徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

ロイヤルオペラシネマ ヴェルディ「運命の力」

 体にかなり疲労が残っているので、翌朝は8時過ぎまで寝ていた。とにかく体が重い。今日の予定はロイヤルオペラのシネマシーズンを見に行くつもりなんだが、これの上映が16時45分から。昼頃に上映があれば一番良いのだが、残念ながら大阪、京都、西宮のいずれもナイター上映ばかりで、西宮が一番早くてこの時間。それにしてもMETのライブビューイングは事前に上映時間がキチンと定められている上に、大阪、神戸などで昼間上映と夜間上映に分けられているなど行き届いているのだが、ロイヤルオペラの方は直前まで上映時間が分からない(今回も判明したの今週の3日前の水曜日だ)上に、ナイター上映ばかりという不便さ。しかも今回は料金5000円という映画とは思えない価格。これは本気でやる気のあるの? と言いたい状況である。

 とりあえずチェックアウト時刻の10時前まで部屋でゴロゴロしてから朝食のために新世界に赴くとする。それにしても暑い。今日も地獄の暑さになりそうな模様。朝食は正直なところ考えるのも面倒なので、「千成屋珈琲」「厚焼き玉子サンド」「ミックスジュース」を注文する。

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昭和レトロな店構え

 柔らかい卵焼きと甘いミックスジュースが心地よい。今日も暑いしこのジュースの冷たさがホッとする。暑さにへばっている時にものどを通りやすい朝食である。

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ミックスジュースとサンドイッチ

 朝食を終えると一旦三ノ宮に移動することにする。大阪で全くすることがないから三ノ宮に移動したのだが、実を言うと三ノ宮でもすることはない。正直なところどこかに行くよりも、どこかでゴロゴロしておきたいというのが本音。そこでキャリーをコインロッカーに放り込んでから、三ノ宮駅前のネカフェに入って仮眠がてらゴロゴロすることに。結局は「ULTRAMAN」を3冊ほど読んだだけで、後はマット席でゴロゴロとうたた寝。ネカフェは仮眠スペースとして考えた時、キーボードの音など意外とうるさいのが難点。

 

西宮の人気そば屋で昼食

 3時間ちょっとをネカフェで怠惰に過ごした後、阪急で西宮に移動する。これからナイター上映になるので、ランチ兼ディナー(朝食兼昼食はブランチなんて言うが、これはランナーとでも言うのか?)を摂ることにする。立ち寄ったのは西宮北口駅の北側にある「生そば処番場亭」。ここは以前に昼時に立ち寄った時は大行列で諦めたのだが、今回は3時過ぎと完全に昼時をはずしていたので待ち客もなく入店できる。

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西宮北口の番場亭

 注文したのはカツカレー蕎麦。かなり量が多い。それとカレーがかなり辛いのが印象的。辛い上に熱いので食べるのに思ったよりも時間がかかる。これが前回、そば屋の割には客の回転が遅いと感じた原因か。また食べるのに時間がかかるせいで、このタイプだとどうしても蕎麦がのびてくることになる。つけ蕎麦のタイプもあるらしいので、どうやらそっちを選ぶのが正解のようだ。なおカレーは確かに辛いが単に無闇に辛いのではなく、キチンと出汁を利かせてあってそば屋のカレーとしてはなかなか美味いことは分かる。

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かなり量のあるカツカレー蕎麦

 食事を終えて西宮ガーデンズに向かうことに。どうもまだ口の中がピリピリしているのでちょっと喫茶によりたい。そこでレストラン街の「TO THE HERBS」イチゴのパフェと珈琲を頂く。ミルク味の効いたイチゴのパフェは美味いが、珈琲の方は私の好みよりはやや酸味が強すぎる。やはり私は本格的な珈琲は苦手な安物舌のようだ。

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そもそもはピザがメインの店のよう

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いちごのパフェ

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この珈琲は私には酸味が強すぎた

 口の中がサッパリしたところで時間もそろそろ。映画館に向かうが、館内は若い女性客が大勢殺到していてとんでもないことになっている。どの作品のせいかは不明だが、そういう手の作品が上映されているのだろう。

ロイヤルオペラハウスシネマシーズン ヴェルディ「運命の力」

【演出】クリストフ・ロイ
【指揮】アントニオ・パッパーノ
【出演】アンナ・ネトレプコ(レオノーラ)
    ヨナス・カウフマン(ドン・アルヴァーロ)
    ルドヴィク・テジエ(ドン・カルロ)

 悲劇的な運命に翻弄されることになってしまう若き恋人達レオノーラとアルヴァーロをネトレプコとカウフマン。二人を執念深くつけ回す狂気の駄目男ドン・カルロをテジエが演じるという超豪華最強布陣で臨む話題作。

 この三者の歌唱は圧巻の一言に過ぎる。自身の不幸な運命を嘆きながら安らぎを求めて信仰の世界に逃避するレオノーラを演じるネトレプコの美しい歌唱は悲しくも胸を打つし、また運命に翻弄されて自身の立場を嘆き続けるアルヴァーロのカウフマンの切ない歌唱はガンガンと聴衆に迫ってくる。そして執念深さと狂気に満ちてこの作品のすべての「嫌さ」を象徴するドン・カルロのテジエの迫力ある歌唱。特にカウフマンとテジエの対決に似た絡み合いは迫力十分。この作品はヴェルディの音楽も実に分かりやすくかつ効果的に作られているので、嫌でもドラマティックな盛り上がりつながるわけで、「強烈」という印象を受ける作品である。

 一方、ヴェルディもひたすら重くなりすぎることを警戒したのか、本筋とは関係ないような馬鹿騒ぎを加えて気分転換にしている。「ラタプラン」などがそれになるが、このラタプランというのは太鼓の音の擬音語だとか。そう言えば同じ言葉が先日見た「連隊の少女」にも出てきた記憶がある。本筋が相当に重苦しいだけに、この軽快な音楽は妙にホッとするところがある。

 ところでヴェルディはかなり強い信仰心を持っていたと考えられるとのことだが、本作品におけるキリスト教の位置づけはどう捉えるのが正解なのだろうか。レオノーラとアルヴァーロは信仰に救いを求めたのだが、結局はそれは何の役にも立たなかったようにも見え、アルヴァーロが自身の運命に対して神を呪う言葉を吐きたくなるのも理解できるだけに。それを乗り越えた信仰の世界が最後に二人を救ったとみるべきなのかどうか。綺麗事を並べるだけで役に立っているように見えなかった僧院長の存在といい、私には「信仰なんかにすがっても何の役にも立たない」という話に思えてしまったのだが・・・。


 上映終了は夜の9時過ぎ。急いで帰宅することにしたのである。それにしても暑さで相当にへばってしまった。というものの、今回は音楽的にはかなり充実した内容であった。最終日のシネマまで含めていずれもかなりの名演揃い。毎度こう充実してたらありがたいのであるが。