徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

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アニメ関係の記事は新設した「白鷺館アニメ棟」に移行します。

白鷺館アニメ棟

ヒグチユウコ展&ロイヤルオペラシネマ グノー「ファウスト」

 翌朝は7時半頃に目が覚めた。疲労が溜まっているのかとにかく体が重い。とりあえずガサゴソと起き出すと9時前に朝食のために外出する。立ち寄ったのは「千成屋珈琲」「ナポリタン」「ミックスジュース」を注文。

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ミックスジュース発祥の店

 ナポリタンは以前は卵焼きを敷いていたのだが、仕様が変わったようで目玉焼きがのっている。これはこれで良いが、こうすると今度は麺が焦げやすくなるという問題が出る。一長一短と言うところか。

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仕様変更になったナポリタン

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名物ミックスジュース

 朝食を終えるとそのまま外出することにする。今日立ち寄るのは神戸ゆかりの美術館。ここで開催中のヒグチユウコ展を見に行こうというもの。

 美術館に到着した時には10時過ぎ頃。美術館の手前で驚く。大行列が出来ている。とてもではないがこんなものに並ぶ気はしない。しかし聞いてみると、これはミュージアムショップの行列で、展覧会の方は問題なく入場できるとのこと。最近はミュージアムショップで稼ぐ展覧会が多いが、ここまで極端なのは初めて見た。

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ミュージアムショップはこの大行列

 

「ヒグチユウコ展 CIRCUS」神戸ゆかりの美術館で9/1まで

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 高精細に描いた猫の絵などが多いので、グッズに行列ができるのは納得できた。ただ彼女の作品が一筋縄でいかないのは、単に可愛いのではなくてそこにグロテスクさも含んでいること。バベルの塔などのオマージュと考えられる作品もあったが、確かにあのセンスはヒエロニムス・ボスなどの作品に通じるセンスがある。この妙なグロテスクさのおかげで心に刺さるというか印象が強いのである。例えば頭が猫で腕が蛇で足がタコなんてキャラクターも登場するが、これなど言葉で書くとどんなモンスターだという感じなのだが、実際の絵で見ると普通に可愛く見えてしまうというのが驚き。キモカワイイとでも言うべきか、独特のセンスがあるのである。

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独特のセンスのキャラクター

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可愛いのか気持ち悪いのか

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どうにも表現に困る

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奇妙奇天烈でもある

 今日は西宮TOHOシネマズにロイヤルオペラの「ファウスト」を見に行くつもりだが、その上映開始は13時20分から。まだ時間があるが、かと言ってどこかに立ち寄るには十分な時間とも言えない上に、立ち寄るべき場所のあてもない。そこで映画館のある西宮ガーデンズに直行することにする。

 

西宮ガーデンズで昼食

 12時頃に西宮ガーデンズに到着したので、ここのレストランで昼食を摂ろうと考えるが、どこの店も大行列である。気分的に和食なので「さち福や」に入店することにしたが、入店するまでに30分以上待たされ、さらに料理を注文してから20分ほど待たされという状況で、ほっけを10分ほどで掻き込まないといけない羽目になった。慌てて昼食を済ませると映画館に急いで移動、もう既に入場が開始されていた。毎度のことながら、ここのレストランはなぜこんなに混むんだ?

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かなり混雑していた

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急いで食べたら骨が刺さりそうになったほっけ定食

ロイヤルオペラシネマシーズン グノー「ファウスト」

【演出】デイビット・マクヴィカー 
【音楽】シャルル・グノー
【指揮】ダン・エッティンガー
【出演】マイケル・ファビアーノ(ファウスト)
    アーウィン・シュロット(メフィストフェレス)
    イリーナ・ルング(マルグリート)
    ステファン・デグー(ヴァランティン)

 宗教的意味を諸々含んでいる作品なんだろうと思うが、私には「今まで真面目に生きてきた人間が突然に享楽的に生きようと考えても、心底からの外道にはなかなかなれません」という話に見えてしまった。結局はファウスト博士は享楽的な人生と言うよりも、実は愛を求めていたのだろう。老人の人生への悔恨が見える悲しい作品でもある。

 主演のファビアーノの歌唱もなかなかの安定感だったが、この作品の狂言回しでもあるメフィストフェレスのシュロットがいかにも怪物的な存在感で完全に舞台を手中に収めていたという印象。またマルグリートのルングはいかにも可憐な印象の歌唱で、キャラクターのイメージにピッタリときていた。また要所要所でスペクタクル的に盛り上げるグノーの音楽と完全に一致していた舞台演出が上手い。


 正直なところ身につまされるところが諸々あってツラい話だった。私自身も青春時代、特に恋愛関係には取り返しのつかない悔いが残っているので、メフィストフェレスに誘いをかけられたら魂を売り渡してしまうかもしれない。私に比べればファウスト博士は学問的には成功したようなのでまだマシである。私なんかこのまま何も残らずにこの世を去ることはもう確定している。正直、このクソゲーのような人生をリセットしたいと思ったことは一度や二度ではない。一体、何の罰ゲーム人生だとまで思ったこともある。もっともこの環境で人生をやり直すだけだと同じルートになる可能性が高いので、やり直すならもっと有利な条件でやり直したい。例えば親が金持ちだったら、それだけでキャラメイクの時点で特殊装備で身を固めたチートキャラになれるのである。日本という国はどこで生まれるかでかなり人生が決まってしまう国であり、それをひっくり返すにはよほどの「運」が必要である。なおここで必要なのは「運」というのがポイントで、ここに「努力」が来る国は不公平ではあるがまだ希望はある国と言えよう。かつての日本はまだそれがあったが、今の日本にはそれもないということ。この国では「努力」でひっくり返すことが出来ないように、二世・三世の馬鹿ボン政治家共が自分達の保身のためのあらゆる手を既に打ってきたのだから。

 

新世界で串カツを夕食に

 映画を終えると新今宮に戻ってくる。夕食をどうするかだが、久しぶりに「だるま」に立ち寄ることにした。串カツを野菜系を中心にいつもよりはやや少なめに注文したのだが、それでもどうしても胃がもたれる。どうも最近は心身共に調子があまり良くないようだ。おとなしくそばでも食っている方が良かったか。

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この親父、実は時々目が光る

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野菜中心の串カツ

 ホテルに戻るとまずは入浴して汗を流し、その後は持参したBDプレイヤーをテレビにつないで「コズミックフロントNEXT」を観賞。そうこうしているうちに夜も遅くなってきたのでさっさと眠ってしまう。