徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

「奇才 江戸絵画の冒険者たち」@ハルカス美術館&関西フィル定期演奏会

 この週末は大阪と京都でのコンサートの連チャンに出向くことにした。しかしながらまだまだコロナ禍は収まったと言える状況でないので今回も車での移動。これは例によって私の財布にジワジワとダメージを与えることになる。しかも身体の方も先月後半に発症した腰痛が完治していない状態。コルセットをはめて杖をつきながら歩くことは出来るものの、万全とはほど遠い。家で寝ときゃいいものを、そうは出来ない相変わらずの貧乏気質である(端的にいえばチケットが惜しい)。

 阪神高速を車をすっ飛ばし大阪に到着したのは昼過ぎ、今日は14時からザ・シンフォニーホールで関西フィルの定期演奏会である。だが大阪まで来たついでだからハルカスでの展覧会を見学しておきたい。MIOの駐車場に車を入れると地下伝いでハルカスへ。しかし駐車場はハルカスの一番東端ぐらいで、美術館は一番西端だから今の体調では結構嫌な距離を歩く羽目に。

 

「奇才 江戸絵画の冒険者たち」あべのハルカス美術館で11/8まで

 江戸時代には奇想の画家と呼ばれる個性的な画家が多く登場したが、そのような「奇才」を集めた展覧会。奇才といえば最近は専らこの人があがる伊藤若冲を始め、葛飾北斎、曽我蕭白、長沢芦雪など、以前に「奇想の画家展」で登場した辺りの定番画家を始めとして、さらにはそれよりは知名度は劣ってもインパクトでは負けないような画家の作品を集めている。

 会場正面をいきなり飾るのが小布施にある葛飾北斎による屋台絵。これから始まって曽我蕭白の強烈な「群仙図屏風」など各地の名品が集められている。伊藤若冲に関しては有名な鶏図の墨絵によるものを狩野山雪、円山応挙、池大雅といった個性はあるものの、奇才とまでいうほど強烈かというところにはやや疑問もある大家まで含めて蒼々たる作品が展示される。

 序盤では私が今まで知らなかった祇園井特の「デロリ」と表現される独特の美人画が非常にインパクトがあった。妙にリアルで妙におどろおどろしく、後の大正デカダンスに相通じる空気が既に江戸期にあったとは驚き。また中村芳中の犬の絵なんかは定番中の定番。

 さらに個人的には印象に残ったのは狩野一信の、まるで油絵を思わせるような濃厚な色彩で光の表現に独特のものを感じさせる五百羅漢図。これはかなり異彩を放っている。なおその流れで歌川国芳も登場。

 絵の技法として変わっているわけではないが、蠣崎波響の描いたアイヌの風俗の絵は興味を惹く。異国情緒溢れる衣装を実に綿密に描いており、この辺りは博物面で面白い。

 さらには河鍋暁斎のおどろおどろしい作品も登場しており、この辺りも漏れなく網羅してあるのはうれしいところである。しかも最後には絵金まで登場したのは私を驚喜させた。さすがに躍動感のある力強い画面には引きつけられるものがある。


 個性的な画家を集めた非常に中身の濃い展覧会であり実に堪能した。10/13からの後期では展示作を大幅に入れ替えるようなので、是非とも再訪したいところ。

 

 この時点で13時を回っていた。移動などで思ったよりも時間を費やしてしまったようだ。コンサートまでに昼食を摂りたかったのだが、その時間もないので高速を使ってホールに急ぐ。駐車場はAkippaで事前に確保していたのだが、この体調とあっては駐車場からホールまでの距離が恨めしい。

 ステージ上は今までよりは制限が緩和された模様で、関西フィルの12編成のオケが乗っかっている。ようやくまともなコンサートが出来るようになってきたのを感じる。

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ステージ上には12編成のオケが

 

関西フィルハーモニー管弦楽団第313回定期演奏会

[指揮]指揮:藤岡幸夫
[管弦楽]関西フィルハーモニー管弦楽団

メンデルスゾーン:交響曲 第5番 ニ長調 op.107 「宗教改革」
シューマン:交響曲 第4番 ニ短調 op.120

 メンデルスゾーンの音楽は指揮者の解釈によって、古典派の伝統を引き継いだやや古めかしい音楽から、ロマン派の走りである感情豊か音楽まで実に幅広く変化する。藤岡の解釈は明確に後者である。藤岡らしい熱のこもったかなりロマンティックな演奏を繰り広げた。全体的にアップテンポ気味で実にメリハリの強い演奏。藤岡がプレトークで「宗教改革」は名曲であるにもかかわらず、プログラムに入れるとまず集客を望めないと言っていたが、どうしてどうして確かに藤岡の熱い指揮にかかると、実にドラマチックで聞き所のある演奏である。第一楽章などはここまでドラマチックな演奏は初めて聞いた。

 第二楽章についてはもう少しかわいらしさがあっても良いかなという気もしたが、第三楽章から第四楽章にかけての壮大な盛り上がりはなかなかであり、終わってみるとこの曲自体をなかなかに見直すことになったこれは貴重な体験。

 関西フィルの演奏については、藤岡がややアップテンポ気味に煽り、アンサンブルの正確さよりも勢いとエネルギーを優先したということで、細かいところでは諸々の瑕疵もみられた。また全体的に金管が正面に出過ぎで、関西フィルの売りの一つである弦楽アンサンブルが奥に引っ込んだようなバランスの悪さもあり、アンサンブルの乱れから斉奏がやや耳障りに聞こえる局面もあり。まあ細かい難をパワーでカバーした印象。

 後半のシューマンも同じ傾向の演奏。こちらは元々押しも押されぬロマン派の曲だけに、それを徹底的にロマンティックに劇的に演奏している。その一方で、構成に甘さがあるとも言われているこの曲の構成がむしろ明確に見えてきたのは驚き。単に感情に溺れるのではなく、藤岡は結構計算した指揮を行っていたようである。

 トータルとしては、明確な難はあるのだがそれを凌ぐ大きな魅力もあった演奏であり、一言でいえば「熱演」である。実際になかなかに堪能できるものであったというところ。正直なところ私は藤岡の指揮についてはいささか侮っていたかなということも反省させられた。

 

 さて明日は京都でのコンサートなので、それに備えて今日は京都で宿泊するつもり、そして今日はまだ昼食を摂っていないことから、まずは腹ごしらえをしてから京都に向かうことにする。

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