翌日はホテルで朝食を済ませると朝から名古屋に移動。金山駅前の金山ホテルに荷物を預けると、まずは美術館巡りに繰り出すことにする。
「ピカソ、天才の秘密」愛知県美術館で3/21まで
ピカソの最初期の作品からキュビズムを確立した晩期の作品までを概観する。
興味深いのは天才少年と言われた頃のデッサンなどが展示されていること。それらを見るとピカソが幼少期から卓越したデッサン力を有していることが覗える。この辺りがよくある自分の能力不足を誤魔化すために現代アートに走る輩との根本的な違いである。
既存の絵画教育に興味を感じなかった彼は、自らの絵画を模索してその最初の時期がいわゆる「青の時代」であるが、この時代の作品は彼自身が後に語っているように陰々滅々とした題材が多く、今風に言えば「中二病全開」とでも言うべき作品のように思われる。
その後は色彩が炸裂する時代を経て、ピカソを象徴するキュビズムの世界に突入するのだが、彼の作品は滅茶苦茶のように見えて実はよく見ていると複雑な画題が浮かんで見えてくるということが分かるが、これは彼自身が卓越したデッサン力を有していることと無関係ではあるまい。
展覧会の鑑賞を終えると次の目的地である松坂屋を目指してプラプラと移動する。もうそろそろ昼時なので途中に立ち寄ったラシック8階の飲食店街の中にある「まるは食堂」で「牡蠣フライ定食(1540円)」を頂く。まあ可もなく不可もなくという内容。さすがにいつも松坂屋のレストランばかりではネタが尽きるから、場所と価格で考えると悪くはない。
「愛と青春のアトリエ 洗濯船と蜂の巣」松坂屋美術館で2/23まで
20世紀初頭のパリ。世界中の芸術家がこの都に集まってきたが、その中にはピカソ、モディリアーニなどがおり、彼らはおんぼろ長屋の「洗濯船」や集合アトリエの「蜂の巣」などに寄り集まった。これらの拠点に脚光を当て、若き日の巨匠達の姿をあぶり出す。
共にかなりぼろい建物で、構造上に問題があるから居住性は最悪だったようだ。そのような環境の中で、後の巨匠達が自らの芸術確立のために研鑽を重ねていたというのはどことなく心打たれるものがある。なお展示作品は先のピカソ、モディリアーニに始まり、シャガール、ローランサン、藤田嗣治、ヴラマンク、キスリングなど出自も様々だが、蒼々たるメンバーの作品が揃っている。そういう点では結構見応えのある展覧会だ。
松坂屋でお茶をする
この後はライブに繰り出す予定だが、まだ開演まで時間があるし、展覧会入場の際に向かいの喫茶「松栄堂」の5%割引券をもらったことから、ちょっと立ち寄ってお茶をしていくことにする。「ババロアのセット」を頂く。
ババロアとプリンの区別というのが今ひとつ曖昧なのだが、牛乳、砂糖、玉子などの材料をゼラチンなどで固めたのがババロアで、蒸して玉子の凝固力で固めたのがプリンなのだそうな。と言うことは、市販のいわゆる「プリンの素」は厳密な意味では「ババロアの素」になるのか。なおここのババロアはもっちりとした感触で、これはなかなかに私好み。甘物を頂いてから飲むコーヒーが格別。
ちなみに私は以前は全くコーヒーを飲まなかったのだが、つい最近になって急に飲むようになった。どうも私の嗜好が急に変わったようである。私も大人になったのか?
今日のライブはしらかわホールで開催される。松坂屋からは徒歩圏内なので食後の腹ごなしも兼ねてプラプラと散策する。
第145回定期演奏会 ~春曙抄~
指揮/角田鋼亮
ソプラノ/伊藤晴
セントラル愛知交響楽団
シベリウス:レンミンカイネンと島の乙女たち
モーツァルト:コンサート・アリア “誰がわが恋人の苦しみを知ろう”K.582
“私は行く、しかしどこへ!”K.583
モーツァルト:オペラ『コジ・ファン・トゥッテ』より“岩のように動かずに”K.588
山田耕筰:交響曲「かちどきと平和」
伊藤のソプラノは声量もあり、いわゆるキンキン声タイプのソプラノではないので非常に心地よい。なおなおに聞き応えのあるものであった。
メインの「かちどきと平和」はいかにも日本的な旋律を散りばめた山田耕筰らしい曲と言えるが、所詮はヨーロッパ留学で得た知識による習作で形式はかなり古くさいところがあるし、曲としては特別な面白味は少ないという印象であった。
セントラル愛知交響楽団については上手いオケという印象は受けなかったが、さりとて下手なオケというわけでもないように思われた。シビアな部分になるとアンサンブルにやや乱れが見られるが、常に音色が濁るというようなわけではなかった。
ライブを終えると今日の最後の予定として最寄りの美術館に立ち寄ることにする。
「ポジション2016 アートとクラフトの蜜月」名古屋市美術館で2/21まで
地元ゆかりの作家の作品を展示。今回はアートとクラフトを融合させるというのをテーマにしている。
出展作家は7名だが、各人各様というところ。個人的には比較的面白いと観じたのは、クリップの鎖を吊した中谷ゆう子と針金細工で影絵をしている水谷一子。
夕食は名古屋名物
これで今日の予定は終了。夕食を摂ってからホテルに戻ることにする。さて夕食を何にするかだが、やはり名古屋に宿泊したからには一食はひつまぶしを食べておく必要があろう。というわけで伏見から地下鉄で浄心に移動、久しぶりに「しら河」に立ち寄ることにする。ジョジョジョジョーシン・・・と浄心のテーマソングを口ずさみながらの移動である。
しら河は夜の部が始まった直後で、幸いにして待ち時間なしで入店できる。「上ひつまぶし」と「うまき」を注文する。柔らかくて香ばしいうなぎがうまい。名古屋のひつまぶしもあちこちで食べたが、やはり私の好みから行くと、このしら河のひつまぶしが最高峰である。
ウナギを十分に堪能するとホテルまで戻ってくる。このホテルは大浴場装備であるので、早速大浴場に繰り出して汗を流す。極楽、極楽。