徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

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アニメ関係の記事は新設した「白鷺館アニメ棟」に移行します。

白鷺館アニメ棟

岡山で聴いたベルリン交響楽団は唖然とする内容だった

 この三連休は二泊三日で岡山方面を回ることにした。元々はベルリン交響楽団の岡山での演奏会を聴きに行こうというところから派生した計画である。しかしこのベルリン交響楽団であるが、実は大阪でも演奏会があり、わざわざそれが岡山になってしまったのには諸般の事情がある。実はベルリン交響楽団の演奏会があると知ってからこのオケについて調べたところ、今まで数回来日しているらしいことは分かったが、どうもその評判が芳しくない。そこで当初は見送りかと考えていたのだが、やはりそれでも一度は聴いておかないと判断が出来ないと思い直して改めてチケットを取ろうとしたところ、既に大阪公演は安い席は完売してしまっていた。そこでやむなく岡山公演のチケットをゲットした次第。9000円ぐらい払う気があれば大阪でもチケットを取れたのだが、どうもそれだけ払うのはリスクが高いと考えてのことである。

 土曜日の午前に出発すると山陽道を突っ走って岡山を目指す。どうせ岡山まで行くのなら、岡山の温泉や山城、さらには美術館を回るつもり。

 まずは岡山市街に乗り込むが、毎度のことながら本当にここの街は走りにくい。何だかんだで苦労しながらようやく目的地へと到着する。

 

「伊達政宗と仙台藩」岡山県立美術館で8/28まで

 仙台市博物館の収蔵品から、伊達政宗の鎧や陣羽織、また仙台藩の御用絵師だった東東洋らの作品等を展示。

 戦国武将の甲冑などはその意匠に凝っていたのは有名だが、伊達政宗の場合は「伊達者」の語源にもなったと言われている人物だけにかなりのセンス。鎧の方は防弾性能を考えた実用本位のものであるが、黒一色の精悍なデザインに政宗の象徴のような巨大な前立てが映える。さらに陣羽織ともなればかなり斬新で煌びやかなものである。

 東東洋は京都画壇で絵画を学んでおり、いかにもそれらしい作品もあるが、自由な線でサクッと描いた印象の作品が温かみを感じられて面白い。

 なお慶長遣欧使節の支倉常長に関する資料も展示されていたが、彼については現存する資料も少なく、その晩年についてなど未だに謎の多い人物だとか。

 今回の展覧会に連動して物販コーナーが出来ていたが、そこには例によって「何かを勘違いしているとしか思えない」ポスターなども貼り出されていた。どうも最近は歴史関係が悉くこのセンスになっているのが嫌なところ。どうも昨今は萌えならなんやら変なものに浸食されている。

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左から片倉小十郎、伊達政宗、伊達成実だそうな

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政宗の何やらイメージボード

 展覧会見学後は喫茶で一服する。注文したのは特別展連動メニュー。小さなずんだが意外にうまい。ここのコーヒーはあまりクセがないので私には飲みやすい。

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特別展連動セット

 

宿泊はカプセルホテルで

 美術館を後にするといきなりだが今日の宿泊ホテルに向かうことにする。これからのことを考えるともう車を置いてしまいたい。今回宿泊するのはホテルリバーサイド。岡山周辺で駐車場があって安いホテルということで選んだカプセルホテル。私の部屋はカプセルに小さなスペースが付随しているというタイプ。

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ホテル入口

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カプセルと個室カプセルの構成

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私の個室カプセル

 契約駐車場に車を置いてチェックインすると、部屋に荷物を置いてすぐに出かける。岡山コンサートホールで開催されるコンサートを聴きにいくのが目的。

 今回は安いチケットなので3階席である。ステージはよく見えるが、階段を登るのが大変。高齢者などはフラフラになりながらヨタヨタと登っていた。なお場内は安い席から埋まっているという雰囲気。一番安い席はほぼ完売だが、高い席は一部が売れ残ったのではないかと思われる。

 

ベルリン交響楽団

指揮/リオール・シャンバダール   
ヴァイオリン/イリヤ・カーラー  

エルガー/愛のあいさつ
モーツァルト/交響曲第41番 ハ長調「ジュピター」
ブラームス/ヴァイオリン協奏曲 ニ長調
ベートーヴェン/交響曲 第5番 ハ短調「運命」

 最初の愛の挨拶からいきなり「あまりうまいオケじゃないな」ということを痛感する。弦の音色が非常に悪い。アンサンブルが微妙に合っていないせいか、音色が濁って端的に言うと「安っぽい」音がする。また管は管でこの距離があるにも関わらずやけにヒステリックに響く。全体に締まりのない演奏である。二曲目のジュピターも同じ調子であるから、完全に上滑りになっている。

 ブラームスに関してはソリストの演奏は上手いのだが堅実で地味なタイプの演奏。その上にバックのオケは相変わらずの調子なので、音楽全体にメリハリが薄くて非常に退屈で、いつになくこの曲が長く感じられてしまった。それにしても驚いたのが、オケの弦楽部門があまりに貧弱なためかソリストが自分のパート以外に第一バイオリンのパートも演奏していたこと。しかも14人もいる第一バイオリン奏者がこのソリスト一人に明らかに負けている。オケがソリストとまともに渡り合えないから、協奏曲ならぬ教奏曲になっていた。

 休憩後の運命が演奏としては一番しっくりきていたが、これがいわゆる練度の違いと言うものだろうか。ただしここ一番でパシッと決められないのは相変わらずで、第四楽章などは特にかなりゴチャゴチャした演奏になってしまっており、随所でアンサンブルも崩壊。そのせいで最終的には腰砕けである。

 結局は一番カッチリした演奏となったのはアンコールのハンガリー舞曲という次第。これも練度によるものだろうか。とにかくオケの演奏技術の低さがあからさますぎて、これは事前の評判もさりなんと感じた次第。

 結果としては「世間の評判は正しかった」ということを私自身も確認することになった。これは9000円払わなかったのは正解だった。9000円も払っていた日には、「ブラボー」ならぬ「金返せ」と叫ぶ羽目になるところだった。シャンバダールの挨拶や二曲のアンコールなどサービス精神の見事さは感じるのだが、肝心のメインディッシュのクオリティがサービスレベルに到達していない。

 それにしてもジュピターの第1楽章終了後に拍手が起こったのにはまいった。今回はそういう客層が多かったということだろうか。演奏終了後に「ブラボー」を叫んでいる者もいたが、一体どんな耳をしてるんだ? 演奏なら岡山フィルの方が上である。

 

夕食にラーメンを食べてからホテルに戻る 

 コンサートを終えるとホテルに帰る道すがら夕食を摂る店を探す。往路で数軒の店に目を付けていたのだが、いずれも満席で入店できず。結局は気がつけばホテルの近くまで帰ってきてしまったので、やむなくホテル向かいのラーメン屋「えびすらーめん」に入店、つけ麺を注文する。

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えびすらーめん

 もっちりとした太めの麺に濃厚なスープのバランスがなかなかに良い。つけ麺の特性に合わせたなかなか良く出来たラーメンである。

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つけ麺

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もっちりした太麺がなかなか美味

 夕食を終えてホテルに戻ると、入浴してから早めに床につく。