昨晩は完全にグロッキーだった。今朝は7時頃に一旦目が覚めるが体が動かない状況。こうなることもある程度想定して今日はスケジュールを大幅に緩めてあるので、そのまま9時頃までベッドでグッタリと半分眠った状態で過ごす。
今日の予定は基本的には2時からオペラシティで開催の東京交響楽団のコンサートに出かけること。後はその前に最寄りの新宿の美術館での展覧会を1つだけ残している。またコンサート終了後には上野でのフェルメール展に行くための時間指定チケットを購入している。
損保ジャパン日本興亜美術館の開館は10時だが、今日はこれの後に昼食を摂ってから14時開演のオペラシティに間に合えば良いだけなのであまり急がない。十分に部屋で休憩を取ってから新宿に移動する。
「カール・ラーション スウェーデンの暮らしを芸術に変えた画家」損保ジャパン日本興亜美術館で12/24まで
スウェーデンの画家であるカール・ラーションの作品と、彼の妻のカーリンによる作品と言っても良い彼らの家について紹介。
カール・ラーションは当時の画家のご多分に漏れず、まずは印象派の影響を受けたようである。その後はアール・ヌーヴォーの影響なども濃厚に現れているが、彼の真髄は家族などを描いた身近な絵画。温かみのある好ましい絵画である。
そしてその家を飾り立てたのが妻のカーリン。彼女自身が芸術の才能を持っていた(元々画家志望だったらしい)ことから、その室内装飾はいわゆる今日の北欧デザインにつながっているものであり、色使いなどに派手さがありつつもなぜか全体では落ち着いた雰囲気になっているというもの。日本人の感性から見ても好ましく一種の憧れを感じさせるものである。
北欧の空気に思いを馳せるのに最適な展覧会。日本人としてはなぜか共感しやすい。
ところでこの美術館は近々移転のための休館に入る模様だが、移転先は敷地の隣の下になるらしい。この美術館はアクセスのためのエレベータの混雑が一つのネックになっていたことを考えると妥当な移転先だろう。ただその代わりに、ここの売りの一つであったビルの42階からの眺望は失われることになるが。
展覧会の見学を終えるともう昼時。どこかで昼食を摂らないといけないが、店を考えるのも面倒臭いし、どうせ新宿界隈にはろくな店もないしということで、展覧会チケットがあればランチメニューが10%引きになるという隣のビルの展望レストランを訪ねることにする。入店したのは「桃里」。予約で一杯だったようだが、今から45分以内なら可ということで入店。そもそも私は昼食を摂るのに30分もかからない。メニューは週替わりランチを注文、メインは麻婆豆腐で。
やや辛味のある四川風麻婆が私好み。最初に出てきた青菜と玉子のスープが青菜にクセがないことに驚き。デザートの杏仁豆腐まで含めてすべてなかなかに美味い。これで10%引きの1530円なら良しとしておこう。
昼食を終えると京王新線で初台まで移動、目的のオペラシティはここからすぐ。しかし現地に到着した時にはまだ開場前。プラプラと待つのもしんどいので喫茶でもないかとウロウロしたところ、「椿屋珈琲」なる喫茶店を見つけたのでケーキセットで一息つくことにする。
やや苦みのあるアイスコーヒーと、やけに薄切りのモンブラン(角度にして30度もないのでは)で一息つくと、開場時刻を見計らってホールに向かう。もう既に入口では大行列で入場中。結構入っているようだ。
東京交響楽団東京オペラシティシリーズ第107回
ジョナサン・ノット(Cond)
神尾真由子(Vn)
東京交響楽団
モーツァルト:セレナード第13番ト長調 K525「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」
ストラヴィンスキー:ヴァイオリン協奏曲 ニ調
ベートーヴェン:交響曲第4番変ロ長調 op.60
アイネ・クライネは6-5-4-3-2という小編成で、東京チェンバーオーケストラといったところ。ノットは軽快に曲を展開、オケのアンサンブルもなかなかに決まっている。
二曲目はなかなかにややこしい曲なのだが、ここでも神尾のヴァイオリンはかなり雄弁。どう考えても謳いにくいこの曲で謳わせてくる。オケの演奏も神尾のヴァイオリンに絡んで色彩的に豊かな表現となった。
ベートーベンの4番は古典からロマン派への移行期のような曲なのだが、ノットの演奏はかなりロマン派寄り。12編成のオケでダイナミックにガンガンと鳴らしてくる。オケの方も必死でそれに応えている様子。ただところどころアンサンブルに甘さが見られたのはやや残念。
東京交響楽団はノットが指揮するとなかなかにキビキビした演奏をする。今回の演奏も全体的になかなか引き締まったものであった。場内もなかなかの盛り上がり。
満足してコンサートを終えると上野にとんぼ返りである。今日の最後の予定は上野の森美術館で開催中の「フェルメール展」。混雑緩和のためかチケットが事前販売の時間指定になっていて、私の買ったのは今日の17時からの入場分。それにしても前売り入場料2500円というのは、さすがにフジテレビ主催だけあってボッタクリ。以前からフジテレビが主催するこの手の行事はとにかく入場料が高いものが多い。ベルリンフィルの来日公演なんかもフジテレビが仕切るせいで異様に高いし。私の感覚ではフジテレビが仕切ると大体相場の1.5~2倍の価格設定になる印象がある。
30分前に現地に到着したが、この時点で既に200人程度の待ち客が行列を作っている模様。時間指定チケットを販売しておいてこの行列って? しかもリアルタイムで行列は伸びていっており、入場時間の頃には行列の人数はさらに倍以上に伸びている。
時間が来ると前から順番に入場。途中で待たされたりして私が入場したのは10分ほど過ぎてから。入場規制がかかっているので会場内の混雑はまあ常識レベル。確かに何らかの規制をかけないと人の頭しか見えないことになりかねない。
「フェルメール展」上野の森美術館で2/3まで
貴重なフェルメールの作品が一挙に9点も展示されるというのが最大の売り。とは言ってもこれだけでは展覧会が成立しないので、内容的には「フェルメールとその時代展」である。こうした展示形態を行うとフェルメールだけが突出しているわけではなく、この時代のオランダ絵画はかなりレベルの高い作品も多いことがよく分かる。
フェルメール作品が一挙9点(私が訪問した時にはまだ8点だが)展示といっても、フェルメールの作品は今まで何らかの展覧会の度に目玉として加えられることが多かったから、実際にはその中で初めて見るのは2点。「赤い帽子の娘」と「ワイングラス」だが、残念ながらどちらもフェルメールの作品の中では強いオーラを感じさせるというほどでもない。また「マルタとマリアの家のキリスト」はフェルメールの作品の中でも初期に属するものらしいが、この作品は彼の作品には珍しく色使い等にやや未熟さを感じさせる部分もある。
個人的にはやはり桁違いのオーラを感じさせるのは、この展覧会の表題作のようにもなっている「牛乳を注ぐ女」である。構図の巧みさ、色使いの見事さ等あらゆる点で圧倒的である。
無料で音声ガイドがついていて、「ガッヅィーラ」の石原さとみがコメントとのことなのだが、この音声ガイドが見事なほどに中身がない。最初に彼女が「私の感想などを語ります」の類いのことを言っているのだが、話している内容があまりに見たままで今更何をというところ。全体的にボリュームも少ないし、さすがにフジテレビ。まあこの音声ガイドで金を取ったら客も怒るだろうから、無料でのおまけというのは正解。ただ本音を言えば、音声ガイドは不要なのでその分チケット価格を下げて欲しいところ。
これで今日の予定は完全終了。後は夕食を摂って帰るだけだが、上野界隈で夕食を摂るための店を探すだけの気力がない。結局は南千住に戻ってから店を探そうと考えたが、頭の中にあった店は閉まっていて、仕方ないので「塚田農場」に入店。鳥料理を数点頼む。
味は悪くないのだが、価格が少々高めなのと、いかにも宴会乗りの店の雰囲気が私には合わない。これは再訪はなしだな。
夕食を終えてホテルに戻ると、この日は洗濯と入浴をしてからさっさと寝るのだった。やっぱり疲れた。