徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

「ニーノ・カルーソ」展見学後、京都市響のニューイヤーコンサートを聴きに行く

 翌朝は目覚めると8時になっていた。この部屋の難点は窓がない(一応窓はあるのだが、数センチのところに隣のビルの壁があるのでないのと同じ)ので外の明かりで目覚めるということができないこと。朝の時間が決まっている場合には目覚ましは必須である。

 目覚めるとレストランでバイキング朝食。今日のおばんさい朝食というやつである。とりあえず今日の活動に備えてガッツリ燃料補給。

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京のおばんさいバイキング

 さて今日の予定だが、美術館に一か所立ち寄ってから京都市響の新年コンサートに出向く予定。特に出かけるのを急ぐ状況でないので、部屋でしばしこの原稿を入力したり、朝風呂を浴びたりしてくつろぐ。

 昼前にはホテルを出る。今日のスケジュールは京都市響のニューイヤーコンサートだが、その前に美術館に一か所立ち寄りたいので東山に移動。ずっと工事中だった京都市美術館は外観工事は一段落した模様であり、その姿が見えてきていた。再開館も近そうである。

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京都市美術館も改装工事がほぼ終わった模様

 

「記憶と空間の造形 イタリア現代陶芸の巨匠 ニーノ・カルーソ」京都国立近代美術館で2/16まで

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 イタリアの現代陶芸家であるニーノ・カルーソの作品を展示。

 初期の作品は人体を思わせるフォルムの樂焼など、いかにも陶芸家というような作品であったのだが、どうも彼の本領はそこではないようである。だんだんと陶器はあらゆる材料の一つの選択肢という位置づけになってくる。実際に鉄くずなどを加工した作品や、合板で作成した作品なども登場する。

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柱の作品

 彼の一つの転機となったのは、発泡スチロールを発熱カッターで切断し、それを型にして成型した陶器のブロックを使用した作品が登場したあたり。この辺りから造形の自由度がさらに増し、ブロックを積み上げる形で塔や門などの巨大造形に挑み始める。この辺りになると彼の出身地であるイタリアを反映してか、ローマ神殿などを連想させるような造形がメインとなってくる。

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後ろの丸は別人の作品だが、やけにマッチする

 なお所蔵品展のところで、彼以外のイタリア現代陶芸作家の作品も展示されていたが、そちらも彼の作品とどことなく相通じる雰囲気があったことから、この方向が現代イタリア陶芸のトレンドなのかもしれないなどと感じた次第。

 

 所蔵品展のほうも一回りしたが、今回は大作の展示が多い。その中で印象に残ったのは川端龍子の「曲水図」小松均の「雪の最上川」。共に独特の質感表現が興味深いところ。

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曲水図その1

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曲水図その2

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雪の最上川その1

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雪の最上川その2

 

昼食に東山でそばを頂く

 美術展を一回りしたら、コンサートに出向く前に昼食を摂ることにする。と言っても朝食がやや遅めなので腹はあまり減っていない。そこでそばにすることにする。立ち寄ったのは東山の「三味洪庵」。「鴨なんばそば」と「牡蠣の天ぷら」を注文。

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三味洪庵

 そばは美味いがさすがに京都だけあって薄味。そば自体もかなりあっさりと上品な味。個人的にはもっとそばそばしい下品なそばのほうが好みか。なお牡蠣の天ぷらについては残念ながらやはり牡蠣の鮮度がやや劣ることを感じずにはいられない。そもそも内陸の京都で牡蠣を選択したのが間違いか。しかもフライでなくて天ぷらは素材がシビアに出てしまう。

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鴨なんばそばと牡蠣の天ぷら

 昼食を終えると地下鉄でホールへ移動する。ホール内はまずまずの入り。ステージ上に花が飾ってあったりなど新年らしい演出。また今回は女性陣は色とりどりのドレスで登場で華やかである。

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ステージはいつもよりも華やか

 

京都市交響楽団 特別演奏会「ニューイヤーコンサート」

[指揮]クレメンス・シュルト
[ピアノ]岡田 奏

シューマン:歌劇「ゲノヴェーヴァ」op.81から序曲
シューマン:ピアノ協奏曲イ短調 op.54
シューマン:交響曲第3番変ホ長調「ライン」op.97

 シュルトの指揮は、その指揮スタイルからも覗えるようにかなりロマンチックで流麗・・・というか粘っこい。かなりネットリネットリとした指揮である。おかげで相当に甘々のシューマンとなった。

 二曲目はウルトラセブン。岡田のピアノはかなりロマンチック・・・というよりもアクの強いクセのある演奏。テンポの揺らし、過剰な強弱、変拍子とありとあらゆる仕掛けをしてくる。方向性としては指揮者のシュルトと合致はしているのだが、シュルトに輪をかけての粘っこい演奏。さすがにシュルトも合わせるのに苦労しているように感じられた場面があった。なおこのような演奏に合わせてもボロボロにならないのは流石に京都市響と言えるかもしれない。なお岡田が一切の制約を外されたカデンツァとアンコールはもっと凄まじかったので、まだこれでも抑えているのだろう。

 ラインは予想通り、いきなり旋律を謳わせるし膨らませる。表現意欲に満ちた非常にロマンチックな演奏。時々ハッとするような美しさを感じさせる一方で、シューマン特有の構成の緩さのようなものも出てしまって、冗長で緩慢に感じさせる部分もある。良い意味でも悪い意味でも甘々の演奏で、やはり良くも悪くも若さが溢れている。

 総じて二人とも若さがやや暴走気味に感じられる部分があった。今後さらに経験を積んで良い意味でのしたたかさが出てきたら大化けする可能性は高そうだ。それに期待したい。