腹が膨れた次は別府市美術館を訪問することにする。以前は海岸近くの古いホテルと思われる建物にあったのだが、耐震強度の問題で移転したと聞いている。
別府市美術館
以前は明らかにホテルの建物を流用していたが、移転先も美術館用に新設したのではなく、何かの施設を流用した様子で、展示室というよりも会議室やロビーと思われるスペースに作品を展示してある。
私の訪問時には地元の美術団体による展覧会と所蔵品展が開催されていた。所蔵品の中に何やら見覚えのある丸や四角がと思えば、先ほど県立美術館で見たところの宇治山哲平氏の作品であった。なお宇治山氏の作品、どこかで覚えがあると思ったら、サントリーホールの壁面の謎の彫刻が彼のデザインによるものらしい。
所蔵作品は近代日本画が中心で、小磯良平などのメジャーどころの作品なども一点ずつぐらい展示があったが、いずれも正直なところ大した作品ではない。それよりも地元関連の作家の絵画の方に面白いものが数点あった。
この建物は何だ?
美術館を出てくると、目の前に謎の塔があるのが気になったので正体を確かめに行くことにする。どうやら有料の展望台の模様。恐らく構造体の鉄パイプの中にエレベーターが設置されているんだろう。しかしこの展望台は下から見上げただけで私の高所恐怖症をかきたてる代物であり、こんなものに上がるのは問題外である。
久しぶりに明礬温泉に立ち寄ることにする
この辺りで大体想定していた予定はほぼ終了してしまった。しかしまだホテルのチェックイン時刻まで若干の余裕があるし、このままホテルに入ってしまうのも芸がない。今日泊まるのが温泉旅館なら早々と旅館に入って温泉三昧もありだが、今日泊まるのは以前にも何回か使用した西鉄ビジネスイン。温泉付きのビジネスホテルである。早々とホテル入りするのは少し寂しい。
ではどうするかと考えた時、やはり別府なら外湯めぐりだろう。そこで昔に一度立ち寄った明礬温泉があたまに浮かぶ。あの強烈な湯はなかなか忘れがたいものがある。ということでここから車を飛ばして明礬温泉に向かう。車が山に近づいてくるにつれて、辺りからは硫黄の匂いが漂うようになってくる。
立ち寄ったのは露天風呂であるやまの湯。券売機でチケットを買って入場。平日のためか先客は数人。
明礬温泉は泉質としては含硫黄単純泉。pHは2.3とかなり強烈な酸性泉である。若干青みかがった白濁があるが、これが硫黄泉の特徴。とにかく強烈な硫黄臭がする。酸性が強いのでやや肌当たりの強さはあるが、その時はやや肌がガサガサする感じがしても、それはすぐにしっとりと復活してくる。いかにも温泉らしい温泉でなかなかに快適である。
風呂上りには温泉蒸し玉子に地獄蒸しプリン
風呂からあがると蒸し玉子を頂く。何の変哲もないゆで卵だが、硫黄分の多い温泉の蒸気で蒸しているので内部の白身は茶色く着色しており、燻製のような匂いがする。これはなかなか美味。
温泉で汗を流すと近くの岡本屋売店に立ち寄り、名物の地獄蒸しプリンを頂く。ここの温泉を訪ねたらまずはここに立ち寄らないと始まらない。平日にも関わらず車がいっぱいである。地獄蒸しプリンはいかにも昔懐かしい蒸しプリンで、素朴な味に苦味のあるカラメルがなんとも懐かしい。
ホテルにチェックインすると「国の奢り」で贅沢ディナーに繰り出す
さてこれで完全に別府での予定は完全終了というところか。チェックイン可能時刻を過ぎたことだし、今日の宿泊ホテルを目指すことにする。今回宿泊するのは西鉄リゾートイン。別府市街地にある温泉付きビジネスホテルで西鉄バスのターミナルにもなっているというホテル。近くに内藤多仲による別府タワーがある。
ホテルにチェックインするとGoTo地域クーポンが使えるようになった。今回はパック旅行の旅費の分すべてに対してなので、何と6000円ものクーポンがある。しかし紙クーポンでなくて電子クーポン。これの使い方が分かりにくいうえに紙クーポンしか対応していない店がかなり多いのが困ったもの。実際、近くのセブンで使おうとしたら紙クーポンしか使用できないと言われた。どうもGoTo周辺はシステムに問題が多い。
この6000円の期限が明日までなので、できることなら今日の夕食辺りで使いたいところだ。しかしどこの店で電子クーポンが使えるのかがよく分からない。それにいくら電子クーポンが使えたとしても、大分くんだりまで来てチェーン居酒屋やファミレスには入りたくない。そこでざっとネット検索。以前に何度か使ったことがある近くの割烹料理店「とよ常本店」がどうやら使用できるらしきことが判明。これで夕食を摂る店は決定である。
とよ常本店は以前の場所から移転して広く綺麗になったようである。私が到着した時はまだ7時前だったので席に空きがあってすぐに入店できた。とりあえず店員にGoTo地域クーポンの電子券が使用可能であることを確認してからメニューをチェックする。
通常なら天丼やらの類から行くところだが、それだと6000円にならずに腹いっぱいになってしまう。今回は「国の奢り」なのだから豪勢に行きたい。すると「クエの刺身(2000円)」が本日のおすすめとのこと。まずは早速これを注文する。
やはりクエはなかなかにして淡泊な魚である。しかしフグよりは味に強さがある。フグともカワハギとも違ったタイプの美味さがある。さて次であるが、関アジを注文したかったのだが、本日品切れとのことなので本マグロを注文。
これはネットリした味わいが特徴的だが、意外に驚きはない。やっぱりマグロは日ごろから様々食べているせいか。刺身ばかりになったので趣向を変えて次はブリしゃぶを注文することにする。
特製の出汁でまずは豆腐とシイタケを煮てからその出汁にブリと野菜をくぐらせて頂く。もうこれが絶妙に美味い。軽く熱の通ったブリの旨味の豊かさ。思わず「うーん」という声が出る。これが本日一番の感動である。
ブリしゃぶを平らげた後は出汁を使って雑炊で締め。これもなかなかに美味い。まさに堪能であるが、ざっと暗算するとまだ支払いが6000円に到達していないと感じたので、最後にワカサギの天ぷらを注文。
これもなかなかのものである。こうして「国の奢りによる贅沢な晩餐」を堪能したのである。なるほど安倍が公金を横領しての贅沢な会食をやめられないわけだなどと妙に納得。ちなみに支払いは途中で頼んだデコポンソーダも含めて6270円。見事に計算通りである。
ホテルに戻ると入浴することにする。このホテルには温泉大浴場がある。泉質は塩化物泉との表記があり、湧出温度が50℃以上と高いことから、水道水で冷却している模様。肌触りはあまりベチャッとした感じはなく、舐めてみてもさしてしょっぱくはない。浴感はあまり強くないのだが、とにかく大浴場は至極快適である。今日は結構細かくあちこち動いたので足にかなり疲れがたまっているのをほぐしておく。
部屋に戻ると原稿執筆作業・・・と思ったのだが、急激に激しい疲れがこみ上げてきて集中力が皆無。仕方ないのでベッドの上にゴロリと横になったらすぐに激しい眠気がこみ上げてくる。そう言えば今朝は浅い眠りの挙句の5時過ぎ起きだった。昨晩の就寝が0時を回っていたから、睡眠時間が全く足りていない。そのつけがここになって急激に押し寄せてきたようである。どうしようもないのであきらめて就寝したのは、まだ22時にもなっていなかった。