徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

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白鷺館アニメ棟

大阪フィル定期は急逝した秋山の代演のフェデックが好演

この週末もコンサート三昧

 毎年2月頃になると大抵心身共に不調になるのが私の常だが、今年は特に仕事のプレッシャーもキツいせいかかなり体調がひどい。週末はおとなしく家で寝ていたらという考えも頭を過ぎるが、そうしたらしたで今度は精神の方が不調を来す。特に既に入手済みのチケットを無駄にするのは、貧乏性が主な行動原則となっている私には非常に大きな精神的とストレスとなる。そこでこの週末は大阪方面にコンサートに繰り出すことにする。

 金曜日の仕事を早めに終えるとJRで大阪へ。どうも最近は車内で半分意識不明になっていることが増えているが、今回もそれに近い。どうにか大阪に到着すると、まずは夕食にする。立ち寄った店は中華でも食べてみるかと言うことで、エキマルシェの「上海バール」。ここは今まで何度も前を通り過ぎているが、入店するのは初めての店である。「四川風麻婆豆腐の定食(1220円)」を注文する。

エキマルシェの「上海バール」

 黒っぽい麻婆豆腐にご飯とスープとザーサイが出てくる。スープはシンプルではあるが上品な味で結構美味い。またザーサイも悪くない。さて麻婆豆腐であるが、口当たりは甘いが中華香辛料が入っているようで、後でピリピリとしてくる。ただその刺激の度合いが下品ではなくなかなか美味い。

黒っぽい麻婆豆腐がなかなか美味い

 とりあえず使えそうな店が見つかった。次の時には炒飯も食べてみたいところだ。炒飯と担々麺のセットがあるようだが、果たして担々麺は私の口に合うかどうかは試してみないと分からない。

 夕食を終えた時にはもう既にホールの開場時刻を過ぎているのでホールへと急ぐ。フェスティバルホールには続々と入場中。とりあえずキャリーと上着をクロークに預けると私も入場。口の中が先程の麻婆でいささかピリピリしているので、それをアイスコーヒーで中和。

喫茶でアイスコーヒーで一服する

 さて今日のプログラムだが、スクリャービンなどのレアものになる。こういう時は下野が出てきそうなところだが、今回の指揮は秋山和慶の予定だった。しかし秋山の急逝によって代演はアメリカの新鋭、ジェームス・フェデック。私も初めての指揮者である。プログラムによると、クリーブランド管のアシスタント指揮者から欧米各地のオケに客演、現在はミラノでオケやオペラを振っているそうな。オルガン奏者としても活躍しており、レパートリーは広いがブルックナーに定評があるとのこと。と言うことは、もしかして大フィルは今回の反響如何では今後末永い関係も考えている可能性はある。

 観客の入りは1階席から見る限りでは8割は入っている。かなりマイナーなプログラムにしては結構入っているように思われる。

 

 

大阪フィルハーモニー交響楽団 第586回定期演奏会

シチェドリンのために左手に打楽器大幅増量

指揮/ジェームズ・フェデック

シチェドリン:カルメン組曲
ラフマニノフ/幻想曲「岩」作品7
スクリャービン/交響曲 第4番 作品54 「法悦の詩」


 一曲目はカルメン組曲と言ってもシチェドリンのものといういきなり変化球。比較的マイナー曲だと考えていたが、どうやら私は既に2回ライブでこの曲を聞いている。最近は2023年に広上指揮のアンサンブル金沢によるものがあり、これは私もよく覚えている。ただその前にこれは完全に忘れていたのだが、コロナ厳戒下の2020年に京都市響によるものを聴いていたようだ。この時の指揮は秋山和慶のようなので、秋山のレパートリーだったようだ。

 この曲はシチェドリンの妻でバレリーナのプリセツカヤが、カルメンのバレエ上演を考えて作曲の依頼をショスタコーヴィチやハチャトゥリアンなどに持って行ったが、「いやー、カルメンと言ったらやっぱりビゼーっしょ」と断られてしまって、「作曲だったらそもそもあなたの旦那が作曲家でしょ」と押し付けられてしまったらしい。ただシチェドリンも作曲に当たってはやっぱりビゼーの存在が大きすぎて、無視して全く新しい曲を作ることも出来なかったのか、結局はビゼーの作品の編曲ということになったということらしい。もっともオケ編成が管楽器抜きの弦楽プラス打楽器(これが47種もの楽器をしようするとか)という特異な編成で、ビゼーのカルメンだけでなくアルルの女のファランドールまで持ってきていたりのごった煮の上に、メロディに対して独自のアクセントや休止を入れるなどでおどろおどろしかったりユーモラスだったりなど、どうもリスペクトやオマージュというよりもパロディに近い雰囲気がある独特の曲である。

 さてフェデックの演奏であるが、独特のリズムや色彩のあるこの曲をうまくまとめてきているのを感じる。大阪フィルの弦楽陣がしっとり聴かせるところでは美しいアンサンブルを、それが一転して打楽器がメインになってのポコポコとユーモラスな演奏になったりなど、とにかく変化が著しいがそれを破綻なくまとめきっている。下手すればただのゲテモノになりかねないこの曲を、なかなかに品よくまとめてきて最後まで退屈させることがなかった。

 休憩後の後半はまずラフマニノフの「岩」というこれも「何それ?」という曲。交響詩的な曲だが、有名なピアノ協奏曲第2番のような甘い曲ではなく、最近に演奏機会が増えてきている交響曲第3番のように泥臭い曲でもない。重苦しい序盤から中盤にかなりキラキラした音楽が展開し、かなり盛り上がって唐突に終わるという印象の作品。曲自体がややとりとめのないところがある。

 そういうわけなので、ダラダラとやってしまうと間違いなく眠気を誘うことになりかねない曲なのであるが、そこはフェデックはメリハリをしっかりと付けての演奏。雑にならずそれでいて退屈にならない絶妙のバランスを保っているから、最後まで音楽を楽しめる。また大阪フィルの演奏もなかなか冴えている。

 後半二曲目はスクリャービンの交響曲第4番というこれもマイナー曲。私はこの曲については全く知らないわけではないが、聴いたことはほとんどなく、ましてやライブで聴いたことは一度もない。スクリャービンはちょうどラフマニノフと同じ時代のロシアの作曲家だが、ロマン派の影響バリバリだったラフマニノフと違い、神秘主義的な世界に入っていった作曲家だそうな。そのせいかこの曲も交響曲と名乗ってはいるが、かなり幻想的な単一楽章のとりとめのない曲で、交響詩に近いように思われる。

 一応ソナタ形式はとっているらしいが、メロディラインは今一つはっきりしない。とは言っても現音のような無調性音楽というのとも異なるようである。意外に聴きやすいとこはあるが、先ほどのラフマニノフよりもさらにとりとめのない曲である。この曲においてもフェデックの演奏はかなり明快でメリハリの効いた実に聴きやすいものになっている。とにかくこういうとりとめのない曲をまとめるのが上手いという印象を受けた。

 正直なところ、全く知らない曲ばかりだったのでフェデックの力量や傾向を見極めるということはできなかったが、なかなかやるなというのが今回の感想。今後、また別の曲でその演奏を聴いてみたい気がする。定評があるというブルックナーなどが興味深いところではある。

 

 

新今宮で久しぶりのホテルで宿泊

 コンサートを終えると今日の宿泊ホテルへの移動となる。宿泊先は例によって新今宮であるが、今回はいつものサンプラザ2ANNEXではなく、ホテルみかどを利用することにする。以前のコロナ時には駐車場があることからよく利用したホテルだが、コロナ明けで鉄道移動になってからは宿泊料が若干高めなこともあってご無沙汰していたのだが、久しぶりの利用ということになる。

新今宮のビジネスホテルみかど

 部屋は以前にもよく利用した新館のDXシングル。デスクとベッドの機能的な部屋である。部屋の装備はテレビに冷蔵庫、風呂トイレは共同というこの界隈のホテルの標準装備。

シンプルで機能的なDXシングル

 部屋に入るとまずとりあえずは仕事環境の構築。夜食に購入したサンドイッチをつまみつつ今日の原稿をまとめつつしばし時間をつぶす。ここの大浴場は男女時間交代制なので、夜の男性時間帯になったところで入浴に行く。体がかなり凝っているし、どうも冷えているようであるので、しっかりと体を温めてからほぐしておく。

毎度の作業環境構築

 もうかなり夜も更けている。あまり夜更かしすると明日がツライ。就寝することにする。

 

 

この遠征の翌日の記事

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