翌朝は7時までウトウトとしていた。老化による睡眠力の低下で、この時間まで一気に寝通せずに途中で何度か覚醒してしまうのがツラいところ。
起床するとまずは朝風呂の小原庄助さんコース。これがまた快適至極。湯の暖かみが体に染みこんでくる。
体が温まって動くようになったところで朝食バイキングに繰り出す。こちらも品数十分。朝から出汁茶漬けがあるのが私にはうれしい。朝から和洋両用でガッツリと頂くことにする。
朝食を終えるとチェックアウトの支度。今日は古川駅から9時50分のはやぶさで新花巻まで移動するので、それまでにレンタカーを返却して古川駅に到着する必要がある。チコちゃんが始まる頃にはチェックアウトすることにする。
古川から東北新幹線で新花巻へ
小雨がぱらついていた昨日と違い、今日はやや暑いぐらいの晴天である。古川までの運転は至って順調で問題なくレンタカーを返却すると、予定よりやや早めに古川駅に到着する。
さてこれからであるが、新幹線で新花巻まで移動すると、そこからSL銀河に乗車して遠野を目指す。今日は遠野で一泊の予定だ。以前から遠野付近の空気には惹かれており、一度ここで宿泊したいと考えていた次第。今回はその宿題の解決も目的にある。以前にこの地域を通過した時に、SL銀河とすれ違っており、どうせなら次に来る時にはこれに乗車したいと考えていた。
新花巻までの移動は面白くもない半地下新幹線。それにしても前から感じていたのだが、東北新幹線の車内メロディ、私にはどうしても「キャンディキャンディ」に聞こえてしまう。
新花巻でSL銀河に乗車する
新花巻での新幹線と在来線は改札外接続。そもそも在来線の新花巻駅は線路脇にいかにも急造した無人駅のようである。かなり幅の狭いホームに今日はSL銀河の乗客が大量に殺到。アジア人観光客らしい連中もチラホラと見かける。
数分で西の方からSLが黒煙を上げながら到着する。汽笛の音に一堂のテンションも上がる。到着すると乗客がゾロゾロと乗り込むが車内は満員状態。しかも洒落たデザインが徒となって、座席が狭い上に網棚も小さいので荷物が溢れているような状態。
車内には宮沢賢治関連の展示が多数あり、土産物販売にも力を入れている。多くの客は座席に座ることもなく車内をウロウロ。山の中を抜けたSLはやがて宮森に到着。宮森では対向車と行き違いのために数分停車。これが乗客にとっては格好の撮影タイム。あちこちで記念写真を撮影している連中が。
対向車の快速が到着すると、SLは宮守を出発。宮森を出るとすぐに鉄橋があるのだが、鉄橋の下には手を振る地元民と撮り鉄のカメラの砲列。
では、令和版汽車ぽっぽ
汽車汽車ぽっぽぽっぽ しゅっぽしゅっぽしゅっぽっぽ
アジアン乗せてしゅっぽしゅっぽしゅっぽっぽ
のろいぞ のろいぞ 窓の外
野山も畑もみな過疎だ
走れ走れ走れ 鉄橋だ 撮り鉄の大軍だ
ちなみに平成版汽車ぽっぽを再掲
汽車汽車ぽっぽぽっぽ しゅっぽしゅっぽしゅっぽっぽ
鉄オタ乗せてしゅっぽしゅっぽしゅっぽっぽ
のろいぞ のろいぞ 窓の外
ジジイの軽トラ先にゆく
走れ走れ走れ トンネルだ 窓締めろ!そこのガキ
宮守を出たところで車内のプラネタリウムを見ることにする。プラネタリウムと言っても大したものではなく、宮沢賢治の銀河鉄道の夜のエピソードを小部屋の天井に映すだけの10分程度のもの。そう言えば昔、キャラクターを全部犬にした銀河鉄道の夜のアニメ映画があったな。あれは結構名作だった。
カッパの里遠野に到着
1時間半ほどでSLは遠野に到着する。ここで1時間ほど停車した後にSLは釜石を目指すが、私はここで降りることになる。
まずは昼食を摂る必要がある。駅前の観光案内所に立ち寄ると、土産物コーナー(カッパ尽くしである)を覗いて、地元サイダーで一服してから、飲食店マップをもらう。それを参考に鍋倉城の方向に向けてプラプラ歩く。
遠野はカッパの町だが、町のあちこちにカッパがいる。ただそれに紛れて桃太郎ご一行様までいたのだが、これはどういう関係?
遠野名物ひつこそばを昼食に頂くと城下町散策
昼食を摂るのに立ち寄ったのは伊藤家。観光客が大量に来店しているようでしばし待たされることになる。20分ほど待たされた後に注文したのは遠野名物という「ひつこそば」。小さい容器に入った三段のそばで、それに薬味の入った一段が加わる。形式としては出雲のそばを連想させる。薬味はねぎ、しいたけ、なぜか鶏肉。後は大根おろしも添えられている。これらを加えてそばつゆをかけて頂くタイプ。やはり出雲のそばを連想する。なかなか美味。
昼食を終えると、かつての城下町の風情が残る一角をプラプラと散策しながら駅方面に戻ってくる。とりあえず荷物を預けて身軽になりたいと考え、今日宿泊する予定の民宿とおのに立ち寄ると荷物を預けることにする。
レンタサイクルでカッパ淵へカッパの捕獲(笑)に
身軽になると再び遠野駅に戻って駅前の観光案内所でレンタルサイクルを借りることにする。通常の自転車と電動アシストがあるようだが、体力に全く自信のない私は追加料金を払って電動アシストを借りることにする。
最初に向かったのは5キロほど先のかっぱ淵。カッパが出ると言われている水辺である。ちなみに遠野市ではカッパに懸賞金がかかっているらしく、見事にカッパを捕まえると一千万円だそうな。一攫千金目指して自転車を漕ぐ。途中で電動アシストの割にやけにペダルが重いと感じて確認したら、コントローラにエラーが出ていてモーターが作動してなかった。
田んぼの中をしばしツーリングした後にたどり着いた常堅寺の奥にある水辺がかっぱ淵。いざ現地に着いてみると思っていたよりも水深が浅い。もしカッパが現れたとしたら、この水深だったら丸見えである。カッパ釣り用のキュウリの付いた竿なども置かれてあり、カッパ捕獲の許可証を入手しておけばこれを使えるとか。ただ見渡したところ、カッパは夏休み最終日で外出中であった模様である。
伝承村を見学
かっぱ淵の見学の次は近くの伝承村に立ち寄る。ここは昔の農家に養蚕関係の器具などが展示してある。住宅はいわゆる曲がり屋という厩舎と家屋が一体となったこの地域らしい構造である。この地域には馬に恋してJRAの騎手になった・・・じゃなくて馬と共に天に昇ってしまった娘の伝説があるらしい。なおここの売店で桑茶が無料で振る舞われていたが、これが意外にサッパリしてうまい。なるほど蚕が桑ばかり食べるわけだ(笑)。
伝承村を出ると西に向かって走る・・・はずだったのだが、かなり行ったところで何やらおかしいことに気付きGoogle先生にお伺いを立てたら、何と北に向かって走ってしまっていた。慌てて出発点まで戻って修正。またも無駄に体力を消費してしまった。それでなくてももう予備体力はあまり残っていないのに。
横田城 鎌倉市時代の城郭跡
これから目指すのは横田城。鎌倉時代の城郭と言われているが、築城年代等は不明らしい。恐らく地域豪族の城館だったのだろう。しばし自転車をこいでいると、それらしい小山が見えてくる。
かなりマイナーな城跡なのだが、現地手前から看板が立っており、現地では案内看板に従って進むと城の南側に登山口がある。それに従って進むと迷う余地もなく本丸の祠のところまでたどり着ける。所要時間は大体10分ほどで、急な階段を2カ所登るだけなのだが、それだけでヘロヘロになる私の体力の情けなさ。階段を登り切ると意外などほどの広さの平地に出て、その奥に祠が建っている。地方の小城と侮っていたが、山上の面積は意外に広いのでそれなりの防御力を持ったそこそこ広い館を構えることが出来る。この周辺は平地で田んぼも広いことから、それなりの実力者がここに屋敷を構えたのではないかと推測される。
横田城の見学を終えるともう体力も限界だし、自転車のバッテリーの方も心許なくなってきたことから駅に戻ることにする。途中のセブンイレブンで現地製の甘酒でエネルギーチャージ。無加糖とのことなのだが、その割には非常に甘い。エネルギーチャージには良さそうだが、日頃から愛飲していたら太りそうだ。
民宿とおので宿泊
16時過ぎに駅前まで戻ってくると観光案内所に自転車を返却して宿に向かうことにする。民宿と言ってもいろいろあるが、民宿とおのは典型的な昔の民宿。部屋には鍵がなく、冷蔵庫は共用というパターン。部屋に冷房がないが、恐らくこの辺りでは不要なのだろう。
荷物は既に部屋に入れてくれてある。とりあえず浴衣に着替えると汗を流しに風呂に。風呂はいわゆる少し大きめの家庭風呂レベル。とりあえずかなりの距離を自転車で突っ走ったせいで頭から汗だくになっているので、汗を流してサッパリとする。
風呂を上がって部屋に戻るとすることがない。しばらく扇風機で涼んでいたがしんどくなってきたので早めに布団を敷いてその上に転がって休む。原稿の入力をしようと思ったのだが、極度に疲れているせいで知力も集中力も80%低下しており、全く文章が頭に出てこないので断念する。
18時になると夕食のために食堂へ。ここの食堂には囲炉裏があって、この囲炉裏でヤマメを焼いている。このヤマメが実に美味。骨まで柔らかく食べられるのが驚き。私はメインはジンギスカンのプランだったのだが(なぜか遠野の名物がジンギスカンらしい)、これは少し失敗。今の私はジンギスカンで肉を食うよりは、和食でしっかり頂きたい気分。若い頃とは感覚が大分変わっていることを痛感した。なお付け合わせの小鉢は現地野菜のメニューばかりだが、これが意外に美味い。どちらかと言えば野菜嫌いの私がそう感じるのだから間違いない。
夕食を終えて部屋に戻ると、テレビは何もないし(そもそも電波の入る局数自体も少なく、驚いたことにNHKが入らない)、体が異常に疲れているしで、布団を敷いた上に横になっていたらそのまま意識を失ってしまった。