徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

山田和樹マーラー・ツィクルス<第3期 昇華>第8回&「大英自然史博物館展」「大エルミタージュ展」in 東京

 翌朝は7時頃に目が覚める。両足を始め全身に疲労感が残っている。私も年かな。

 そのままチェックアウト時刻の10時前までホテルの部屋でゴロゴロ。遅めの朝食は上野駅の駅ナカで摂り(そばとネギトロ丼のセット)、昨日行き残した博物館へ立ち寄る。

 会期末が近いせいか、それとも出し物が人気あるのかが不明なのだが、博物館の前は長蛇の列で、入場整理券を配っている状態。私は入館まで30分ほど待たされることに。

「大英自然史博物館展」国立科学博物館で6/11まで

 大英自然史博物館から、始祖鳥の化石を初めとする貴重な品々が多数展示されている。化石から生物の標本、鉱物資料、さらには宝石まで内容は多彩。

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三葉虫の化石

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宝飾品

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古代彫刻

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剥製

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鉱物

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サーベルタイガーの骨格標本ととにかく展示は多彩

 標本を見に行ったのだか、人の背中を見に行ったのだか不明な状態。しかも館内撮影可なので、皆が撮影のために滞在時間が長くなる。展示の目玉と言える始祖鳥の化石の周辺はさらにひどい人だかりで、それに突入して標本を見るだけでどっと疲れてしまった。結局は残念ながらあまりじっくりとは見学できず。

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始祖鳥の化石

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この人混みをかき分けないと標本にたどり着けない

 これで上野での予定は終了。地下鉄で六本木に移動する。次の目的は成金ヒルズで開催されている展覧会。それにしても何回来てもこの周辺に張り巡らされている成金結界は苦手だ。この成金結界を破るためには私自身が金持ちにでもなるしかないのだが、それはまず絶望的だし。

 

「大エルミタージュ美術館展」森アーツセンターギャラリーで6/18まで

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 エルミタージュ展は今まで毎年のように様々な趣旨で開催されているが、今回はオールドマスターということで、ルネサンス期などのヨーロッパの巨匠の作品を展示である。地域別に網羅的に展示してある。イタリアはティツィアーノ、オランダはレンブラント、フランドルがブリューゲル(息子)にルーベンス、フランスがシャルダンにフラゴナール、ドイツがクラーナハといった具合。

 結果としては私の目から見ても好ましい作品が多数ということになる。特にムリーリョが3点も展示されていたのが私にとっては一番の収穫。圧巻の技術を堪能したのである。

 今回の展示の中では私的にはムリーリョが白眉と感じたのだが一般の認識はそうでないらしく、ミュージアムショップを覗いてもムリーリョは絵葉書こそあるがポスターはなし。やっぱり私の趣味は偏ってるのかな。

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なぜかアメリカンヒーローがパトロール中

 展覧会を見終えた頃にはコンサートの開演時間が迫ってきたので、ヒルズの地下で「ワタリガニのクリームパスタ」を腹に入れるとホールのある渋谷に急ぐことにする。今日のコンサートはオーチャードホールで開催される日フィルの公演。山田和樹のマーラーチクルスの第8弾で、今回はマーラーの8番。そもそも今回の東京遠征はこれを聴くためにきたものであり、本遠征の最大目的である。

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この日の夕食

 チケットは完売とのことで、ホールの中も満員である。この曲を演奏する時は演奏者の配置に苦労するのだが、オーチャードホールの無駄に広いステージは数百人の合唱団も問題なく並べることが出来ている。

山田和樹マーラー・ツィクルス<第3期 昇華>第8回

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指揮:山田和樹[正指揮者]
ソプラノ:林 正子、田崎尚美、小林沙羅 
アルト:清水華澄、高橋華子
テノール:西村 悟 
バリトン:小森輝彦 
バス:妻屋秀和
合唱:武蔵野合唱団、栗友会、東京少年少女合唱隊

武満 徹:星・島(スター・アイル)
マーラー:交響曲第8番《千人の交響曲》

 出だしから音がゴチャゴチャとして首を傾げることになる。どうもオーチャードホールの奥に深すぎるステージが災いしているようである。プレトークで山田和樹が「合唱団の雛壇が20メートルほどある」というようなことを言っていたが、それが災いしてコンマ0何秒かの時差が出ているように感じられる。元々オーチャードホールは背後に反響した音がコンマ0何秒か遅れで被ってくるという難儀な音響特性を持っていることから、これらが相互作用してゴチャゴチャした印象になってしまったのではないかと推測する。

 山田の演奏自体はなかなかに美しい音色を響かせる部分があるのだが、以前から感じているように時々緊張感がぶち切れてしまう部分があるのが気になるところ。端的に表現すると「眠い」のである。この辺りは完全に好みの領域も入ってくるのだが、どちらかと言えば緊張感のある演奏を好む私としては、この温さは少々つらいところ。

 演奏終了後は場内は熱狂的な大歓声だったが、私は残念ながらそこまでは熱狂できなかった。確かにラストのバンダも加わっての音響スベクタクルはなかなか良かったが。

 

 なぜか昨年から今年にかけてマーラーのこの珍しい曲のライブ演奏が相次ぎ、私は勢い4回聴くことになったのだが、その中で序列をつけると東響>京都市響>日フィル>N響というところか。なおこれは純粋に演奏の内容だけでなく、多分にホールの音響にも影響されているとは思う。響きが皆無のNHKホールでは宇宙が鳴動どころか全く音響スペクタクルとならず、パーヴォのクールな演奏がさらに寒々しくなったのを覚えている。一方でトリフォニーでは天界のラッパにゾクゾクしたのが記憶に生々しい。今回の演奏もラッパはまあ良い線を行っていたのだが。

 これで本遠征のスケジュールは終了。帰宅することにする。東京駅にまで移動するべく山手線に乗車したが、途中でどこかにの馬鹿が線路内に入り込んだとかで山手線が一時運休、慌てさせられことになるのだった。危うく東京名物人身事故に遭遇するところだった。結局は東京駅で夕食を摂る間もなかったので、この日の夕食は東京駅で購入した牛肉弁当になるのである。

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この日の夕食