芸術の秋などと言うが、この11月はコンサートラッシュである。この週末はその一環でオペラとウィーンフィルという財布にとって極めて過酷な遠征へと繰り出すことと相成った。とにかくおかげで私の財政状態は完全破綻。既に財布は餓死寸前となっているのだが、この際はひとまずそういうことからは現実逃避である。
土曜日の午前中に家を出ると大阪には昼過ぎに到着する。今日のオペラはフェスティバルホールで15時からなのでまだ余裕がある。とりあえずいつもの定宿・ホテルサンプラザ2ANNEXにチェックインすると、しばしの休息の後に昼食のために出かけることにする。
昼食はじゃんじゃん横町で寿司を頂く
やはり昼食となると新世界か。じゃんじゃん横町に立ち寄ると「大興寿司」に入店する。マグロから始まって、トリ貝、ヒラメ、シマアジ、ハマチ、カンパチ、タイと7皿ほどつまむ。これで支払いは2000円以下。さすがにCP最強である。
昼食を終えると地下鉄でホールへ。到着時にはホールは開場直前の時。例によって全員指定席券を所持しているにもかかわらず、ゲート前で開場時間前から整然と行列して待つ日本人気質である。
私の席はC席なので3階。貧民席ではないが選民席でもないという長途半端な平民席である。相変わらずここの3階席は高所恐怖症の者にとってはツラい。目が眩みそうになる。客の入りは上から見たところ8割ぐらいか。
例によってオペラはオケとは客層の違いを感じる。私の回りでもパスポートがどうとかの話をしている有閑マダムが。幸いにして今回はダウニーオバサンや香水マダムは近くにいなかったようだ。
トリエステ・ヴェルディ歌劇場「椿姫」
指揮:ファブリツィオ・マリア・カルミナーティ
演出:ジュリオ・チャバッティ
ヴィオレッタ:マリナ・レベカ
アルフレード:ラモン・ヴァルガス
ジェルモン:アルベルト・ガザーレ
管弦楽:トリエステ・ヴェルディ歌劇場管弦楽団
合唱:トリエステ・ヴェルディ歌劇場合唱団
イタリアのトリエステの歌劇場であるとのことだが、舞台装置はシンプルであり、演出も極めてオーソドックスである。そういう意味では無難な公演であると言える。
序盤はやや独唱陣に弱さを感じる。オケが容赦なくブンチャカ鳴らすので、それが独唱をかき消してしまう場面も見られた。乾杯の歌などもっと豪快に行っても良いのにという印象。特にアルフレードのヴァルガスのやや線の細さが気になったところ。
このようなアンバランスさは進むにつれて解消していった。怒濤の第二幕二場を受けてからの第三幕は、かなり劇的なクライマックスとなった。ヴィオレッタのレベカの鬼気迫る演技がなかなかに涙を誘う。やや線の細めのアルフレードもこういうシーンにはシックリとくる。ジェルモンのガザーレが良いアクセントになっている。
最終的には場内は結構盛り上がっていた。まずまずの公演と言って問題ないだろう。
新世界で久しぶりのグリル梵でビフカツを夕食に
オペラを終えると新今宮に戻る。ホテルに戻る前に新世界で夕食を摂ることにするが、何を食べようと考えた時に頭に浮かんだのがビフカツ。久しぶりに「グリル梵」に立ち寄って「ヒレビフカツ」を頂くことにする。
今流行のレアカツでなく、シッカリとミディアムの火の通り具合。これが正しい関西のビフカツである。相変わらず満足度は高い。
夕食を堪能するとホテルに戻って休息。やはり外を出歩くとそれだけで疲労が溜まる。もう年なんだろうか。ここのところ目に見えて体力が低下しているのを感じる。しばらくベッドで横になって休んで、ようやく体が動くようになったところで大浴場へ入浴に行く。とにかくこういう時には風呂で体を温めておくに限る。
結局この日は、10時前ぐらいに疲れて眠り込んでしまう。