徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

東京交響楽団 東京オペラシティシリーズ 第98回&「バベルの塔展」「茶の湯展」in 東京

 この週末はコンサートと美術館を絡めて東京遠征。どうも最近は東京づいている私である。

 まず最初に立ち寄るのは例によっての上野の美術館。

「バベルの塔」東京都美術館で7/2まで

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 ブリューゲルの代表作であるバベルの塔を中心に、ヒエロニムス・ボスなど中世からのネーデルラント絵画を紹介。

 実質的に「バベルの塔とその他諸々展」と言ったところ。中世の絵画は例によってどことなくバランスが悪かったり、デッサンがおかしかったりという類いの奇妙なもの。ボスの作品については奇しくも先週に兵庫県立美術館で見た作品群ともろに被る。結局は傑出していて目を惹くのはブリューゲルの作品のみで、それも「バベルの塔」に二階のワンフロアをまるまる使用しているという特別扱いぶり。

 とは言うものの、この作品はこれ一点だけでも入場料の価値を感じさせる逸品である。超緻密に描き込まれた絵画には唖然とさせられるし、塔の現実味のない巨大さには圧倒されるところ。

 

 観客が大勢押し掛けていて大盛況であった。次は国立博物館へ。こちらの出し物は以前には全く興味なかったのだが、最近になって某マンガ(古田織部が主人公のやつ)の影響でにわかに興味が湧いた分野である。

 

「茶の湯」東京国立博物館で6/4まで

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 室町時代に茶道として文化の一ジャンルとして確立した茶の湯を、その時代を代表する名品などを中心に紹介する。

 初期は中国からの輸入品を用いて行われていた茶の湯であるが、日本独自のわびさびの精神を確立したのが千利休。黒茶碗などに象徴される渋い好みが一番の特徴。

 千利休の高弟で時代を担うのが古田織部だが、彼の趣味に関しては千利休の佗茶から端を発しているとは思えないほどに独特のものがある。幾何学的デザインや歪んだ器など、現代にも通じるアバンギャルドな個性的な作品群が登場する。これらは桃山時代の自由な気風と合致していたのであろう。

 幕藩体制が固まってきたところで登場するのが、小堀遠州などのきれいさびと呼ばれる趣味。織部の頃のような自由奔放さは影を潜め、均整の取れた美しい器が中心となる。

 なかなかに時代の背景を映していて面白くあるのだが、やはり私的には千利休と古田織部の辺りが一番興味をそそられるところ。特に織部の奇想には今でもギョッとさせられることがある。

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織部の茶室

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茶室内部

 美術館を回り終えるとコンサートである。今日はオペラシティで開催される東京交響楽団のコンサートに行くことにしている。上野からJRと地下鉄を乗り継いで初台へ。昼食はオペラシティ近くの「築地食堂源ちゃん」「アジフライ定食」を頂く。

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昼食のアジフライ定食

東京交響楽団 東京オペラシティシリーズ 第98回

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ロベルト・トレヴィーノ(Cond)、前橋汀子(Vn)、東京交響楽団

・サティ/ドビュッシー編:ジムノペディ第1番、第3番
・ショーソン:詩曲 op.25
・サン=サーンス:序奏とロンド・カプリチオーソ op.28
・ラヴェル/M.コンスタン編:夜のガスパール(管弦楽版 日本初演)
・ストラヴィンスキー:バレエ組曲「火の鳥」(1919年版)

 前橋汀子のバイオリンは初めて聴くが、大ベテランのはずであるが未だ衰えずという印象を受ける。決して音色は強くは感じないのだが、その割には深くて重みがある。なかなかの好演。

 トレヴィーノの演奏はかなり色彩豊かで華々しい演奏。その演奏がラヴェルなどに非常にマッチしているが、メインの火の鳥がなかなかの圧巻であった。

 

 コンサートを終えると上野へ。今日の宿泊ホテルは例によって南千住のホテルNEO東京なので、上野で夕食を取るつもり。ところで上野はバベル一色である。上野駅の飲食店はあちこちでバベル盛メニューを販売中。しかし何だこれは?

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バベル盛その1

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バベル盛その2

 夕食を摂る店を探してウロウロ歩き回っていると不忍池にたどり着いたのでしばし辺りを散策。上野にはしょっちゅう来ていたが、ここに来たことは実は一度もない。東京の真ん中でこんな池が未だに埋め立てられずに残っているということにどことなく不思議な気持ちを抱かされる。しかしこのような池が一つあるだけでも辺りの気温が変わる。

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都会の真ん中にある不忍池

 

上野で老舗のうなぎを頂く

 不忍池の周辺をプラプラと回っていたら「伊豆栄」なるどことなく雰囲気のある鰻店を見つけたのでここに入店。「鰻重の松(2700円)」を注文する。

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伊豆栄

 江戸前の柔らかい鰻がなかなかにうまい。私は関西人だが、以前から江戸前の蒸した鰻も好む者である。この柔らかさは江戸前ならでは。さっぱりした味付けが私好みでもある。味も焼きも抜群のなかなかに上質なうなぎである。

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器からして雰囲気がある

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江戸前の柔らかいうなぎ

 ところで、松竹梅とある時は大抵は梅が一番安いのだが、この店は逆だった。これは何か意味があるのだろうか?

 満足してぜいたくな夕食を終えるとホテルにチェックインする。今日は外の暑さにかなり当たられて疲労が溜まっている。明日もコンサートがあるので入浴して足の疲れをほぐすと早めに就寝することにする。