翌朝は7時頃ぐらいから周囲の部屋がドタバタと喧しくなり始めたので8時前には目が覚める。それにしても喧しかった(子供かそれとも知能が子供レベルの大人かが定かでないが、廊下を走り回っていた)が、まあこの辺りは良くある安宿リスクとして許容しないといけない部分。このホテルでは対応策としてフロントで耳栓を配布している。なお静かで落ち着く環境というのを望むなら、1万円以上を出して梅田周辺の高級ホテルにでも泊まるしかない。
目覚めると録画していた「健康カプセル」をサーバに接続してチェック、ザザッと「教ドキュ」用の原稿をしたためた後、朝食に出かけることにする。
新世界の喫茶店でモーニングを頂く
最近は朝食の度にこの周辺の喫茶店を探すのが日常化しているが、実際にこの界隈には安価にモーニングを提供する喫茶店が非常に多い。今日も朝の新世界をプラプラしながら入店したのは「喫茶タマイチ」。昭和レトロの雰囲気が強い喫茶店である。モーニングはトーストのAセットからスクランブルエッグなどまで付いたDセットまであるが、私はホットドックのCセットを注文する。
カレー味のホットドックがなかなかに美味い。また珈琲の味も私好み(ということは本格的ではないと言うことだろうか?)。これで1コイン以下(480円)なんだから値打ちもの。
今日はウィーンフィルの公演が15時からフェスティバルホールである。で、それまでの予定は皆無。11月になってから毎週末ごとに大阪に宿泊している状態なので、この周辺の美術館の類いは行き尽くしている(笑)。仕方ないので部屋でボンヤリと過ごすことにする。
昼食は近くのラーメン屋で
昼食は遠くまで出歩く気にもならないので、ホテル向かいの「天龍ラーメン」に行く。ラーメンと炒飯と餃子がセットになった「天龍セット(1100円)」を注文。特に可もなく不可もなくという内容だが、さすがにこの界隈らしくCPは良い。
店内でテレビを見ていたら田代まさし逮捕の件を放送していたが、つくづく薬とは恐ろしいというのを彼を見ていたら感じる。売れっ子から一気に転落して、薬の怖さは身をもって知っているはずなのにそれでも止められない。一旦薬を使用すると、脳が薬に依存するように作り替えられてしまうので、最早本人の意思ではどうにもならないと言うが、彼を見ているとまさにそうなんだなと感じられる。たばこなども同様の効果があるが、重度の依存症に陥っていなければ意思で止めることが出来るというのは、中毒性が薬物よりは軽いと言うことではある。彼のような薬物依存患者の治療法は今のところなく、薬物使用を繰り返しているうちに段々と脳機能が低下して行き着く先は廃人となってしまうのであるが、そうなる前に脳の機能を元に戻すアンチ薬物治療のようなものが開発されることを願うところ。
それにしても芸能界の薬物汚染のひどさは目に余る。昔から芸能界は裏社会との結びつきもある業界なので、その関係なんだろうか。この辺りは根本的にメスを入れる必要があるだろう。
1時過ぎになったところで出かけることにする。ホールまでは地下鉄ですぐである。ホール前には昨日以上の大行列。開場時刻になってもまだリハーサルが続いているようで、しばし一階席ロビーに客は足止め状態になったのだが、おかげでロビーに観客があふれかえる状態に。
私の席は昨日に続いて3階席。さすがにウィーンフィルのS席なんか買えるだけの財力がないので、3階最後列のD席である。これはいわゆる貧民席。といっても2万円近くしてしまうというのがウィーンフィルのウィーンフィルたる所以だが。
第57回大阪国際フェスティバル2019 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
指揮/クリスティアン・ティーレマン
管弦楽/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
リヒャルト・シュトラウス:交響詩『ドン・フアン』作品20
:『ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら』作品28
ヨハン・シュトラウスⅡ世:オペレッタ『ジプシー男爵』序曲
ヨーゼフ・シュトラウス:ワルツ『神秘な魅力(ディナミーデン)』作品173
リヒャルト・シュトラウス:オペラ『ばらの騎士』作品59 組曲
一曲目の「ドン・ファン」はオケがブンチャカ鳴る曲なので、今ひとつウィーンフィルらしさというものが明瞭には出ない。とは言うものの、全楽器が斉奏しても決して喧しくなることはなくむしろ響きがゴージャスになるというのはウィーンフィルのウィーンフィルらしいところではあるが。
二曲目の「ティル・オイレンシュピーゲル」の方がよりウィーンフィルらしい演奏。この曲は良く聴いているとところどころワルツ的な旋律があり、そういうところになるとウィーンフィルのネットリシットリした弦が特徴を発揮する。また分厚いホルンの響きなんかもウィーンフィルらしいところ。
ウィーンフィルが本領発揮するのは休憩後の「ジプシー男爵」とワルツ「神秘な魅力」。弦を中心にうっとりするようなウィーンフィルサウンドでその心地よさに酔いしれている間に曲が終わってしまったという印象。いかにも「ウィーンフィルを聴いた」と思わせる演奏であった。正直なところ陶酔しすぎて我を忘れそうになったぐらい。
驚いたのは最後の「ばらの騎士」もそのままの調子で突入したこと。こうしてウィーンフィルのネットリシットリした演奏で聞くと、この曲の中に潜むワルツ的な節回しなどが表面に浮かび上がってきて、ブンチャカ喧しい印象のあるリヒャルト・シュトラウスが、全く別の曲に聞こえてくるから不思議。リヒャルトがヨハンに変わった印象だ。驚きつつもその美しさに圧倒されている内に曲が終了してしまった。正直なところ、もっと聞きたいと思わせる演奏。
アンコールはエドゥアルト・シュトラウス1世のポルカ・シュネル「速達郵便で」とのことであるが、これが軽妙かつ華麗な演奏で実に見事。最後まで終始一貫「ウィーンフィルを聴いた」と満足させる演奏であった。場内も大盛り上がりで、拍手は鳴り止まずティーレマンの一般参賀あり。ただしよくよく考えてみると、ウィーンフィルのカラーが濃厚すぎて、むしろティーレマンのカラーがどこにあるのかがつかみかねるところがあった。
コンサートを終えると新今宮に戻ってくるが、この時点で17時半。夕食を摂るには早すぎるが、一旦ホテルに戻ると体調が良くないだけにもう二度と出る気が起こらなくなる可能性が高い。そこでそれを見越してじゃんじゃん横町の「佐兵衛すし」で寿司の一合折りを持って帰ることにする。結局はこれが今日の夕食となったが、内容的にはまずまずで、これで700円はCPが良い。
結局この日は入浴をするとグッタリしてしまって、明日の仕事に備えて早めに就寝するのであった。
この翌日はホテルから仕事場に直行して仕事を済ませたのだが、とにかく今回の週末は疲労が強かった。本当は奈良の正倉院展にでも行こうかという気もあったのだが、テレビで大行列の様を見るとその気が失せてしまった。おかげでホテルでゴロゴロと過ごすという不抜けた遠征となってしまったのである。もっともコンサートの方はウィーンフィルなど非常に充実したものではあったが。