徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

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白鷺館アニメ棟

日本センチュリー交響楽団演奏会~真夏のメンデルスゾーン~

姫路にあったもう一つのホール

 以前に姫路の文化センターという最悪のホールでコンサートを体験し、姫路にはこんなホールしかないのかと呆れたのだが、その後の調査によると実は姫路に音楽専用ホールがあるということが判明した。それはパルナソスホールといって、姫路市北部の住宅街の中のなぜか高校の敷地内にあるとのこと。全く意味不明であるが、ちょうどこの月曜日にこのホールで日本センチュリーのコンサートが開催されるとのことなので、ホールの調査を兼ねて出かけることにした。

 

姫路で洋食を昼食に

 午前中に家を出て、姫路に到着したのは昼頃。まずは昼食を摂る必要があるので、立ち寄ったのは「料理番」。やや道路から奥まったところにある店だが、駐車場も完備している。

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姫路の料理番

 注文したのは「フライパンランチ(1250円)」。今日のメニューは鳥のクリームコロッケのせのベーコンチーズハンバーグとのこと。

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スープとサラダ

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メインのハンバーグ

 客が多くてバタバタしているのでやや待たされるが、出てきたランチメニューは味付けがやや若向けであることを感じるが、なかなかのものである。厨房がバタバタしている上に客に子供も多いので店内がやや喧しいのが難点か。急ぎでない場合にランチをゆっくり摂るのには良い店のようである。

 ランチで予想以上に時間をとったのでホールに急ぐ。このホールは姫路駅からバスに乗らないとたどり着けない僻地にあるのに、駐車場の台数がかなり少ないというのがホールとしては致命的弱点ではある。

 

パルナソスホールに到着

 何とか車を駐車場に入れてホールにたどり着くと、やや早めに開場となる。パルナソスホールは800席のやや小ぶりのホールだが、正面には本格的なパイプオルガンも据えられており音楽専用ホールとして設計されている。やや反響が多めの感じがあるが、タイル張りの内部を一部木質パネルに変更したら制御が出来そう。どちらにしても姫路文化センターなどと比較にならないような良いホールである。

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パルナソスホール

 説明によるとこのホールは姫路市政百周年と私立姫路高校創立50周年を記念して、学校施設の音楽専用ホールとして1989年に建設されたとのこと。1990年には高校の同窓会よりパイプオルガンが寄贈されて今日に至るらしい。姫路市から財団が管理運営を委託されており、学校使用以外にも貸しホールとして利用されているとのこと。

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正面にはパイプオルガン装備

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客席は2階立て

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反響はやや強め

 そもそも学校用ということか。しかし主旨が不明である。こんな本格的音楽ホールを日常的に使用するぐらい姫路市立高校って音楽教育に力を入れていたっけ? 学校行事への利用頻度がどの程度なのかは分からないが、HPなどで見る限りでは貸し館利用の方は極めて低調な印象。正直なところ全く活用されていないホールというように感じられる。こんなホールを放置して、文化センターのような音楽的に全く使い物にならないホールを使用している姫路市の考えることは全く理解不能。以前から菓子博といい、ここは何を考えているのか分からない意味不明なことばかりをしている。私が市長なら、ここを本拠地にした姫路市交響楽団を設立し、十分に実績を積んだ上で新たに1500席ぐらいのコンサートホールを建設するところ。これを公約にして市長選挙にでも出馬してやろうか・・・と言っても今日のクラシック人口を考えれば惨敗は必至だろうな。そんな予算があるなら、保育所を作れ、税金を下げろと言われるのがオチか。ちなみにこのホールが建設された時のスローガンが「文化の香りの高いまち姫路」とのこと。私が以前にもし市長選挙に出るならスローガンにすると考えていた「馥郁たる文化の香り漂う姫路」というのにもろに似ている。

 ホールの入りは4割というところ。中央前方には大量の小学生が教師に引率されてきており、どうやら地方ホールで開催される名曲コンサートというよりも、小学校向け公演に一般客も入れたというところが実相か。なおセンチュリーメンバーは4・6・6・8・10の小規模編成。トラを加えない本来のセンチュリーの構成か。

 

日本センチュリー交響楽団演奏会~真夏のメンデルスゾーン~

指揮:大井剛史
ヴァイオリン:松田理奈

メンデルスゾーン:劇音楽「真夏の夜の夢」作品61より序曲、スケルツォ、結婚行進曲
メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 作品64
メンデルスゾーン:交響曲 第4番 イ長調 「イタリア」作品90

 センチュリーは自主公演以外は手を抜くなどという良からぬ噂も耳にするが、手を抜くというわけではないだろうが、定期演奏会ほどのアンサンブルの精緻さが見られなかったのは事実である。微妙にアンサンブルが狂ったり、金管の音程がズレたりという場面が何カ所かあった。

 大井剛史の指揮は若々しく躍動的なのであるが、今ひとつ一本調子なところも見受けられた。また音がつかえたり抜けたりしたように聞こえた箇所がいくつかあったのは何だろうか? それがやけに気になった。

 美人バイオリニスト・松田理奈はテクニックも抜群で安定した演奏を聴かせていた。一時期やたらにもてはやされた顔だけ奏者というわけではないようである。ただ美人ということもあってか追っかけファンでもいるようで、派手な声援も飛んだりしていたようである。

 休日の午後の暇つぶしにはちょうど良かったコンサートというところか。センチュリーも豊中定期をするぐらいなら姫路定期をしても良いような気もするのだが、この入りではやっぱり無理か。ただセンチュリーがハイドンマラソンを行っているいずみホールもキャパはこことほとんど同じ。そのことを考えると、定期的に公演を行ってアピールをもっと増やせば西は岡山地区の観客まで取り込むことも可能なような気もする。

 なおもっとこのホールを活かす方法は姫路市も本気で考えるべきだと私は思う。本当に宝の持ち腐れが得意な自治体である。