徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

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関西フィルいずみホールシリーズVol.40

 なんかここのところ出ずっぱりのような気がするが、この金曜日も仕事で大阪に出たついでにコンサートへ繰り出すことになった。

 今夜のコンサートはいずみホールでの関西フィルのライブ。デュメイ指揮と言うことでチケットを手配していたのだが、デュメイが急病(どうやら右手がうごかなくなったとか)で指揮者は急遽若手が代演することになったとか。一抹の不安を感じつつホールへと向かう。なお今日も夕食は「えん」出汁茶漬けになった。体調がまだ本調子ではない。

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えんの出汁茶漬け

 

関西フィルいずみホールシリーズVol.40

指揮:カチュン・ウォン
ヴァイオリン:内尾 文香(★)

シベリウス:悲しきワルツ 作品44-1
シベリウス:ヴァイオリン協奏曲 ニ短調 作品47(★)
シューマン:交響曲第4番 ニ短調 作品120

 カチュン・ウォンは2016年のマーラー国際指揮者コンクールで優勝したというシンガポールの新鋭である。

 一曲目の悲しきワルツでは、いきなりボリュームを最小まで絞った上で、極めてゆったりとしたテンポで演奏開始をするのにかなり戸惑わされる。彼の演奏はそこから徐々に盛り上げていくというタイプのものであった。劇的効果を狙ったものとも思われるが、私にはいささかわざとらしさが感じれるものでもあった。

 ヴァイオリニストの内尾文香も現在東京藝術大学の学生という若手なのだが、若さは感じさせてもそれが未熟さにつながらない堂々たる演奏。ソリストと指揮者の若さが共鳴して、なかなかに骨太の聴き応えのある演奏になった。ソリストに対して場内からかなり熱い拍手が続いたが、それも当然。

 最後のシューマンはカチュン・ウォンがその真価を発揮したと言っても良い演奏。生命感に満ちた音色が作曲者の意図と共鳴したのか、実にすばらしいシューマンとなっていた。基本的にはメリハリが強くて振幅の激しいいかにも若い演奏。その結果、関西フィルには珍しい爆音を引っ張り出すことになり、かなりヒヤヒヤするような局面もあったが、これはこれでオケにも良い刺激になっているように感じられた。

 デュメイが振らないというこで不安を感じていたが、これはこれでデュメイとはまた違ったタイプの熱演を聴かせてもらった。なかなかに面白かったので、カチュン・ウォンの今後の活躍に期待したいところである。