中里城遺跡に立ち寄る
次に立ち寄ったのは津軽鉄道終着駅の津軽中里の少し北にある中里城。城というか、そもそもは縄文時代の遺跡だったのだが、その後も使われ続け、平安時代には土塁などで区画されたムラとなり、室町時代には城館としても使用されていたという。
現地に到着するとバスまで入れそうな広さの駐車場がある(ただしここまでの道がバスが通るにはしんどい)。史跡公園として整備されているようなので、地元としてそれなりに気合いを入れた施設なのだろう。
階段を登っていくと遊歩道と合流し、そこから1分とかからず遺跡に到着する。回りを見渡す小高い丘陵の上に位置しており、確かに私がこの地方の豪族だったしてもまず間違いなくここに屋敷を置くだろうという地形である。戦国を生き抜くための城郭としてはいささか心許なさがあるが、中世の城館なら十二分である。
東には空堀の跡があり、南には柵の跡が見つかったとのこと。周囲を明らかに区画していたようだ。中央には土塁と空堀が作られている。その向こうには多数の住居跡がある。
南西隅に木造の展望台が立っているのだが、老朽化のせいか立ち入り禁止となっている。ここのような豪雪地帯ではこのような剥き出しの木材の建造物は劣化が早い。恐らく気合いを入れて整備したのだが、利用者もあまりなく展望台を保守する気も起こらなかったんだろう。確かに観光客がワラワラ来るような施設でもなく、せいぜいが地元民の散歩コースがせいぜいと言ったところである。
不老不死温泉を目指す
これで大体回るべきところは回った。相応の時刻になってきたし、不老不死温泉にたどり着くにはここからはかなり南下の必要のがあることからいよいよそちらに向けて移動することにする。
ここからは荒涼たる中をひたすら突っ走ることにとなる。ようやくそれなりの町にたどり着いたと思えば鰺ヶ沢である。
そこからは国道101号線をひたすら海沿いに走行。101号線は概ね走りにくいというところはないが、それでもところどころで狭隘分はあるし、アップダウンも激しい道路である。右手を見ると日本海がかなり荒れているのが目に飛びこんでくる。剥き出しの岩礁に打ち付ける波はそのまま東山魁夷の絵画の世界である。
延々と何もない海沿いを走り続けて、突然に都会に出たと思えばそれが深浦漁港である(スーパーがあるだけで大都会に見えてしまう)、目的地はここから数分の距離。なるほど、いざとなった車をここまで出したら買い出しは可能だなということを記憶の片隅に入れておく。
黄金崎不老不死温泉はいざ現地に到着すると普通に大きなホテルなのでいささか拍子抜ける。どうも勝手に海辺の旅館みたいなのを想像していた。
部屋は新館のツインの部屋を用意してくれたようでかなり広い和洋室。部屋からは一応は海が見えるが、絶景と言うほどでもない。
海辺の露天風呂で入浴する
少しほっとしたところでとりあえず入浴に行く。ここは海の近くの露天風呂が有名。なお露天風呂は撮影禁止という張り紙がしつこいほどに貼ってある。そうでないと撮影を試みる輩がいるんだろう。なお露天風呂には洗い場他は全くなく浴槽があるだけなので、まずは内風呂でかけ湯をしてから浴衣で露天風呂に行ってくれとのこと。なお今日は女湯と混浴となっており、どうやら女性の団体客でも予約しているようである。
お湯は含鉄-ナトリウム塩化物泉で中性の強塩泉。鉄分を含んでいるので黄色の着色が顕著だが、湯自体はとにかくしょっぱいのが目立つ。塩分濃度が相当高いようで、死海よろしく体が浮きそうに感じる。
そして何よりすごいのは海がそこにあること。今の時期は沖から押し寄せる荒波が大迫力である。台風などで海が荒れたら恐らくこの露天風呂はもろに波をかぶるだろう。
まあ話のネタとして一度体験して損はない。ただしこの時期は風呂の出入りがとにかく寒いし、あまりにもダイナミックすぎて湯を楽しむという雰囲気とは少々違うような気がする。特に今日は風が強いのでとにかく寒い。おかげでのぼせはしないが温まるという感じでもない。とりあえず風景をタップリと堪能したら次は本館の内風呂の方に移る。
こちらも湯は同じ模様。温湯と熱湯があるから好みで選ぶことができる。ゆっくりと湯を楽しむならこちらの方が正解だろう。
なお新館の方に大浴場があるらしいが、こちらは後で楽しむことにして、部屋に戻るとしばしマッタリする。パッドをWi-Fiにつないで家で録画した番組を送信して視聴。
夕方になってきたところで今度は新館の大浴場に出向く。内風呂に露天風呂も付属している模様。ただし露天風呂は温湯なので風が吹きすさぶ中ではいささか寒い。
湯は基本的に本館のものと類似しているようだが、こちらの方が鉄分が強いようで金気臭が半端ない。湯の色も黄色というよりも赤い。肌辺りはややきつめ。
風呂からあがるとしばし原稿入力作業。その内に夕食の時刻となるのでレストランの方に出向く。
夕食は海鮮の会席
夕食は海鮮中心の会席。刺身がなかなかに美味いが、やはり青森はとにかくホタテが美味い。さらには焼き魚がこれまた地味に美味い。
ワカメのツルツル麺のおすましとか変わったものもある。またこの地域では茶碗蒸しは甘いものらしい。これは驚いた。なお連日のアワビとはこれまた贅沢。
最後のデザートは人参のシャーベット。どうやらこの地域は人参が名産らしく、部屋に置いてあった菓子も人参餅だった。とりあえず人参餅は土産物として購入。
この後は再び新館の内風呂でタップリと入浴すると、眠くなるまでワーケーション。と言っても実際のところは長時間ドライブの疲れは激しく、すぐに眠くなるので早めに就寝するのである。