徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

お知らせ

アニメ関係の記事は新設した「白鷺館アニメ棟」に移行します。

白鷺館アニメ棟

岩木山麓の嶽温泉に立ち寄ってから酸ヶ湯温泉まで長距離ドライブする

朝から不老不死温泉を堪能してから出発

 翌朝は7時まで寝る。身体はかなり重い。ただ今日はかなり長距離ドライブする必要がある。朝から新館の塩っぱい風呂で気合いを入れる。なお昨晩は真っ赤だった湯が今朝は白っぽい。夜中の間に男女湯チェンジがあったが、多分湯も張り替えたものと思われる。鉄系の温泉は新鮮なうちは白っぽい色をしているものが、鮮度が落ちてくると酸化して赤っぽくなってくるものである。

 入浴して目を覚ますとレストランで和食のバイキング。内容的にはまあまあ。とりあえず今日の長距離ドライブに向けてエネルギー補給である。

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バイキング朝食

 昨日の天候はやや荒れ模様であったが、今日は天候は回復に向かう模様である。どうやら計画通りで支障はなさそうだ。とりあえずチェックアウトの10時までは例によって原稿執筆で過ごす。

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昨日よりは海も静か

 10時にホテルをチェックアウトするとまずは鰺ヶ沢まで海沿いをひたすら北上である。やはり海は昨日よりは穏やかな雰囲気。鰺ヶ沢に到着するとそこから県道3号を南下する。どうせだから岩木山南の嶽温泉に立ち寄ろうという考え。

 

岩木山目指して突っ走るが

 県道3号は悪い道ではないが、半分山道であり起伏が激しい。いい加減疲れてきた頃にようやく岩木山が正面に見えるようになってくる。

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岩木山が見えてきた

 嶽温泉が近づいてきたところで手前には津軽岩木スカイラインの入口がある。あわよくば岩木山の見学もしたかったのであるが、残念ながら既に岩木山は冬支度に入ってスカイラインは閉鎖されているようである。スキー場があるような山なら冬季閉鎖はないのだが、岩木山はスキーの出来るような山ではない(山容が険しすぎる)ので冬は閉鎖なんだろう。

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岩木スカイラインは閉鎖中

 

嶽温泉で絶品の湯を堪能

 ここから数百メートルというところに嶽温泉はある。山のホテルで立ち寄り入浴が出来るようなので訪問する。

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嶽温泉山のホテル

 浴場は湯気が立ちこめている。泉質は含硫黄-カルシウム-塩化物泉とのことでとにかく硫黄の匂いが非常に強い。注湯口を見れば白い析出物の堆積が見られるが、その析出物は浴槽内にも蓄積しており、入浴すると底から析出物が舞い上がって白い湯となる。

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強烈な硫黄の匂いが立て込める

 pHが2.15とのことでとにかくかなり強い酸性泉。実際に少し舐めてみると強烈に酸っぱい。湧出温度が48度という高温泉なので非加熱の掛け流しをしているようである。かなり酸性の強い湯であるにもかかわらず、肌当たりにはキツさがなくてふわっと柔らかい湯。細かい析出物が大量に浮遊しているためか、シルクのような細かい肌触りがある。

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注湯口には白い析出物が

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析出物が舞い上がった白い湯

 とにかくこんな山中まで寄り道をしてわざわざ訪れただけの価値を十分に感じさせるだけの凄い湯である。やはり青森の温泉は侮れないようである。次の機会がもしあれば、ここで一泊しても良いなという考えが頭をよぎる。

 

地元の食堂で地場料理を頂く

 ここの宿はジビエ料理やまたぎ飯などもあるらしいのだが、残念ながら冬期間は営業は週末だけらしい。なので昼食を取る店を探す必要がある。弘前市街まで降りてしまっても良いのだが、Google先生に伺いを立てると「久魯多喜」なる飲食店があるらしいので、そこに立ち寄ることにする。

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明らかに普通の民家

 実際に現地に到着すると飲食店ではなくて普通の民家である。初めて入るときにはなかなか敷居の高い店だ。営業してるのかに疑問を感じたが、覗いてみると営業しているらしいので入店する。店舗ではなくて明らかに普通の住宅のLDKに座席を作って飲食店営業している模様。

 昼食用の焼き魚定食が1000円であるらしいのでそれを注文。魚を選べるが選びようがなかったのでお勧めの赤魚を頼む。

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焼き魚の定食

 しばらくするといかにも家庭料理的な定食が出てくる。キノコの小鉢などは実際にこの付近で取れるキノコを使用しているらしい。また味噌汁はいわゆるベビーホタテ。しかしこれがまた美味い。青森ってところはなぜこれほどホタテが美味いのか。料理は全般的に地のものを使用したいわゆる地産地消のようである。食材に対するこだわりが感じられた。焼き魚の焼き具合も絶妙でこれまた美味い。そしてご飯が美味い。

 本当にどこかの家庭を訪問して昼食をご馳走になったという印象だが(もしかして「久魯多喜」という店名も実は黒滝さんなのだろうか?)、これという特別さがないにも関わらず心に染みるようなところがある美味さだった。やはり料理は地場の良い材料を使って、キチンと作れば美味しいものになりますというのを実践したような店だった。

 

酸ヶ湯温泉目指して突っ走る

 昼食を終えるとひたすら東に向かって走ることになる。ここから弘前までは完全な下り坂なので、アクセルを全く踏まずにギアを切り替えてエンジンブレーキで速度を制御するだけで走れるという状況。ハイブリッド車ならさぞかし充電が進むだろうなんて考えが頭をよぎった。

 弘前を抜けると東北道の黒石ICを過ぎて八甲田の方向に向かう。今日はいよいよ酸ヶ湯温泉で宿泊する予定。

 山道を登っていくと、標高が上がってくるにつれてひんやりしてくる。そして窓の外には雪の風景が。ただまだ積もっていると言うほどではなく天候は良い。ただし酸ヶ湯温泉から先の道路は通行止めになっている旨の表記が出ている。

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雪が出てくるようになる

 

酸ヶ湯温泉館に到着する

 酸ヶ湯温泉に到着したのはちょうど3時頃。私は旅館棟宿泊の部屋食プランである。部屋や建物は風情があるというか、端的に言ってボロい。風呂は当然としてトイレも共同である。しかし驚いたことにこれでもWi-Fiだけはある。

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酸ヶ湯温泉

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かなり古さを感じる室内

 部屋に荷物を置くとまずは館内探検。浴場は混浴の千人風呂と男女別浴場である玉の湯がある。混浴の千人風呂はどうしても女性が入りにくい雰囲気があるため、8時~9時を女性専用時間にしている。最近はマナーの悪い男客が問題になっているらしく、ここでも混浴文化の維持は困難になりつつあるらしい。女性をジロジロ見る客と言うよりも、自分のイチモツに余程自信でもあるのか、それともそのぐらいしか自慢がないのか、女性客にこれ見よがしに誇示する変態がいるのだとか。こういう輩がいる限り、いつまで経っても女性専用車両がなくならないのである。

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趣があるというか、端的にボロい

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まあ風情はある

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まさに山の中

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ロビーには青森名物のミニチュア

 

千人風呂で入浴する

 館内を一回りしたら千人風呂に入浴に行くことにする。この時間帯は日帰り入浴客も多数訪れているので浴場は結構混雑している。大浴槽は二つあり、どちらも酸性硫黄泉だが、手前が「熱の湯」、奥が「四分六分の湯」である。奥の四分六分の湯の方が浸かったときの印象は熱めなんだが、熱の湯の方が熱の保持が続くのだとか。恐らく無機塩濃度の違いだろうと思って成分表を見たら、案に反して四分六分の湯の方が塩濃度が濃い。「?」となってさらに調べてみたら、どうやら熱の湯は源泉そのまま、四分六分の湯は高温で濃い源泉を水で薄めているらしい。やはり無機塩濃度の違いが原因なんだろうと納得。

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千人風呂へ

 お勧めの入浴法は「熱の湯」で5分、さらに「四分六分の湯」に5分浸かってから、かけ湯である「鹿の湯」とかで3分、最後に「熱の湯」で5分とのことだが、この入浴法をそのままやったら私は確実にのぼせる。もう少しあっさりした入浴法を取ることにする。

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酸ヶ湯温泉千人風呂(参考画像 出典:酸ヶ湯温泉HP http://www.sukayu.jp/inside/bathing.html)

 館内にはあちこちに撮影禁止の張り紙が出ている。やはり観光客は写真を撮りたくなるのだろう。しかし館内は薄暗い上にかなりの湯気が立ちこめているから、実際に写真を撮ったとしてもまずまともな写真にならないだろうと考える。実際に浴場の視界はかなり悪いので足下が危険でもある。

 湯の肌当たりは若干キツメ。また酸性度が高いので入浴直後は肌が若干キシキシする感覚がある。ただし塩分濃度も高いので保温効果は高いという雪国向きの温泉である。

 入浴後は食堂によってざるそばを頂く。更科そばの腰の強い蕎麦でなかなか良いが、やはり私は更科そばよりも黒い蕎麦の方が好き。さらに火照った身体を冷ますのにソフトも頂く。

 部屋に戻ってWi-Fiを接続して原稿執筆。私の遠征はいつもホテルに着くと原稿執筆ばかりだが、よくよく考えると通常の日でも仕事から戻るとそればかりなんだから、つまりはいつもと変わらないということか。だが今日は黄金崎不老不死温泉から岩木山を経由して延々と長距離を走行してきたのでとにかく身体が重くてなかなか考えがまとまらない。といってもテレビをつけても東北はチャンネル数が少ない上に、そもそもろくなテレビ番組がない。

 

夕食は部屋食でガッツリと

 その内に夕食の時間が来る。食事は部屋に運ばれてくる。内容は焼肉を中心としたボリュームのあるもの。若竹を焼いているものが皮を剥いて中を頂くと意外に美味い。個人的好みとしては、山の中だから刺身はいらないので(既に今回の遠征は刺身の連続になっているし)、もう少しジビエ的なものがあった方がうれしい(特に昼にジビエを食べ損なっているので)のだが。そして流石にリンゴは美味い。

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夕食の膳

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メインは焼肉

 味はまあ普通だが、とにかくボリュームがあったという印象。食べ終わったときにはかなり腹が重たくなって食ったものが口から出て来そう。布団を敷いてもらうとすぐにそこに横になって、疲れがあったこともあってしばし休息する。

 

入浴をしてから就寝する

 ようやく腹が落ち着いてきた頃に再び入浴。千人風呂がちょうど女子タイムになっていたこともあり、玉の湯の方に行く。こちらは洗い場付きで浴槽一つのシンプルな浴場だが、そこに良質の湯がダバダバと注ぎ込まれている。落ち着いて湯を堪能するなら、むしろこっちの方が千人風呂よりも良いかも。

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玉の湯

 入浴で再び身体を温めた後は部屋で原稿執筆。そして寝る前に再び千人風呂で身体を温める。明日は雪が降るとの天気予報のようだが、確かに夜半になってから急速に冷え込んできている。部屋は二重窓にはなっているが、正直なところガスストーブだけでは暖房がいささか心許なく感じられる状況。廊下にも数台ストーブが並んでいるが、基本的に建物自体がすきま風が多いので焼け石に水。窓側は二重窓と窓際スペースの障子を閉じることである程度の断熱が出来るが、廊下側は襖一つなのでそちら側がスースーである。まあおかげでガスストーブをつけていても換気の心配はないが。

 この日は疲れも強いので11時頃には就寝する。というか、それ以上起きていられなかった。