秋の京都に繰り出す
この週末は京都と西宮のコンサートに出かけることにした。京都市交響楽団の定期演奏会とアマオケの芦屋交響楽団のコンサートである。土曜の午前中に家を出ると、JRと阪急を乗り継いで嵐山へ。現地はインバウンド中心に大混雑。やはり紅葉シーズンの京都、さらに嵐山は鬼門。ただ実際には紅葉はまだほとんどしていない雰囲気。
まずは福田美術館に立ち寄るつもりである。渡月橋の大混雑の人混みをかき分けて美術館へ。
「京都の嵐山に舞い降りた奇跡!! 伊藤若冲の激レアな巻物が世界初公開されるってマジ?!」福田美術館で'25/1/19まで
この度、ヨーロッパから里帰りして初公開となる「果蔬図巻」を目玉にして、当館が所蔵する若冲作品及び、若冲と同時代の曾我蕭白、円山応挙や関連する絵師の作品を展示した展覧会。
展示している若冲作品は様々。一般的に若冲作品と言った時に連想される彩色の精密な絵画などから
一転して渋い墨絵も登場。中には若冲独自の筋目描きを駆使した作品も。
さらには墨でかなりさくっと描いた作品まで、若冲ワールド全開である。
また有名な版画である乗興舟も。大典と舟で京都から大阪まで移動した時の風景を描いたかなりの長尺の絵巻である。
そして本展最大の目玉である「果蔬図巻」登場。青物問屋の主人だった若冲の野菜愛が覗える作品でもある。若冲といえばやはり野菜と鶏のモチーフが実に多い。
ほぼ独学で絵を学んだとされる若冲は様々な絵師の技を吸収しているが、白隠の大胆な絵は若冲にも大きな影響を与えたという。また沈南ピンの絵画は江戸の画家に多大な影響を与えた清時代の画家だとか。
最後は曽我蕭白と円山応挙の虎の絵。やっぱり応挙の虎は猫である。
若冲ファンなら見逃せない作品オンパレードに、美術館の見学を終えた時には予定よりも時間が経っていた。先の予定を急ぐ必要がありそうだ。嵐山界隈の人混みをかき分けて移動すると、嵐電と地下鉄を乗り継いでホールのある北山へ移動する。
北山に到着すると、後1時間ちょっとしかないコンサートの開演までに昼食を摂っておく必要がある。しかし難儀なのは毎回のことながら店選び。未だにこの界隈で良い店というのを開拓できていない。しかも今日は北山界隈も人が多く、いつもはあまり客の多くないラーメン屋にまで行列ができている状況。これだと「東洋亭」など覗くだけ無駄と言うものだろう。とんかつ屋は昼の営業をもう終えているし、結局は気分ではないのだが蕎麦屋「よしむら」に立ち寄ることに。
ここも混雑でしばし待たされてイライラする。ただ昼食時が一段落して客の入れ替わりは早い。10分弱待ってようやく席に通される。
今は気分的にはそばよりは御飯が食べたい。と言うわけで丼とそばがセットになった「北山膳(1680円)」を注文する。
ここの丼はイマイチだった印象があるのだが、今日は体調のせいか妙に親子丼が美味い。しかしその代わりになぜかそばが今一つ美味くない。ただとにかく時間の余裕がもうないので、サラリーマンジョブの固有スキルである爆速食いでとりあえず腹に放り込む状態。
昼食を終えるとホールに急ぐ。開演30分を切っているのでホールはもう既に満員である。席は例によって3階席の正面。
京都市交響楽団 第695回定期演奏会
[指揮]鈴木 雅明(指揮)
[ヴァイオリン]ジョシュア・ブラウン
モーツァルト:歌劇「ドン・ジョヴァンニ」序曲
ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品61
ドヴォルザーク:交響曲 第6番 ニ長調 作品60
本公演は最初は沖澤のどか指揮の予定だったが、彼女は出産とのことで年度途中で指揮が鈴木雅明に変更になった。最近は息子の鈴木優人が何かと脚光を浴びているが、そもそも親父の方が指揮者として高い評価を受けてきた人である。
一曲目の「ドン・ジョヴァンニ」は意外に淡々とした演奏。元々古典派に強い鈴木は、古典曲に関してはピリオドアプローチで整然と演奏するところがある。
二曲目のヴァイオリン協奏曲は、ブラウンの優美なイケメン演奏に尽きる。とにかく音色が美しく、テクニックがあってもそれをひけらかすわけではなく美麗な演奏をするヴァイオリニストである。鈴木の指揮する京都市響は、それを裏からやや地味に支えているという印象。非常にまとまりの良い美しい演奏だった。もっともその美しさのせいで、いわゆる劇的効果が薄い部分はあったが。
三曲目が古典を外れてドヴォルザークの交響曲第6番。非古典の知名度今ひとつのこの曲を鈴木がどう演奏するかと注目していたのだが、もう冒頭から驚いてずっこけた。先程までの淡々とした演奏から一転して、鈴木がかなり「熱い」指揮を始めたからである。ピリオドを外しただけで演奏が一変した。第一楽章などはまさにグイグイと行く。非常に表現が劇的で鮮烈、正直なところこの曲に対する印象まで変化させてしまうぐらいの熱の入った演奏である。
第二楽章は叙情的でゆったりとした美しい曲。ただ曲調的にはややまとまりを欠く印象もある。そして叩きつけるような激しさのある第三楽章。この辺りは何となく第9番を連想させる。ドヴォルザークの交響曲もこのような段階を踏んで「新世界から」に至ったのだと言うことを感じさせるところ。
そして壮大な最終楽章。ここも第一楽章と同様に鈴木の熱くも躍動するような指揮でグイグイと進行する印象。結局はそのままかなりの熱量を帯びたまま演奏終了である。
当然と言えば当然だが、その熱量はそのまま観客の盛大な拍手につながった。実のところ私はかなり面食らったのが正直な感想。鈴木雅明といえば古典曲を淡々と演奏する人と私は勝手に思い込んでしまっていたようである。まさかこうも激しいドヴォルザークを聴かせてくるとは予想もしていなかった。今までよく聴いたことのない人物を先入観で決めつけてはいけないと反省。それに人は進化も変化もするものだし・・・。もっともこの前のN響公演では、ヒメノは残念ながら進化も変化もしてなかったが。
ファーストキャビンで初宿泊
コンサートを終えると今日の宿泊ホテルへ。紅葉シーズン(と言う割にはあまり紅葉はない)を反映してこの週末のホテル選択は難航、京都はおろか大阪でさえホテルに空きがほぼないような状況の中、何とか確保できたのがファーストキャビン京都二条城。どうも最近は宿泊料金の関係でカプセルホテルが増えているが、ここのチェーンは初めて使う。「一クラス上のカプセルホテル」を売りにしている同社がどのようなものであるかは初体験になる。
一クラス上というのは、カプセルの広さにあるようだ。通常のカプセルなら上下二段になるところだが、ここのは一段である(二段のも一部にはある)。天井が高くて身長168センチの私が立っても頭が当たらない高さがある。
カプセルの装備的には他とそう大差はない。なお荷物収納ができるのが、ベッド脇の小さな鍵付きボックスしかないので、PCなどはここに入るが、キャリーなどは置く場所がない。だから貴重品だけボックスに入れて、キャリーはカプセルの前に転がしている人が多い。私も荷物を減らして圧縮かけたキャリーを無理やりにベッドとロールカーテンの隙間に押し込むことに。
とりあえず荷物の整理をつけたところで、空腹があるので食事に出ることにする。ちょうど向かいにイズミヤがあるので買い物の便は良い。とは言うものの、スーパーの寿司を買って帰るのも・・・。結局は二階にあるモスバーガーに立ち寄ってモスチーズとエビカツのセットを。なんか貧相すぎる夕食である。
ホテルに戻ると入浴。一応は大浴場とシャワーがある。大浴場はルートインなんかでもよく見かける光明石人工温泉という奴。浴槽は4人程度で一杯なので大浴場と言うのには少々おこがましいし、湯もややカルキ臭さがあるが手足を伸ばして入浴できるのは悪くはない。
ロビーには無料のドリンクにヤクルトや駄菓子が装備。この辺りはいかにもインバウンドを意識しているのが窺える。カプセルに戻ると無理やりに仕事環境を構築してしばし作業。ただし疲労度がかなり高いので能率は全く上がらない。
そうこうしている内に夜が更けてくると、夕食が早すぎた(モスに行ったのは6時前である)のもあって、小腹が減っているのと何よりも精神的に満たされない感が募ってきたのとで、もう一度夕食に出かける。
当初目指していた寿司屋は満席で入店出来ず、仕方ないので辺りをプラプラしていたら「創作料理 やま久」なる店を発見、どうやら海鮮居酒屋といったところのようだ。とりあえずここに入店することにする。
刺身の盛り合わせにご飯と味噌汁の定食セット、さらにバイガイの煮付けを注文。まずはお通しとしてキビナゴの酢の物が登場、なかなかに美味い。
次にバイガイ。これを楊枝でほじって頂く。うん、普通に美味い。
そしてメインのお刺身盛り合わせとご飯。刺身のボリュームがもっと欲しいところだが、1000円だったらこんなものか。ネタ自体は美味い。これでご飯をモリモリと頂く。
以上で支払は2750円。まあCPが良いとは思わないが、京都だったらこんなものだろうか。とりあえずは満足出来る夕食を摂れた。
夕食第二弾を終えてホテルに戻ってくると、作業の続き。しかしいよいよ疲労がひどい。しばしグダグダした後、諦めて早めに就寝する。
この遠征の翌日の記事