六角堂に立ち寄る
翌朝は8時頃までたっぷり寝てからホテルのレストランでおばんさいバイキング。野菜系の多い健康的な朝食である。朝食後にシャワーを浴びたりしてからチェックアウトしたのは10時前。
今日は京都の美術館に立ち寄ってから名古屋に移動する予定。まずは京都市文化博物館を目指すが、その途中で六角堂の近くを通ったのでちょっと寄り道。
京都はこの手の名所旧跡があちこちに隠れているから侮れない町である。六角堂を一渡り見学すると文化博物館へ。
「ダリ版画展」京都文化博物館で9/4まで
シュルレアリスムの画家・ダリの版画作品を集めた展覧会。出展作はダンテの神曲など。
ダリお得意の多重イメージや奇妙な造形などが炸裂しているのは相変わらずだが、版画作品だけに彼の自在な描線がよく現れているのが面白い。ダリはデッサン力でも定評があるらしいが、その片鱗が覗えるのだという(残念ながら絵画に対する才能が皆無な私にはその辺りはよく分からないが)。
印象としては油絵作品などよりも気軽に自由に描いているなというところで、その分よりダリらしさが出ているのかも知れない。とにかく彼の不思議ワールドが炸裂していた。
文化博物館の見学を終えると地下鉄で京都駅に戻る。次の美術館はここの醜悪な駅ビル内。
「世界の巨匠たちが子どもだったころ」美術館「えき」KYOTOで9/11まで
巨匠と呼ばれる画家たちの10代での作品を集めた展覧会。もっとも10代前半だと確かに「子ども」なのではあるが、20歳の作品まであるのでそこまでいくともう既に修行時の作品となるのでニュアンスは少々変わる。
とにかく様々である。10代前半のまだ我流で描いている時代から既に傑出した才能を見せている画家もいる一方、同じ頃には全く普通の子どもの絵のレベルだった画家もいたりで、天才は常に早熟というわけではないことが覗えて面白い。
20歳ぐらいの作品となると、さすがにもう後の画風の片鱗が現れている画家が多いが、むしろこの頃の方が感性が瑞々しく、実はその後は退化してしまったのではないかと思える画家もいるのが少々悲しかったりもする。
昼食を摂ると名古屋に移動する
これで京都の予定は終了。昼食を摂ってから名古屋に移動することにする。昼食のために入ったのはこのビルのレストラン街の「牛たん伊之助」。牛タン焼きの定食を頂く。それにしてもわざわざ京都で牛タンを食べてしまう己の工夫のなさにも・・・。
昼食を終えると新幹線で名古屋入りする。京都から名古屋まではあっという間。Nexus7でゴルゴをパラパラと斜め読みしていたら、気がついたら名古屋に到着していて驚いた。うーん、これは織田信長が容易に上洛できたわけである。織田信長が天下を平定した理由として、京都が近かったということも要因の一つとして上げられている。京都が近かったが故に中央に影響を及ぼしやすいし、中央の動向の情報も直ちに入手できたということだ。もっとも中央に近いという点では、三好氏などはもろに京都や大阪辺りを支配下に置いていたのだが、彼らの場合は中央に近すぎたが故に常に中央での権力を巡るイザコザの渦中にいて、結局はそれで勢力を自ら削いでしまったところがある。要はつかず離れずで適度な距離があるということであろう。
思いっきり話がそれてしまった。話を元に戻すと、名古屋に到着したのは13時過ぎ。重たいキャリーをゴロゴロ引いての移動も難儀なので、とりあえず今日の宿泊ホテルに立ち寄って荷物を預けておくことにする。
荷物を預けて身軽になると、立ち寄ったのは松坂屋。ここで開催中の藤子F不二雄展を見学しておいてやろうという考え。
「藤子F不二雄展」松坂屋美術館で9/4まで
ドラえもんやパーマンなどで有名な藤子F不二雄氏の作品などを振り返る展覧会。初期の貴重な原稿なども展示されている。
とにかく昭和を代表する大漫画家だけに、会場中に漂うのが何とも懐かしい昭和の匂い。それでいていつの時代の子どもにも通用するセンスを持っているのはさすが。お子様向けの企画と思いつつも、リアルに子ども時代に楽しんだことのある世代にも直接的に訴えかけてくるようなインパクトがある。
なんとも懐かしいというか、古き良き時代の空気の漂う展覧会だった。昭和に郷愁を感じるようになっている私も既にジジイだ。
喫茶で一息ついてからホールへ
今日はこの後、フォレストホールで開催される名古屋フィルのコンサートを聴きに行く予定である。開演時刻は16時。まだ余裕があるので喫茶「松栄堂」で「黒蜜ババロア」を頂いてマッタリとする。ババロアのもっちりした食感が心地よい。ちなみにババロアとプリンの区別というのはわかりにくいが、ゼラチンで固めるのがババロア、卵の作用で固めるのがプリンということらしい。だからババロアを固めるには冷やすが、プリンを固めるには蒸すということになる。その結果として、食感はババロアの方がプリンよりもしっかりしたものになるというわけだ。
喫茶でマッタリとしている間に開場時刻が近づいてきたのでホールに移動することにする。階下に降りたら一階でオルガン演奏会をしている。松坂屋は百貨店には珍しいパイプオルガンを装備していて、定期的に演奏会を開催しているらしい。この松坂屋は、百貨店が単なる小売店ではなく文化の発信地を自負していた時代の矜持を未だに保っていることを感じるが(常設の美術館を持っている点などがまさにそうだ)、今の拝金主義の世の中でそれがいつまで続くか。美術館やパイプオルガンなど守銭奴経営戦略から見れば無駄で余計なコストである。いずれは切り捨てられる時代がくるような気がして悲しい。文化なんてものは無駄と道楽の集大成のようなものであるのだから。
フォレストホールは金山駅から地下通路で接続している。4階席まである古いタイプの大ホール。音響的には特別に悪くはないのだが、私の2階席には音が飛んで来にくい感がある。
名古屋フィルハーモニー管弦楽団 第54回市民会館名曲シリーズ
〈あなたが決めるプログラム スペシャル・リクエスト・コンサート〉
川瀬賢太郎(指揮/名フィル指揮者)
円光寺雅彦(指揮/名フィル正指揮者)
小山実稚恵(ピアノ)*
ワーグナー: 歌劇『タンホイザー』序曲 …川瀬
ベートーヴェン: ピアノ協奏曲第5番変ホ長調 作品73『皇帝』* …川瀬
ドヴォルザーク: 交響曲第9番ホ短調 作品95, B.178『新世界より』…円光寺
曲目をリクエストで決めたようだが、やっぱりなというような定番曲が並んだ。
一曲目のワーグナーは少々演奏がグダグダしたところが見られた。特に管のバランスに難が見られた。川瀬の意図するところにオケが100%は応え切れていなかったような印象を受けた。
皇帝については曲調が曲調だけに小山のやや硬質な音色も気になりにくい。さすがに余裕のある演奏という印象。川瀬率いるオケも絶妙の伴奏になっていた。
指揮者を円光寺に換えての新世界だが、円光寺の指揮はいろいろと細かい仕掛けをしてくるのだが、それに完全に追従していたオケが見事。川瀬の場合とはオケの掌握度合いがやや異なるような印象を受けた。結構好き嫌いが分かれそうなクセのある演奏だが、これはこれでまずまずだったように思われる。
会場内はやんやの盛り上がりで、アンコールはモーツァルトのフィガロの結婚。なかなか楽しいお祭り的コンサートだった。なお演奏前の川瀬による場内アナウンスが一番受けていたような・・・。
味噌煮込みうどんを夕食に摂ってからホテルへ
もう18時を回っているので、ホテルに戻る前に夕食を摂りたい。名鉄で名古屋に戻ると、名鉄百貨店のレストラン街をプラプラ。ひつまぶしを食べたいところだったのだが、ウナギ屋は長蛇の列で1時間待ち。とてもそんなに待っていられないので、隣の「山本屋総本家」で味噌煮込みうどんを食べることに。よくよく考えるといつもこのパターン。あのウナギ屋は毎回のように長蛇の列があるため今まで入店したことがない。そんなに有名店なんだろうか。
いつものようにガッツリとしっかりしたうどんを頂くと、ホテルの送迎バスでホテルに戻る。今回宿泊するのは以前に一度だけ利用したことがある名古屋ビーズホテル。大浴場があるのが売りだが、それ以外の特徴としてジムがあるという珍しいホテルだ。前回の宿泊時は生憎とジムが改装中で利用できなかったのだが、今回はここで軽く汗を流すことに。実はこのためにトレーニングウェアを持参している。ランニングマシンで軽く30分ほど走り込む。
しっかり汗をかくとトレーニングウェアとここまでの着替えを洗濯機に放り込んでから大浴場で入浴。これは実に快適。運動不足になりがちのビジネスマンに最適のホテルだ。
入浴後はマッサージチェアなどでしばしマッタリし、洗濯物を回収してから部屋に戻る。