昼食は久しぶりの洋食店へ
この週末は西宮方面に出向くことにする。PACの定期演奏会とMETのライブビューイングをハシゴしようという考え。ただその前に通りすがりに美術館に一軒立ち寄る予定。
土曜日の午前中に家を出ると、まずはJRで灘駅を目指す。立ち寄り先は兵庫県立美術館で開催中の「キース・ヘリング」展。ただ美術館に立ち寄る前に既に昼時なので昼食を先にすることにする。
立ち寄ったのはかなり久しぶりの「洋食SAEKI」。現地到着は営業開始時刻11時の20分前ぐらいだったが、既に1組の待ち客が。入口前に行列でしばし待つが、今日は思いの外に日差しが厳しい上に暑い。あまり長時間ここで待っていたら熱中症になりそうな気もする。髪の毛が熱くなっている状態に帽子を被ってくるべきだったと後悔する。そのまましばし待っていると営業開始時刻前でゾロゾロと客が集まり行列になる。営業開始時刻になって扉が開くと整然と入店。
私が注文したのはミックスフライランチ(1200円)。ここの看板とも言える有頭海老のフライにチキンカツ、クリームコロッケ、ミンチカツが加わった揚げ物ランチである。
有頭海老フライに関しては相変わらず美味い。そもそも私がこのタイプの海老フライの頭の食べ方を習ったのはこの店である。この知見は他の店でも活用させてもらっている。まさか頭を足ごとバリバリ食べるとは知らなかった。この足が意外とポリポリと美味かったりする。
もっともこのフライの大軍は、現在の私の年齢及び体調的にはいささか重すぎる感がある。今日は朝食が遅めだったこともあってさらに重い。やはり私も年齢的に和定食などの方が体に合うようになってきたようである。
昼食を終えるとキャリーをゴロゴロと引きながら美術館へ。しかしこういう状態だと、美術館の駅からの微妙な距離と、非実用建築の大家である安藤忠雄設計の美術館の動線の悪さが身に染みる。さすがに錯綜して無駄に遠回りを強制される動線の悪さに、無駄に光熱費をつり上げるコンクリート打ちっ放しなど、実用性などクソ食らえという安藤忠雄の建築コンセプトの権化のような建物である。なおギャラリーは1階でチケットを購入後、3階の会場まで延々と階段を登り続ける必要があるという、バリアフリーなどガン無視の、今時の風潮に挑戦するチャレンジングな構造となっている。
「キース・へリング展」兵庫県立美術館で6/23まで
キース・ヘリングはSNSもなかった時代に、地下鉄の空きポスタースペースに黒紙にチョークで絵を描くことで多くの人々にアピールした芸術家だという。なお有名になるにつれてこれらのドローイングが剥がされて売買されるようななったことで、このプロジェクトは中止されたとか。
ちょうど今のバンクシーのような存在だが、あくまで正体を伏せているバンクシーと違い、彼の場合はいきなり顔出しである。
太い線で人の形を記号的に描いたインパクトのある彼の作風は、非常に印象に残るものであり、まさにポップアートの王道となった感もある。
またポップアート系のお約束として性や妊娠をモチーフにした作品も多いのが印象に残る。
彼はウォーホルなどにも認められて一躍ポップアートの寵児となる。
様々な絵画などの作品が多いが、中には立体作品なども含まれる。
なおゲイであった彼は、最終的には1990年に31才でエイズの合併症で亡くなったそうだが、それまでに核廃絶やエイズ予防啓発のメッセージなども訴えていたという。
最終コーナーは彼が来日した時のパフォーマンスやメーカーとのタイアップでの商品展開についてだが、このコーナーだけは商標権絡みか撮影禁止。なお展覧会会場から出てからのグッズ販売が非常に充実していたのはいかにもこの手の展覧会らしいところ。
次はPACオケの定期演奏会へ
展覧会の見学を終えるとホールに向かうことにする。ここからだと阪神岩屋から今津を経由して今津線で西宮北口というのが通常だが、それだとかなり回り道であるので、阪急の王子公園駅まで歩くことにする。
しかしそれは選択としては賢くはなかった。JR灘駅から阪急王子公園駅まではGoogle先生によると徒歩10分とのことだが、Google先生は私よりもかなり健脚である上に身軽でもある。キャリーを引きずりながらの登り坂は思いの外に体にキツく、結局は駅到着は10分を少し越えたぐらいで、駅到着時には暑さもあってヘロヘロになってしまう。
蒸し暑いホームでしばしへばった後に、ようやく到着した普通電車に飛び乗る。ややキツメの設定の冷房がこういう時にはありがたい。しかし火照った体が完全に冷え切る前に西宮北口に到着。コンサート前にして既にかなり消耗してしまった(歩数としてはまだ6000歩も行っていないのに)。
ホールに到着したのは開場の1時間前ぐらい。プラプラしてても仕方ないので、喫茶でアイスコーヒーを求めてそれを飲みつつ原稿入力をしている。
ようやく開場時刻を過ぎると会場の方へ。今回は和太鼓の演目があるのでステージに巨大な太鼓が据え付けてある。なお会場はかなりの大入りで、私もチケット購入に出遅れたせいもあって、1階後から2列目の傘かぶり席というかなりの悪条件の席しか取れなかった。
PACオケ第150回定期演奏会
指揮:角田 鋼亮
太鼓:林 英哲
管弦楽:兵庫芸術文化センター管弦楽団
ハイドン:交響曲 第103番「太鼓連打」
松下功:和太鼓協奏曲「飛天遊」
R.シュトラウス:交響詩「英雄の生涯」
第一曲目はハイドンの晩年の交響曲。いきなりティンパニの連打が目立つ曲であるが、内容的にはガチガチの古典派と言うよりも、かなりロマン派的な要素が垣間見えだした頃のハイドンの曲。
その曲を角田は典型的なモダンアプローチをとっているので、余計にロマンチックに聞こえてくる。若いPACオケの持ち味を出してのびのびと演奏させているという印象で、なかなかに気持ちの良い演奏ではある。
二曲目は和太鼓協奏曲とあるが、確かに和太鼓がソリストとなっての協奏曲である。曲自体は現代音楽的なので、今ひとつ私にはピンとこないところがあるが、林のダイナミックな和太鼓の演奏が極めて印象に残る曲。それにしても林の演奏のスゴさはともかくとして、その林の和太鼓に付き合わされるPACオケ打楽器陣もなかなかに大変である。とにかく太鼓の音が音と言うよりも腹の底に響いてくるという物理パワーの強い音楽。
なおソリストアンコールが「民謡:太鼓打つ子ら」とのことだが、ここで披露した林の美声も極めて印象的である。
後半はもろにロマン派のR.シュトラウスである。角田のアプローチは一曲目と同様に若いPACオケにのびのびと演奏させるというスタンス。その結果として非常に煌びやかな色彩的な音楽になったと言える。もっと奏者達が個人技で聞かせる音色を出せればもっと次元の高い演奏になったとも言えるのだが、そこは若いオケであり奏者自身も技倆はともかくとして経験から来る味のようなものはまだどうしても薄い。個人技よりもトータルでの総合力でなかなか聞かせる演奏になったという印象である。
夕食を摂ってからホテルへ
コンサートを終えると阪急で梅田へ。今日は新今宮の定宿で宿泊する予定。正直なところ三ノ宮辺りで宿泊した方が便利なんだが、残念ながら週末に三ノ宮でまともな価格で宿泊できる施設が皆無なので、やむなくホームグラウンドである新今宮まで行くことに。
とりあえず既に夕食時なので、ホテルに行く前に梅田駅地下で夕食を摂っておくことにする。昼食がコッテリ洋食だったので夕食はあっさり和食にしたい。たまたま見かけた「ごはん処 司」に入店。「豚の角煮とカツオのたたきの定食(1500円+税)」を注文する。
大阪で食べてカツオのたたきに臭みがないのは上々。また豚の角煮もなかなか美味い。場所柄CPは捨ててかかっているので、まずまず美味いものであれば上々と言うところか。ここはそれなりに使えそう。
夕食を終えるとホテルへ。地下鉄で動物園まで移動するが、何やら巨大な装置が改札に。どうやら顔認証の改札機の実証試験中とのこと。JR大阪駅に設置されたのと同類か。いずれは改札をこのような装置にという思惑だろうが、ただ駅員に少し聞いたところによると、トラブルも多くてまだまだというようなニュアンスのことを言っていた。この分野も中国に負けているんだろうか? 本来は最初にこの技術を開発したのは日本だったはずなんだが。
ホテルに到着したところでダウン
今日の宿泊ホテルはいつもの定宿「ホテルサンプラザ2ANNEX」。この界隈のミドルクラスホテルで以前から私の定宿だが、駐車場がないためにコロナ禍でしばし利用が途絶えていたのが、JRで遠征するようになってから利用復活したホテルである。
今回はシンプルな洋室である。しかし今日の暑さで思いの外に体力が消耗していたようで、部屋に到着して気が緩んだ途端にグッタリしてしまう。とりあえず途中で買い求めたコンビニスイーツでエネルギー補給をするが、やっぱり何をする気も起こらずベッドでダウンしてしまう。
そのまま1時間ぐらい半分意識失いかけている状況でウツラウツラ。ようやく起き出すととりあえず風呂ぐらいには入っておくべきと起き上がって大浴場へ。あちこちガタが来ている体をほぐして戻ってくるが、やはり何をする気力もない。結局この日は部屋で何も出来ないままに早めに就寝する。折角組んだ仕事環境は全くの無駄になってしまった。
この遠征の翌日の記事