徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

京都市交響楽団 第623回定期演奏会&METライブビューイング「ルイザ・ミラー」&「池大雅展」at 京都国立博物館&「明治150年展」at 京都国立近代美術館

 この週末は京都と大阪でのコンサートにMETライブビューイングというかなり忙しいスケジュール。

 金曜の朝早くに家を出ると京都へ直行する。京都に到着した頃にはちょうど10時頃。この日は発売になるチケットが多いので、京都に到着した時に最初にしたことはチケットの手配。スマホを駆使してようやく目当てのチケットの手配を終えたところで活動開始である。

 最初に向かうのは京都国立博物館。ここで開催される「池大雅展」が目的。ただここの博物館は交通の便が悪いのが難点。地下鉄駅から遠いのでバスしかアクセス手段がないのだが、そのバスがとにかく混雑する。一日乗車券を持ったアジア人がバス停に大挙していてバスはすし詰め。

 

「池大雅展」京都国立博物館で5/20まで

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 江戸時代の文人画家、池大雅の展覧会。

 独学で絵を学んだという池大雅は、初期は先人の名作を踏まえて比較的カッチリとした細かい絵を描いているのだが、それが年と共に変化し、次第にその線は自由度を増して柔らかくなり、自在の境地に入っていったような感がある。その過程においてはあえて筆を使わずに手で描いてみたり爪を使ったりなどあらゆる技法を実験してみたようであり、旺盛な研究意欲を覗わせる。

 そのような様々な試みを経て晩年になってきた作品を見ると、いかにも楽しそうな絵が多いのである。かなりサクッと描いているように見えて、それでいて技術としてはかなり高レベル。こういうのを熟達の境地と言うべきなのか。

 池大雅の初期の模索から最晩年の到達地点まで一気に概観できる展覧会であり、なかなかに興味深いところであった。

 

 博物館の見学を終えると次は国立近代美術館を目指す。この移動もバスになるのだが、このバスが乗ることが難しいぐらいの混雑。何しろ到着した時点でほとんど乗り込む余地がないので、結局は3本目くらいのバスに乗車。ただ美術館の手前まで行く100バスには乗れなかったので、東山駅で降車することに。時刻もそれなりの時刻なので、美術館まで歩く途中で先に昼食を摂ることにする。入店したのは「三昧洪庵」。和洋室的な座敷に通される。注文したのは「茶そばと牛飯のセット(2500円)」

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三昧洪庵

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落ち着いた雰囲気の店内

 そばも牛飯もなかなかに美味い。ただやはり京都の常としてCPはかなり悪いと言わざるを得ない。やはり京都は美味いものは食えるが高い。

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そばと牛飯

 昼食を終えると美術館まで歩く。向かいでは京都市立美術館が工事中。今年度中に新装開店するらしいが、どのようになるのだろうか。京都市美術館の展示室はどうも以前から息苦しさのようなものを感じさせられるので(展示室の雰囲気の問題だけでなく、大勢の観客が詰めかけた場合に実際に換気が間に合っていない時もある)、その辺りが改善されればうれしいのだが。

 

「明治150年展 明治の日本画と工芸」京都国立近代美術館で5/20まで

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 明治期は輸出を目指して工芸品の制作などが政府によって推進された。その際には画壇の環境変化で仕事がなくなった多くの日本画家が図案などに参加することによって、この分野のレベルを一気に引き上げることにもなったという。この時代にそれらの図案などを手がけた画家の作品や工芸品等を展示。

 日本画の方は特別にどうというものはないのだが、さすがに明治期の工芸品の技術の高さには驚かされるところである。特に象牙細工で完全に蜜柑を再現している作品などには圧倒された。明治期のいわゆる超絶技巧を目にすることが出来る。こういう名人芸は今でもどこかに存在してるいるのだろうか?

 

 かつての日本は物を作る者にはそれなりの敬意を払っていたのだが、今日の日本では物作りをする者に敬意を払わなくなり、安直な金儲けに走る者ばかりを優遇するようなってしまった。この辺りが日本としての国力が低下した大きな原因だと思うのである。

 美術館の見学を終えたところでそろそろコンサートの開演が近づいてきた。地下鉄でホールに移動する。

 

京都市交響楽団 第623回定期演奏会

[指揮]広上 淳一(常任指揮者兼ミュージック・アドヴァイザー)
[Pf]河村 尚子

バーンスタイン:交響組曲「波止場」
ショスタコーヴィチ:交響曲第9番変ホ長調op.70
バーンスタイン:交響曲第2番「不安の時代」

 バーンスタインの波止場はかなり華々しく起伏のある曲。広上の指揮と京都市響の演奏はそれを極彩色で鮮やかに描き出している。

 2曲目はショスタコーヴィチが世間の意表をついて出して来た軽妙さと皮肉のこもったような作品。なかなか曲者の作品であるのだが、京都市響の演奏はかなり明瞭である。

 最後は独奏ピアノを加えたかなり個性的な曲。時折現れてる荒々しい音響なども、広上はシャープに描き出している。私的にはあまり好きになれない曲だが、それでも最後まで興味を持って聞くことが出来た。

 

 コンサートを終えると地下鉄の駅に急ぐ。今日はこの後、大阪でMETライブビューイングを見に行く予定。METライブビューイングは10時からの上映のところが多いのだが、これでは3時間超の大作オペラだと2時からのコンサートに間に合うようにホールに移動できない。しかし関西で他の時間に上映をしているのはパークスシネマのみという状況。そこでパークスシネマに上映開始の6時半までに移動しないといけなくなった次第。

 とりあえず地下鉄の中からスマホを駆使して座席予約を入れると京都駅のホームへ走る。しかし生憎と2分ぐらいの差で新快速は出てしまう。次までの15分がやけに長く感じられる。

 ようやく大阪に戻ってくるとすぐに地下鉄で難波を目指す。パークスシネマは駅から遠い。パークス自体がかなり奥まったところにあるのに、パークスシネマはその一番奥の8階。ようやく劇場にたどり着いた時には上映開始の20分前ぐらい。

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なんばパークス

 結局夕食を摂る暇さえない状態なので、やむなく劇場内で馬鹿高いホットドック(飲み物と抱き合わせで750円)を購入して急場をしのぐ。

METライブビューイング ヴェルディ「ルイザ・ミラー」

指揮:ベルトラン・ド・ビリー
演出:エライジャ・モシンスキー
出演:ソニア・ヨンチェヴァ、プラシド・ドミンゴ、ピョートル・ベチャワ、ディミトリ・ベロセルスキー、アレクサンダー・ヴィノグラドフ、オレシア・ペトロヴァ

 まず圧倒されるのはドミンゴの健在ぶりだろう。かつてはテノールでロドルゴを何度か演じていたドミンゴが、今回はバリトンでルイザの父・ミラーを堂々たる貫禄で歌いきる。

 ルイザのソニア・ヨンチェヴァのソプラノボイス、ロドルフォのピョートル・ベチャワのテノールも見事であるが、なかなかに存在感を発揮したのがヴァルター伯爵のアレクサンダー・ヴィノグラドフとヴルムのディミトリ・ベロセルスキーのバス二重唱。悪役が存在感を示してストーリーを引き締める役割を果たしていた。

 

 上映終了時には10時を回っているので、カーテンコールになった途端に大半の客がワラワラと劇場から出て行く状態。私もその群れと一緒に行動する。さすがに10時を回るとほとんどの店は閉まっており、この近くで夕食を摂ることは絶望的な状態。とりあえず今日の宿泊地である新今宮に移動することにする。

 新今宮に到着すると、ジャンジャン横丁でまだ辛うじて営業していたラーメン屋「虎ノ王」に入店して「つけ麺(780円)」を注文する。

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じゃんじゃん横町入口にある虎ノ王

 太麺に海産系の濃い出汁ということで良くあるタイプのつけ麺・・・というか、大阪駅ビル地下の「紋次郎」と麺といい出汁といいほとんど同じ。正直なところ私はブラインドテストをされたら区別できる自信がない。

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魚介系太麺のつけ麺

 ようやく夕食を終えるとホテルにチェックイン。今日の宿泊ホテルは先週と同じでホテル中央オアシス。帰って寝るだけなのでもっと安いホテルにしたかったが、23時を過ぎてもチェックインできるホテルがここぐらいしかなかった次第。

 ホテルに入ると入浴して汗を流し、この日は12時頃に就寝する。