徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

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白鷺館アニメ棟

東京に飛んでチョン・ミョンフン指揮の東京フィルのコンサートを聴く

東京にコンサートツアーへ繰り出す

 この週末は東京に飛ぶことにした。東京は先月遠征したばかりだが、実はこの週末の東京遠征の方が先に決まっており、先月の東京遠征はシカゴ響の演奏会の決定で急遽予定が組まれたというのが真相だったりする。

 今回の東京遠征の目的は都響のライブ。都響のライブは以前に大阪公演を聴いただけだが、さすがに都響は上手いということを感じたので是非とももう一度ライブに行きたいと考えた次第。それが先月の急遽の東京遠征の際に都響のライブを日程に組み込んだので、今回の遠征は最初から趣旨が曖昧になってしまっている。そこで都響のライブだけでなく、他のライブも組み込んで三連チャンということにした。

 なお今回の移動には飛行機を使用した。これはANAのマイルが貯まっていたことと、スカイマークの方が新幹線よりも安いという理由から。とにかく今年になってから私の財政状態は危機的であり、少しでも経費は削減したいところである。

 金曜日は午前中に仕事を終えると神戸空港まで車で移動する。神戸空港は赤字垂れ流しだというのに駐車場は一杯で驚く。もし空港まで来て駐車場が空いていなかったら難儀なところだった。

 空港で遅めの昼食を摂るとスカイマークの羽田便に乗り込む。機内は満員の上に大量の手荷物を持ち込んでいる客が多いので、荷物の収納に手間取って出発が遅れる。スカイマークの客層は相変わらずのようだ。

 結局は羽田への到着は30分ほど遅れることになる。途中で気流の乱れでかなり揺れたのであまり気分が良くない。しかしそんなことにかまってもいられない。京急と地下鉄を乗り継いでサントリーホールへと急ぐ。

 六本木一丁目の杵屋で夕食にカツ丼を食ってからホールに駆けつけたのはちょうど開館時刻の6時半。場内はかなり入っている。

 

東京フィルハーモニー交響楽団第874回定期演奏会 

指揮チョン・ミョンフン
ピアノ:小林愛実
東京フィルハーモニー交響楽団

モーツァルト: ピアノ協奏曲第23番 イ長調  K488 
マーラー: 交響曲第5番 嬰ハ短調 

 予定ではチョン・ミョンフンの弾き振りのはずだったが、指の故障とのことで急遽ピアニストが小林愛美に変更になったらしい。小林の演奏だが、やけにネットリとした演奏という印象だ。モーツァルトのピアノ協奏曲23番は特に2楽章がやや哀愁を帯びたメロディなのだが、それを徹底的に謡わせてくる。やや表情過多とも感じられるような濃厚な演奏。ただバックのオケは結構淡々とした演奏なので、必ずしもかみ合っているとも言い難いところがあった。個人的にはモーツァルトのピアノ協奏曲はもっと透明感のある軽やかな音色の方が好みである。なお小林の特徴が最大限に発揮されたのがアンコールのショパンのノクターン20番。これもやや哀愁を帯びた曲調だが、それをメロメロのメロドラマに仕立てた印象。表現力が豊かとも言えるが、一つ間違うと下品になりかねない。

 マーラーの5番の方は冒頭のトランペットからしびれた。分厚い金管の響きの上に安定した弦を重ねたドッシリとした演奏。またチョン・ミョンフンの指揮も決して煽らずにじっくりと緊張感を持って曲を進めていく。またピアニッシモが非常に聴かせる演奏になっており、静寂感を巧みに使用した非常にダイナミックレンジの広い演奏。東京フィルの演奏も非常に安定した立派なものであり、最後まで緊張感が途切れることなく持続した。演出過剰になることがなく、むしろ抑え気味の演奏であるのだが、密度の濃さと張りつめた緊張感によって感動的な快演となっていた。

 

 かなりの名演であり、会場内もスタンディングが多数現れるぐらいの盛り上がりであった。私はサントリーホールでのこれだけの盛り上がりは初めて見たが、今まで東京フィルについては「可もなく不可もなく、しかし個性もなく」という印象を持っていたので、東京フィルがこれだけのレベルの演奏を行えることにも驚いた。

 

 ライブを終えると東京での定宿であるホテルNEO東京に移動する。大浴場で入浴すると、明日に備えて就寝することにする。