にした「元祖寿司」で適当に寿司を注文。8皿ほど適当に食べて支払いは1263円はCPが高い。くら寿司よりも安いぐらいなのに、明らかにあそこよりは美味い。やはり蒲田は良いところである。

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元祖寿司で昼食

 とりあえず昼食を終えると美術館に移動する。と言っても生憎と今日は月曜日なので開いている美術館自体が少ない。上野地区などは全滅で、こんな時は六本木周辺しかない。そういうわけで目指すはサントリー美術館である。京急からだと大門で一度乗り換えるだけなので意外とアクセスが良い。

 

「鈴木其一 江戸琳派の旗手」サントリー美術館で10/30まで

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 江戸琳派を再興させた酒井抱一の弟子で、その後を受け継ぎつつも独自の作風を展開した鈴木其一について紹介。

 琳派と言えばやはり装飾的な絵画であり、其一もその流れを受け継いでいる。ただ彼の場合はそれがさらに大胆かつ鮮やかな色彩を見せており、特に晩年の作品に関しては圧倒されるようなところがある。また若き頃は写実的な作品も多々あり、実はそれが後々までベースになっているようなことも覗える。本展では年代を追う形で其一の作風の変遷を追いかけているので、その辺りの時間変化に伴う発展という物を一望することが出来て非常に興味深いものがある。

 

 展覧会の鑑賞を終えると喫茶で生麩入りぜんざいを頂きながらマッタリ。毎度のことだが、この生麩が美味いんだよな・・・。

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生麩入りぜんざいでマッタリ

 

シンゴジラをMX4Dで鑑賞

 さてこれからの予定だが、もう美術館はネタ切れ。何しろ開いている美術館が少ない上に(月曜日でなければ損保ジャパンの「カリエール展」に行きたかったんだが)、国立新美術館のダリ展は京都で鑑賞済み、森美術館は以前に行った「宇宙と芸術」だし、BUNKAMURAのピーターラビットは最初から興味がないしということでもう行くところがない状態。だからこの後は映画でも見ることにしている。既に昨日のうちにヒルズのTOHOシネマで「シンゴジラ」のMX4Dを予約してある。

 劇場に到着すると、荷物を座席の横に置けないのでということでロッカーに入れさせられる。わざわざそんなことをさせられる理由は上映が始まるとすぐに分かる。とにかく椅子が前後左右に動きまくる。ライトはピカピカ点滅するわ、顔に風やら霧やらは吹きかけられるわとかなり凄まじい。ゴジラに米軍機が爆弾投下する場面で、背中をゴンと突かれたのにはさすがに笑った。思わず「私はゴジラか!」と言いたくなった。

 もっともそれが映像に対して効果を上げているかと言えば全く逆。ハッキリ言って映像に没入する妨げになることこの上ない。端的に言うと「うざい」。動きの派手なマッサージチェアに座って映画を見ているようなもの。こりゃ高い料金を出してまで入った理由がないわ。ハッキリ言って不要さ度合いでは3Dよりも上。これは今後二度と来ないなと確信した。

 

 映画が終わるとすぐにバスでサントリーホールに移動する。ヒルズとサントリーホールは微妙な距離があり、地下鉄の場合は相当回り道になってしまうのでバスが最も便利な移動手段らしい。30分もかからずにホールに到着する。今日ここで開催される読響のコンサートがそもそも東京までわざわざ飛んできた最大の理由。

 

読売日本交響楽団第562回定期演奏会

指揮=ゲンナジー・ロジェストヴェンスキー
ピアノ=ヴィクトリア・ポストニコワ

ショスタコーヴィチ:バレエ組曲「黄金時代」 作品22a
ショスタコーヴィチ:ピアノ協奏曲第1番 ハ短調 作品35
ショスタコーヴィチ:交響曲第10番 ホ短調 作品93

 もう最初の音が出てきた時から驚く。私が以前に大阪で聞いた時の読響の音と全く違う。煌びやかで力強く分厚いサウンド。読響がこんな音を出せることに驚くと共に、指揮者が変わるだけでもこうも変化するものかと再認識した。しかもオケに対する支配力が半端でない。ホールに満ちあふれる緊張感の中で、グイグイとオケを引っ張っていく。交響曲第10番などは、最初から最後まで緊張感が切れることなく続くので、長くて難しい曲なのに眠気が吹っ飛ぶ怪演。

 ピアノのポストニコワも抜群の表現力を見せていた。非常に濃密で情感の籠もった演奏であり、その迫力たるやさすがと言うべきか。この曲はちょうど昨日に関フィルのコンサートで聴いた直後だが、やはりピアニストの表現力では一段上を行っている。

 コンサートは2時間半に及ぶ熱演だった。しかしわざわざ東京までやって来ただけの価値のあるすごい演奏だった。ロジェストヴェンスキーの健在ぶりをまざまざと思い知らされたコンサートだった。歩き方こそ大分遅くなっているが、2時間半を立ったままトレードマークの異常に長い指揮棒を振り回した続けた体力は、御年85歳とは思えないお達者ぶり。

 

 コンサートが長かったおかげで京急蒲田に戻ってきた時には10時を回っていた。まだ夕食を摂っていないのだが、蒲田の町並みからすると開いている店ぐらいあるだろうと予想していたのだが・・・普通にほとんどの店が開いていた。そこで中華料理屋「ぱんだ」「味噌ラーメン」「チャーハン」を注文。以上で1240円。普通にガッツリ食える。やはり蒲田はなかなか良い町だ。ゴジラには派手に壊滅させられていたが。

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蒲田のぱんだ

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味噌ラーメン

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中太の縮れ麺

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炒飯

 夕食を摂ったのでホテルに急ぐ。ホテルの近くでは怪しいお姉ちゃんがどうやら客を物色中。私は「歩く道徳教科書」と言われるぐらいの品行方正な人間なのでお姉ちゃんには用事はない。まっすぐ前を向いてさっさとやり過ごす。

 ホテルにチェックインすると、シャワーを浴びて明日に備えて眠ることにする。

  

 翌朝は5時過ぎに起床するとただちに荷物をまとめて6時になる前にホテルをチェックアウト、7時過ぎのスカイマークで戻って昼前には仕事場に・・・という予定だったのだが、いざ飛行機に乗ってから待たされる待たされる。羽田が悪天候とのことで滑走路が突然に変更された挙げ句に離陸の順番待ち。結局空を飛んでいたよりも地上を走っていた時間の方が長いのではないかというような状況に。おかげで仕事場入りがギリギリになって焦りまくる羽目になってしまったのである。

 京都市響のコンサートも良かったし、関フィルのもそれ以上に良かった。そしてロジェヴェンの圧倒的な巨匠芸。コンサート的には非常に充実した遠征となったが、さすがに体にキツく、遠征の連チャンは私の体に確実にダメージを与え、この後は腰痛に苦しめられる羽目になったのである。体力の衰えがひどい・・・。