徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

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白鷺館アニメ棟

関西フィルの定期演奏会で藤岡指揮でマーラーの交響曲第6番

スケジュール被りで関西フィルを選択

 この週末は関西フィルの定期演奏会である。しかし実は今日は京都でのノット指揮のスイスロマンドともろに日程被り。ノットとスイスロマンドは2019年になかなかの名演を聴かせてくれたので行きたかったが、関西フィルが藤岡幸夫はともかくとしてマーラーの6番をするとのことなので、スイスロマンドは泣きの涙でパスすることにした。これが数年前のまだ懐に比較的余裕のあった頃なら遠征先まで追いかけたところだが、今の私の財務状況でそんなことは不可能なのは言うまでもない。こうなると藤岡にスイスロマンド以上の名演を期待したいところ。

 金曜日の仕事を早めに終えるとJRで大阪まで。それにしても外は暑い。歩くだけで体力を消耗する。私は以前から自分が死ぬのは2月だと考えていたが(毎年この時期にメンタルを中心に体調がドンと落ちる)、最近はもしかして夏の灼熱地獄を乗り越えられずに衰弱死するのではと思い始めた。表に出ただけで体に熱さが染みこんでくるが、その上に乗車したのが弱冷車だったせいで、体の芯に暑気が残っている状態になってしまった。こんな時はなるべく外を歩く時間を縮めないと命に関わる。食事はホールに行きがてらの最短ルートの途中で摂ることにする。

 いつものお約束で「やまがそば」で良いかなと思っていたのだが、何と入口に待ち客がいる状態。しかも店内入り口は待ち客でごった返しているので、こんな中で外で待つのは真っ平ごめん。それにそもそもとにかく行列が嫌いな私はパスすることにする。そこで最悪はカレーでも仕方ないかと頭に浮かべながら、さらにプラプラとホール近くまで歩いて行く。結局見つけたのはホール近くの「魚場 春夏秋冬」

ホール近くの「魚場 春夏秋冬」

 どうやら魚料理の定食屋のようである。正直なところ暑さにやられてガッツリ飯という気分ではないのだが・・・。比較的のどを通りやすそうなものということで「キハダマグロの漬け丼定食(1700円)」を注文する。

漬け丼がなかなかに美味い

 魚が売りの店だけあって、なかなか良いマグロを使用しているのが一口で分かる。また小鉢の類いが美味い。選べる小鉢は冷しゃぶをつけたが、これが抜群に美味い。またここの冷や奴は塩で食べるとのこと。何かのこだわりがあるようである。この豆腐も美味い。全体的に味付けが外食にありがちのえげつないものでなく、やさしめの味付けであることがありがたい。価格が若干高めに感じなくもないが、今時であることと場所柄を考えるとまあ妥当の範囲か。夕食としては満足度はまずまず高かった。

 食事を終えた頃にはちょうど開場直前。ホール前に大行列が出来ているのでそれに続いて入場する。藤岡人気かマーラー人気かは不明だが、いつもよりはやや観客が多めのように感じられる。とりあえず最近の習慣として、喫茶に直行して魅惑の堕落タイムを送る。人間堕落するのは早く、そこから立ち直るのは極めて困難である。これがストレス多い日常の息抜きになっているのも事実。そう言えば今週は結構ハードモードだった。

例によっての堕落タイムを過ごす

 一息つくと座席の方へ。かなりの大入りである。ほぼ満席なのではなかろうか。今回は16型5管編成というかなり巨大なオケ編成。関西フィルの正規メンバーの人数を考えると、トラでほぼ倍増させている計算になる。藤岡のプレトークによると「金のかかる編成」と言っていたが、おかげで大入りではあるが入場料だけでペイするのはしんどそう。

 

 

関西フィルハーモニー管弦楽団 第357回定期演奏会

暗いせいで写真がぶれてしまったが、大編成であることは分かるだろう

指揮:藤岡幸夫(関西フィル総監督・首席指揮者)
管弦楽:関西フィルハーモニー管弦楽団

マーラー:交響曲 第6番 イ短調 「悲劇的」

 プレトークで藤岡が「この曲は悲劇的とあるが、実はこの曲が書かれたのはマーラーが幸福の絶頂と言ってもよい時期であり、実際にこの曲は4楽章の途中ぐらいまでは幸福な曲である」と語っていたのであるが、その通りに藤岡の演奏はかなり陽性な性質が強いものである。

 もっともそのためもあってオケの統率自体はやや弱く、いわゆる緊張感やキレのない演奏になった感がある。藤岡は強弱のメリハリをつけることに留意していたように感じられたが、それに対してオケが100%反応したとは言い難い部分がある。増量関西フィルは残念ながら寄せ集め感があり、弦楽陣などにいつものしっとりねっとりの関フィルサウンドは聞かれない。アンサンブルが乱れるまではいっていないが、いささか細部の解像度が低めに感じられてしまう。

 なお藤岡はこの曲を基本的に幸福な曲と言っていたが、私はむしろ狂気と正気が入り混じった乱痴気騒ぎと考えている。だからどんちゃん騒ぎの中に張り詰めるものが欲しい。ちなみに2019のノット・スイスロマンドの来日公演のプログラムが図らずしもマーラーの6番だったのだが、その時の演奏はとにかくパワーあふれてオケが一丸となって驀進する演奏だったのを覚えている。その「オケが一丸となって」という部分が今日の関西フィルにはいささか薄い。

 第二楽章は穏やかで美しい音楽であり、関西フィルはこういう曲調の方が基本的に得意である。ただ私としてはもう少し切なさが欲しいところ。第三楽章も序盤の悪魔的な雰囲気と後半の穏やかな部分の対比と緊張感が欲しい。

 最終楽章はあの運命のハンマーが振り下ろされる劇的音楽。藤岡はこの楽章の中盤以降はマーラーが正気を失ったのではと言っているが、私はこの曲は最初からマーラーの正気が怪しいという解釈である。藤岡は結構煽って盛り上げる演奏をしていたが、いささか演奏自体が雑に聞こえてしまった感もあり。

 以上、なんだかんだと言ったが、別に悪い演奏だったというわけではない。基本的に私の解釈と異なるということと、関西フィルの限界が見えたという感を受けた次第。どうしてもトラで大幅増量したら、いつものメンツと同じ音が出ないのは仕方のないところ。

 

 

 コンサートを終えると宿泊ホテルに移動。明日はMETのライブビューイングに行く予定なので、今日は新今宮宿泊である。宿泊ホテルは毎度のホテルみかど。ホテルに入る前にファミマに立ち寄るが、例によってインバウンドの外国人が多数でレジも外国人という状況。こういう状況を「怖い」と外人排斥を訴える差別主義政党を支持している奴もいるようだが、外国人を排除したら次は「社会の役に立っていない」と高齢者や障碍者に難病患者などを強制的に処分するという展開が見えている。差別主義というのは基本的には他者恐怖と属性によって他者を虐げて安易に優越感を得たいという考えなのでエンドレスである。排除する対象がなくなったら、そのうちに「関西人は関西弁などという野蛮な言語を使用していて、怖くて不快」とか言い出すのがオチ。

ホテルみかどに到着

 ホテルみかどにチェックイン。部屋はいつもの別館シングルである。機能的でシンプルな部屋。まずは毎度のトコジラミチェック及び虫よけスプレー散布を行ってから、デスクに仕事環境を構築して原稿執筆作業。

いつものように仕事環境構築

 そのうちに夜の男性入浴時間が来るので大浴場に入浴に行く。この暑さで汗かきまくりなので風呂が気持ちよい。

 入浴してから部屋に戻るとしばし執筆作業。日付が変わるころには就寝する。

 

 

この遠征の翌日の記事

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