昨晩は早くに寝すぎたせいで夜中に一度目が覚めたが、結局はそのまま二度寝。起き出してきたのは7時。とりあえず朝風呂に行ってから朝食は8時から。
朝食はオーソドックスな和定食。しかしこういうオーソドックスなメニューは何となく落ち着く。
ホテルを9時頃にチェックアウトすると、ここから福島駅まで車で走る。福島交通飯坂線の線路に沿って走ることになるが、途中で何度も二両編成の車両を見かけたことから、運行本数は結構多いようである。確かに終点の飯坂温泉以外も沿線は住宅地が続いており、需要はそれなりにあると思われる。もっともこの路線でさえも地方のローカル線のご多分に漏れず、昨今は利用客がじり貧状況にあるらしい。これから日本が人口減少社会を迎えるに当たって、いずれは公共交通機関は民間で支えることは不可能になってくるかもしれない。そういう時に税の配分をどうするかである。また都会と地方との綱引きが起こりそうで難しい。ただ言えるのは、東京という大都市はそれを維持するために地方に多大の負担を強いているのであるから、東京に居住する住民がそれに対して何らかの負担をするべきなのは当然であると考える。
日産レンタカーに車を返却すると、駅までキャリーを引きながら移動。ここのレンタカーは事務所が駅から若干遠いのが難点。まあそれでたびらいで若干安かったのだろう。
福島駅に到着するとすぐにやまびこで郡山に移動する。昨日から東北新幹線で小刻みな移動を繰り返している。福島から郡山は10分ちょっと。郡山に到着するとすぐに駅前の駅レンタカー事務所に飛び込んで予約していた車を調達。今度は勝手知ったるノートである。やはり運転感覚はこちらの方がマーチより良い。
今日は山城を含めて目的地が目白押しの状態。とにかく体力の続く限り攻略を進めるという予定。まずは本遠征の最大目的であった三春城に向かう。
三春城 続100名城に選定された山城
三春城は1504年に田村義顕が築城したと伝えられており、以後田村氏、松下氏等の居城となった。1645年には秋田俊季が五万五千石で入城して、明治維新を迎えて廃城となっている。かつては本丸には三階櫓なども置かれていたという。そしてこの度、続100名城に指定されている。
三春城は三春町の市街を見下ろす山上にある。三春の中心街の近くから山上に続く道が延びており、それが「本当にノートでここを登れるの?」と不安になるような急坂。それを登っていくと二之門跡と表示が出ているところに駐車場があるが、そこからさらに登っていくと本丸下駐車場なる場所に行き着くのでそこに車を置く。ちなみに私の車のカーナビはそこからさらに登るように指示しているのだが、その道は階段である・・・。
本丸はここから階段の道を登っていった先。その内に明らかな虎口構造が見えてきて、そこを抜けると本丸。山上は公園化されていてトイレまで設置されているが、上がってみるとそのトイレの整備用と思われる軽トラがここまで登ってきていてビックリする。「その軽量さによる登坂力、車高の高さから来る走破性、そして小さな車体による小回りの良さ。軽トラこそが山城では最強のマシンだ。」という高橋涼介による解説が聞こえてくる。
本丸は二段の二つの曲輪からなっているが、その下段の曲輪には二の丸跡との表示がある。しかし二の丸の表示は駐車場の下にあって現在は遊具が置かれている曲輪の方にもあり、どちらが二の丸かが紛らわしい。ただどうも下が二の丸であるのが正解の模様。
本丸には天守台のような石組みがあり、現在は秋田氏の墓碑?らしきものが置かれている。なんにせよ、下の曲輪と併せると山上にかなりのスペースがあるのが特徴である。下の曲輪には搦め手門の跡もあり、ここから下の二之門跡のところの駐車場まで降りられるようだ。
山上を見学すると下まで降りてきて二の丸跡の方を見学。ここは現在遊具が置かれている曲輪を中心として、数段の曲輪が構えられているようである。本丸との間に深い堀切が切られているだけでなく、標高差もかなりある。ここが二の丸ということは、下の小学校の辺りが三の丸というところか。ここにかつて屋敷があったらしい。
なかなかに見所のある城郭であった。ただ続100名城に選定された何か決定打というものが今ひとつ見えてこない。単純に城郭の規模などなら先の桑折西山城も遜色がない。そもそも100名城選定にはかなり観光振興の思惑が存在していることから、やはりこの選定は「がんばろう福島」のニュアンスが多分に含まれているような気もする。同様の趣旨なら、私なら相馬中村城、棚倉城なんかも候補だが。
あぶくま洞を探検
山城見学の次は鍾乳洞に潜ることにする。ここからかなり南に走った先にあぶくま洞という観光鍾乳洞があるという。
この地域の山は石灰岩を産出するため古くから切り出しが行われていたらしい。その際に発見されたのがあぶくま洞とのこと。全長3キロ以上にもなるという長大な鍾乳洞らしいが、その手前の一部600メートルほどが観光用に公開されているという。
現地は長年の採掘跡かかなり大きな剥き出し岩盤となっている。周囲には土産物屋なんかも建っていて完全に観光地。そう言えば今日はまだ昼食を摂っていなかったので、入洞前にレストランに立ち寄って天ぷらそばを食べておく。
入洞券だが、通常コースに200円プラスで探検コースなるものがある。聞いたところによると「ずぶ濡れになるようなコースではない」とのことなので探検コースにチャレンジすることにする。
内部は観光洞として完全に整備されているので足下に不安を感じるようなところはない。ところどころに鍾乳石が見られる。
しばらく進むといきなり洞窟の中に係のおっちゃんが座っていて、ここでチケットを見せてから探検コースに進む模様。異世界から急に現実世界に引き戻される感覚である。
探検コースは水の中を進むようなところはないが、狭いので身をよじらせたりかがんだりして進まないと行けないところが多数。また私の体が分厚すぎるせいで、一カ所だけかがんで片膝をつかないと進めない箇所があった。なお遠回りする分、いろいろな鍾乳石を見ることが出来るので、特に体に問題がない人にはお勧めである。
狭いところを抜けていくといきなり大広間に出て、ここで一般コースと合流になる。ここが洞窟のクライマックスでもある滝根御殿。かなり広くて天井の高いスペースに諸々の鍾乳石が見える。
竜宮殿を抜けて先に進むとなぜかベンチが置いてある。その向かいにはクリスマスツリーなる鍾乳石が、ここでカップルでロマンチックに愛でも語れってか? どちらにしても私には関係ない。とにかくクリスマス関係は私にはすべて鬼門である。なお私と一緒にクリスマスを祝ってくれる女性については引き続き募集中である。
最後は月の世界なる荒涼とした洞窟に出るが、ここは照明による演出を行っている。とにかく観光洞としていろいろ仕掛けをしている洞窟である。なおこの辺りにはワインなども貯蔵されており、これらのはワインは帰りの土産物店で購入可能というわけであるが、アルコールが天敵の私には無関係。
結構長い洞窟(だが、これでも公開されているのは全体の1/5程度らしい)であり、途中で探検コースなども抜けたために結構圧迫感があった。さすがに閉所恐怖症の気は全くない私でも表に出るとホッとする。
入水鍾乳洞の見学
あぶくま洞の見学を終えると、続けてこの近くにあるという入水鍾乳洞を訪れることにする。こちらの鍾乳洞は知名度ではあぶくま洞に劣るものの、洞窟探検としての本格的さはあぶくま洞以上というマニア向けの洞窟である。とは言うものの、私は今回は何も本格的洞窟探検なんてするつもりはない。
コースはABCの3つに分かれており、Bコースからは水中をザブザブと進むコースになり、Cコースはガイド同伴になるらしい。私は今回は当然のように観光Aコース。
ただそれでも入洞前に「足下は険しいですよ」と警告を受ける(私が杖をついていたからだが、これは登山杖で別に足が悪いわけではないですと答えた)。実際に入ってみると、確かに先ほどのあぶくま洞と違って足下は石がゴロゴロしていたりなかなかにワイルドである。日頃から山道を歩き慣れているものにはなんてことないが、それでも気をつけないと濡れた石の上で転倒する危険はある。
また先ほどのあぶくま洞と比べると顕著な違いはとにかく水が多いこと。洞窟中に滝や川があるし、あちこちで水が流れていること。それにとにかく狭い箇所が多い。先ほどのあぶくま洞の探検コースなんかよりもこちらの方がよほどハードである。
そんな中をしばし進むとAコース終点と書いたゲートにたどり着く。ここから先はBコースらしいが、いきなり足下が水中につながっているのには驚く。確かに水中を歩く覚悟がないとBコースにはいけないようだ。その上にBコースは照明も持参する必要がある。
ここまでで10分ちょっとぐらい、またここまであまり鍾乳石は見られないので、洞窟マニアとしてはこれだと消化不良な感が残るだろう。本格的洞窟探検を行いたい方ならお勧めだが、私はそもそも洞窟マニアというわけではないし、この寒空の下で水浴びをする趣味はない。今日は最初から本格的探検なんてする気もないのでさっさと引き返す。そもそもこの先に進むには体力と体型に問題がありそうだ。挑戦するつもりならもう少し体をコンパクトにする必要がある。
これで洞窟探検は終了、ここからは山城探検第二弾ということにする。ただもう3時近くになっているので、本日の宿泊地に向かいつつ沿線の山城を拾っていくということにしたい。
大越城 三春田村氏の重臣・大越氏の居城
最初に立ち寄ることにしたのは大越城。戦国の末頃に三春田村氏の重臣である大越顕光が居城としており、1566年に築城されたとか。
県道19号を磐越線に沿って北上、大越駅の手前にある見渡神社の裏手の山が大越城。見渡神社の裏手に車で回っていくと、案内看板があって杖まで用意してある親切さ。ちなみに私は杖は持参。駐車場はないが、道路脇に車を置ける余裕があるのでここに車を置いて進む。
山道を登っていくといきなり堀切の表示と共に、こちらを見下ろしてくる高い曲輪がそそり立つが、これが東の舘。まさに大手口の関所という構えである。
ここを抜けると右手に押上という表示があり、鳥居が建っている。本丸に行くにはこちらを登っていくことになる。看板は整備されているし、下草もキチンと刈ってあって非常に整備されているので実に歩きやすい。
左右に細かい削平地をいくつも見ながらしばし登っていくと虎口に突き当たる。ここを抜けて進んだ先が本丸である。本丸はそれなりのスペースがあり、今は祠が置いてある。本丸が神社になっているというお約束のパターンのようだ。
二の郭は本丸の西に降りたところにある。そこそこの広さはあるが、巡回コースから外れるせいか下草が刈られていなくて鬱蒼としていて先に進むのはやめる。
二の郭から続きで南に回り込んだところが馬場との表記のある小スペース。ここには駒石と呼ばれる巨石がある。この上に馬爪大の痕跡があるとのことだが、岩の上に登る気力も体力もなし。
ここを回り込んで降りていくことにするが、ここからは斜面が結構急である上に道の状態が良くない。神社の表参道筋は整備しているが、こちらまで手が回っていないというところか。それどころかようやく下の休石の手前まで来たところで巨大な倒木に道を塞がれていて、これを通り抜けるのに一苦労させられる。
休石からは帯曲輪や西の舘を左右に見ながら進むことになる。先ほどから時々細かい水滴が顔に当たるのが気になるところ。雨が若干ぱらつき始めているようなので先を急ぐ。
本丸下の谷状の斜面の中腹に井戸跡もある。籠城に非常に大切な水はここで確保していたようだ。なお今日でも水が湧いているらしい。なお近くにある朝霧城は井戸がなかったため1キロ先の水源から堀で水を引いていたところ、そこに毒を放たれてしまったためにこちらに移ってきたとのこと。
下大越城(朝霧城) 水源に毒を入れられてしまった城
大越城の見学を終えるとその朝霧城こと下大越城に向かう。住宅街背後にある山がそれっぽいのだが、どこから登れば良いのかが分からずに回りを車でウロウロしている内に、「朝霧城東入口」なる看板を見つけたのでその近くに車を停めて徒歩で登る。
登るとすぐに北舘跡との間の堀切に到達するので、北舘は後にしてまずは本郭の方に登ってみる。
本郭に登ると視界が開け、下まで数段の削平地がある場所に到達する。どうやら城跡を桜公園にするべく整備して植林している模様。一応、本郭跡、二の郭跡、御殿跡などの看板が立っているが、公園整備のせいかなだらかな緩斜面になっている雰囲気で、城郭としての険しさは全く感じられない。かすかに土塁跡などがあるのが城跡としての主張はしているが。
裏手に回ると北舘の方を登ってみるが、こちらは本郭の方と対称的で道なども整備されておらず、曲輪内も木が茂っている。二段の曲輪になっていてかなり回りは急である。本郭と連携して守っていたことが分かる。
ここの城が水源に毒を入れられてしまった城であり、確かに城内に水の手は見当たらない。また地形的には平時の館を構えるには良さそうだが、戦時の城郭としては堅固さで大越城に劣る。水源が駄目にされたことがなくても、戦が激化してくればあちらに移転するのは必然だったのではと感じられるところである。
磐梯熱海温泉で宿泊
これで今日の予定は大体終了である。もう体に大分ガタが来ているし、夕方になってきているし、宿泊ホテルに向かうことにする。今日宿泊するのは磐梯熱海温泉の金蘭荘花山。船引三春ICから磐越道に乗ると、そのまま西進、順調に磐梯熱海温泉に到着する。
磐梯熱海温泉は山間の街道沿いの温泉街という印象。道路沿いに大手ホテルが並んでいる。金蘭荘花山はそのホテル街の真ん中付近。
なかなか綺麗なホテルで、私が通された部屋も広いゆったりとしたもの。部屋で一服してから大浴場に向かう。大浴場は内風呂に露天風呂が隣接した造りで、露天風呂は川に浮かぶ船をイメージした浴槽。泉質はアルカリ単純泉とのことだが、ややネットリ感のある湯である。ここでとにかく今日の疲れを抜いておく。今日はかなり無理をしたが、既に太ももに張りなどが出ており、これは明日以降が思いやられるところ。
風呂からあがると間もなく夕食の時間。夕食はレストランで会席料理。ビュッフェでガッツリ食うのも悪くはないが、私はどちらかと言えばこちらの方が合っている。
品数も多いしなかなかにうまい。一番印象に残ったのは豚の温しゃぶ。豚肉がひじょうにうまかった。
夕食を終えるとしばし部屋で過ごすが、疲れが出てきていて頭がボンヤリとして何も出来ない。この原稿を入力しようにも頭がまるっきり回らない状態。仕方ないのでとりあえずもう一度入浴へ。冷たい空気の中での露天風呂がなかなかに快適。
風呂からあがるとしんどいのとすることがないのとで早めに就寝する。