徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

藤田美術館展&ヨルク・シュマイサー&PACオケ定期演奏会&日本の刀剣展

 今日は西宮でのコンサートだが、その前に奈良に立ち寄ることにする。

「国宝の殿堂 藤田美術館展」奈良国立博物館で6/9まで

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 大阪の藤田美術館が現在改修中なので、その間に藤田美術館の茶道具や仏教関係の品々などを展示しようという展覧会。目玉は曜変天目茶碗。

 曜変天目茶碗はまさに銀河の星を感じさせるような逸品。基本的には黒茶碗なのだが、光を受けると独特の光沢を示す。もっともここの展示での弱い光では、よくテレビで放送されているほどにキラキラとは輝かない。釜の中での偶然の産物とのことで、多くの者がその製法について研究しているが、未だにハッキリとは解明されていないらしい。

 これ以外では絵巻の展示がなかなかに面白かった。三蔵法師の天竺求法を描いた絵巻等、彩色も鮮やかで物語性もある。また仏教関係の展示では仏像が秀逸。鎌倉期の四天王像などは私好み。ただ鳥に乗った弥勒菩薩像は私にはチョコボに乗った勇者像に見えてしまったが。

 観客が曜変天目茶碗に集まってしまっていて、見学するのに会場内で行列を20分以上並ぶ羽目になってしまった。またこうやって行列にすると、元を取ろうとばかりにマジマジ眺める輩が増えるので一向に流れない。正直なところ「にわかのミーハーがうざい」と感じてしまった。そもそもここの連中の大半は、最近になってメディアが曜変天目がどうこうと騒ぐまではそんなものを知らなければ興味もなかった者だろうに。メディアなどで注目されて、その分野が話題になるのも良し悪しである。

 なお以前にテレビで見た時には、曜変天目は日本では珍重されているが中国では失敗作というように見なされて廃棄されているので残っていないというような説明を聞いていた。しかし本展での説明によると、南宋の宮殿の品の中から曜変天目の破片らしきものが見つかっており、中国でも高く評価されていたとのことになっていた。どちらが正しい? まあ私なら明らかにこの茶碗は高く評価するが。


 国立博物館の見学を終えた後は、歩いて近くの県立美術館へ。

「ヨルク・シュマイサー 終わりなき旅」奈良県立美術館で6/2まで

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奈良をイメージした作品

 ドイツ生まれのヨルク・シュマイサーは「旅する版画家」とも呼ばれるように、世界各国を旅しながらその風景などを題材にして版画を制作した。その旅の範囲は欧米のみならず東洋から南極にまで及んでおり、日本でも奈良や京都を訪問してその風景をイメージした作品を残している。

 なお基本は銅版画らしいが、日本に来た時には木版画も学んで木版画による作品も残したようだ。なかなか手法の探求に関しては熱心な人物だったらしい。

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木版画作品もあり

 彼の作品はどうしても手法の観点から注目されることが多いというが、版画に対しては全くの素人である私としては、その作品から流れる独特の空気というか静謐さに魅力を感じる。

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これはアンコールワット

 とにかく雰囲気があるというか、独特のインパクトのある作家である。なかなかに面白い。


 これで奈良での予定は終了。西宮へ移動することになるが、その前に昼食を摂っておきたい。JR奈良にバスで移動すると、「天極堂」に立ち寄って「若草の膳」を頂く。トロリとして葛うどんが美味いが、意外に美味かったのがくずきりが入ったサラダ。また葛をかけて頂くとろろご飯も最高。2160円という価格はいささか高いようには感じるが、満足度は高い。

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天極堂JR奈良駅前店

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季節の御膳

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絶品のくず餅

 昼食を終えると大和路快速と阪急を乗り継いで西宮北口へ。今日の大和路快速はメチャ混み。特に天王寺からは乗客が身動きできないような混雑。アジア人観光客も増えて最近は天王寺や新世界界隈の混雑が半端でなくなってきている。大阪に来るといつも新今宮を拠点にしているニシナリアンの私だが、そのうちにアジア人に追い出されそうだ。

 今日はフェスで佐渡指揮の4オケスペシャルもあるのでPACはガラガラではと思っていたのだが、予想に反して9割方は埋まっている。相変わらずPACは人気だ(まあ何と言っても安いしね・・・)。

兵庫芸術文化センター管弦楽団 第114回定期演奏会

指揮:パスカル・ロフェ
フルート:工藤重典

ストラヴィンスキー:バレエ音楽「プルチネッラ」組曲
イベール:フルート協奏曲
デュカス:交響詩「魔法使いの弟子」
ドビュッシー:交響詩「海」

 PACは金管を始めとして全体に雑さがあるのであるが、ロフェはそれをうまく派手さに持っていった印象。こうして聴いてみるとPACは意外とフランスものと相性が良いのではという気さえしてくる。ロフェはこのオケから巧みに色彩的な音色を引っ張り出した。

 最初のプルチネッラは、あの「春の祭典」を作曲したストラヴィンスキーのものとは思えないような小編成オケによるおとなしい曲。これは作曲を依頼した方も出来上がった作品を見て戸惑ったのは分かる。ただシンプルではあるが音の美しさが際立っており、意外に奥の深そうな曲である。

 フルート協奏曲については、工藤のフルート演奏が見事であるが、曲自体は意外に地味という印象。またイベールの音楽手法はどちらかと言えば保守的なようだ。

 後半は「魔法使いの弟子」の曲が進むにつれて段々と盛り上がっていく辺り、「海」のキラキラとした独特の音色、いずれもなかなかに決まっていて好演であると感じた。オケとロフェの相性も良さそうである。ロフェはPACの若さを良い方に引き出したと言える。この組み合わせには今後も期待できそうだ。


 これで今日の予定はほぼ終了だが、何やら阪急百貨店で刀剣の展覧会があるとの情報を仕入れたのでホテルに向かう途中で立ち寄ることにする。

「日本の刀剣展」阪急梅田ギャラリーで4/22まで

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 入場は無料とのこと。前半には平安から室町辺りの刀剣が展示されており、後半には現代の刀工による値段付きの作品。展覧会と言うよりは、刀剣商の展示会というところが正しいようだ。「刀剣乱舞」なる腐女子向けアニメのヒットで、京都での刀剣博が大混雑になったという話があったが、本展でも明らかにそれ系と見られる女性の姿をチラホラと見受けた。

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この刀はかなり刃紋が派手

 私は刀剣については全くと言うほど分からないのだが、それでも刃紋の派手な刀、反りの強い弱いぐらいは判別が着く。ちなみに私が知っている刀と言えば、備前長船と拝一刀が愛用していたという同太貫ぐらい。本展にも同太貫の展示があったが、反りの少ない直刀に近いスタイルで、胴は厚くていかにも頑丈そう、刃紋など飾りの要素は全くないいかにも実用本位の刀で、「斬る」だけでなく「突く」にもかなり威力がありそうに感じる刀だった。まさに拝一刀が振り回すにはピッタリの刀という印象。


 ところでこの平成の時代で最も変わったものの一つがオタクの存在のように感じる。最近は堂々と表に出てくるオタクが増えた。私が学生の頃は幼女殺害事件の宮崎勤のせいで、オタク(特にアニオタ)=犯罪者予備軍みたいな偏見が強く、メディアなんかはもろにそんな扱いだったし、実際に「宮崎勤になる」と言って子供にアニメを禁止するような親も普通にいた。そんな時代に比べると平成はオタクがメジャーになった時代だと言える。なお「シャーロキアン(ホームズマニア)」や「トレッキー(スタートレックマニア)」と言った歴史もあり社会的ステイタスの高いメンバーも多いオタク集団を元々抱えていた欧米ではオタクに対する認識も異なるようで、堂々と「アイム、オタク」と胸を張っている輩が多いのに感心した。そんな中で「アイム、キモータ」と名乗っている奴がいて、どういう意味なんだろうと分からなかったのだが、キモータ=キモオタのことだと気づいて絶句したことがある。キモオタは「キモいオタク」の略でネットなどでよく使われるオタクへの蔑称なんだが、これが欧米人にかかれば最上級のオタク、キングオブオタクの意味になって尊称になったようだ。あまりに文化が違いすぎる。

 今日の予定はこれで完全終了なので、今日の宿泊地である新今宮へ移動することにする。夕食は当然のように新世界で。今日は「グリル梵」「ヒレビフカツ」を頂くことにする。関西でカツと言えばビフカツ、関西の正しいビフカツとはかくあるべしという見本のようなビフカツである。夕食を堪能する。

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グリル梵

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ヘレビフカツ(やや露出オーバーになってしまった)

 満足して夕食を終えると、ドンキに立ち寄ってバスタオルを購入、そのままホテルに向かう。今日宿泊するのはホテルサンプラザ2ANNEX。最近私の定宿となりつつあるホテル。この界隈で言えばミドルクラスのホテルとなる。ちなみにこの界隈のホテルにはハッキリとランクがあり、1000円クラス、2000円クラス、3000円超クラスの高級ホテルと分かれている。この中でサンプラザ2ANNEXは2000円クラスである。私がこの界隈で選ぶホテルは大体このクラスである。このクラスのホテルは風呂・トイレ共同というのが標準仕様だが、経験的に言って設備面・衛生面などで寮暮らしの体験のあるものなら特に抵抗を感じない程度のレベルは保っている。なお部屋は3畳というのが標準だが、特に何をするでもなく部屋でテレビを見て寝るだけぐらいなら問題がない(というか私のような貧乏暮らしの者は、部屋はこのぐらい狭い方がむしろ落ち着く)。

 なおこのクラスのホテルの最大の難点は部屋の壁が薄くて少々やかましいこと。また新今宮という立地上鉄道の音が聞こえてきたりする。そんな時に活躍するのがホワイトノイズ発生器。夜中に寝ている時に突然に騒音が聞こえたりしたらそれが刺激になってしまうが、最初からホワイトノイズを発生しておくことで音をマスキングして騒音の刺激をなくすという安眠装置である。最初にスイッチを入れた時には結構大きな音が出るので「こんな音がしていて本当に寝られるのか?」と疑問を感じるのだが、ホワイトノイズの特性として脳のフィルタリング機能でカットされるので、そのうちに気にならなくなるのである。実際に私はいつも朝に目が覚めた時にはこれが鳴っているのに気がつかないぐらい。逆にこの音がいつまでも気になって寝られない場合は、脳機能に何らかの問題が発生している可能性が高いから医師の診察を受けた方が良いと言える。

  なおもっと原始的な方法としては、耳栓を配布しているホテルが多いのでそれを利用するというのも一案である。ただこの場合は目覚ましが聞こえないという問題が発生するので、朝に寝過ごすとまずい場合にはバイブ型の目覚ましを用意しておくのが良いだろう。