徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

鳥獣人物戯画(後期)&東京都交響楽団大阪特別公演

 翌朝は8時頃に目が覚めた。昨晩は上の階で夜中にドタンバタンと室内で柔道の受け身でもしているんだろうかと思わせるような騒ぎをしている輩がいたせいで何度か目が覚めている。さすがにあのレベルまでの騒音になると、残念ながらホワイトノイズではどうしようもない(それこそ耳をつんざくレベルのホワイトノイズを流す必要がある)。残念ながらどんなホテルでもたまにはこういうおかしな奴に出くわすことは避けられない。

 いささか体にだるさはあるが、それでも荷物をまとめると9時半頃にはホテルをチェックアウトする。今日の予定は14時からのフェスティバルホールでの都響のコンサートだが、その前にその向かいの美術館に立ち寄る。

 私が現地に到着したのは開館時刻の5分前。この時点で20人程度の待ち客。ただ以前の京都での展覧会を思うとガラガラと言っても良い状態のような気がする。開館までにこの待ち客が40人近くには膨れあがるが、特に混乱もなく開館と同時に入館する。日曜日の朝でこの入りだと、美術館側としては少々当てが外れているのでは。それともこれからが追い込みか。私としてはおかげでゆっくり作品が鑑賞できて良いのだが。

「明恵の夢と高山寺(後期)」中之島香雪美術館で5/6まで

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 本展では鳥獣人物戯画の展示が行われているが、展示替えで丙巻と丁巻の展示が行われている。なおよく鳥獣戯画と呼ばれることがあるが、正しくは鳥獣人物戯画であり、今回展示されているのはそのまさに人物を描いた部分になる。

 結構描き込みが多かった甲巻の兎や蛙と違い、本巻の人物は簡単な描線でサクッと描いてあるのが最大の特徴。鳥獣人物戯画は複数の作者によるものとされているが、確かにこれだけ画風が変わると同一人物の作品とは思いにくい。相変わらず楽しげで躍動感があるのは事実であるが、甲巻ほどの「完成度」は感じられない。どちらかといえばスケッチのようで、下書きのような印象さえ受ける。ただ線表現の自由さと巧さは今日の漫画により直接的につながりそうな気はする。


 展覧会の見学を終えるが、ここで困ったのはこれから開演までどうやって時間をつぶすか。正直なところホールはそこなのであまり動く気もしないし、そもそもその元気がない。仕方ないのでフェスティバルゲート地下の店で朝食を摂りつつこの原稿を打っている(笑)。見渡せば私と状況は違うのだろうが、同じようにPCなどを広げて仕事中の勤め人風の人物が数人。ちなみに私はどこから見ても勤め人には見えない風体である(笑)。だから以前からよく「フリーのカメラマン」とか「フリーライター」というように見られるみたいで、「遊んでいる時の方が仕事をしているように見える」とよく言われる(笑)。

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この日の朝食

 12時が近づいてくると店内の客が増えてきたのと、そろそろ昼食を摂る必要があるので店を移ることにする。昼食を摂ることにしたのは「遊遊」。そもそもは海鮮居酒屋のようだがランチメニューもある。「若竹うどんとあさりご飯のセット(850円)」を注文。

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海鮮居酒屋と言ったところ

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若竹うどんとアサリ飯

 特別に印象に残るような内容ではないが、うどんは普通に美味い。まあ場所柄と金額を考えると悪くはないだろう。

 昼食を摂る店であまり長居するわけにもいかないので場所を移すことにする。結局はフェスティバルゲートのスカイロビーで、昼休みのフリーライターに擬態してこの原稿を入力している(笑)。もっともここは朝日新聞のビルだから、こんな怪しいライターがいても不思議ではなかろう(笑)。ただし今日はオフィスは休みだが。

 そのうちに開場時刻が来たのでホールに向かう。ホールは大入り。ほとんど満員だ。

東京都交響楽団大阪特別公演

指揮:大野和士
ピアノ:ニコライ・ルガンスキー

グリーグ:ピアノ協奏曲 イ短調 op.16
ベルリオーズ:幻想交響曲 op.14

 グリーグはビアノのルガンスキーがかなり変則的な演奏。テンポをやたらに揺らす上に弾いている内に速くなる。大野の方がイメージしているテンポ設定はもっとゆっくりしたものであるようなので、ピアノとオケとで微妙なリズムのズレが起こる。おかげで聞いていて妙なところでスリリングな演奏。やたら変わるテンポ設定にオケは必死でついて行っていたが、ついて行くので終わってしまった感がある。

 幻想交響曲に関しては、大野の指揮自体がテンポを揺らす仕掛けの多い指揮。それに合わせてもアンサンブルが崩れない都響の技術はさすがと言うところ。ただネットリジットリした大野の指揮に比して、実際の演奏は妙に淡泊に聞こえるのは、都響の音色自体に色気や情感が不足しているために思われる。アンサンブルはしっかりしているが、そこから一歩踏み込んでの表現がない。やはりこの曲はもっと渦まく情念やおどろおどろしさが欲しいところ。大野の熱演がいささか空回っているように見えた。

 公務員オケと言われるN響に対して、都響も準公務員オケと言われることがあるが、そのどこか公務員臭さが現れてしまった気がする。都響はフランスものとは相性が悪いのか? どうも茶目っ気や色気というのは公務員とは相容れないもののようだ。


 これでこの週末の予定は終了。家路につくことにしたのである。