徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

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白鷺館アニメ棟

霧島温泉の丸尾の滝などを見学してから、鹿児島山城攻略パート3

今日はまた鹿児島に戻る予定

 翌朝は6時半に目覚ましで叩き起こされた。さすがに疲労がかなり溜まっている模様でまた肩こりなどもある。とりあえずは朝食を取りにレストランへ。

 バイキング朝食はメニュー的にはまあまあ、品目的に少なくはないが多くもない。どうもこのホテルは風呂は良いのであるが、食事についてはもう一歩という感がある。まあコスト削減がまともに反映しているのだろう。もっとも、こちらもあまり高い宿泊料は出していないのであまり贅沢は言えないのだが。

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朝食バイキングは可もなく不可もなく

 朝食を取って戻ってくると、原稿執筆や一部記事のアップなどをしてから、大浴場へ入浴に行く。もうそろそろチェックアウトする客がいるし、朝食に行っている客も多いのか大浴場は貸し切り状態であった。今日はいささか寒いようなので、しっかりと体を温めておく。

 チェックアウトしたのは9時過ぎごろ。今日の予定はとりあえず鹿児島に戻るというだけ。その途中でいくつか山城を回るつもりである。わざわざ鹿児島に宿泊せずにそのまま帰ってもよさそうなものだが、実は明日の晩に大阪である大フィルの定期演奏会に行くつもりなので、それだと今日の夜遅くに家に帰って、明日は仕事をしてからまた大阪に出かけるということになり、どう考えてもこれはしんどすぎるということで、明日は一日休みを取って、明日の朝に神戸空港に戻ってから、夜に大フィルのコンサートに行こうと考えた次第。

 

 

千畳敷を見学

 立ち寄る山城は姶良周辺に固まっているが、とりあえずその前に昨日見学しなかった千畳敷の見学をしておく。道路脇から川筋に降りていく入口があり、足元は石で舗装してあるのだが、これが苔むしているせいでむしろ滑って危ない。特に降りる時が危険。どうも足腰が弱って頼りなくなってきているので、移動に慎重を要することに。

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道路脇の道を降りていくと

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丸尾の滝と千畳敷の表示が

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千畳敷へスベりやすい石段を注意して降りていく

 千畳敷は岩盤の上を水(でなくてここの場合は温泉の湯だが)が流れているという光景である。この湯が下流では丸尾の滝になっている。

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千畳敷

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この先は丸尾の滝につながっていく

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意外に急流

 

 

久しぶりに丸尾の滝も

 千畳敷を見学した後は、丸尾の滝に立ち寄る。実は丸尾の滝は以前に霧島温泉に来た時に見学しているのだが、改めてもう一度訪問すると、記憶にあるよりも巨大な滝で驚いた。どうも写真などがあっても、実際に自分の目で見ないと感覚は分からないし、記憶も怪しいものである。

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丸尾の滝

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やはり写真ではスケール感が分からない

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滝壺から湯の匂いが

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どこかの観光客が縮尺になってくれたので、大きさが分かりやすくなった

 

 

平山城と高尾城を見学

 これで霧島温泉を後にする。山岳地を突っ走ってひたすら鹿児島空港に向かって降りていき、鹿児島空港のところから九州道に乗ると姶良ICで降りる。最初に立ち寄るのは山上にある平山城。なおその途中に高尾城もあるという。

 山の方に向かって走っていくと、舗装された山道が続くのだが、これが「えっ?」と言いたくなるような道。道幅は車一台が一杯で、場所によって車が木の枝に触れてガサガサいう箇所も。とにかくもし正面から車が一台来たら万事休す。しかも最終的にUターンができる駐車場が上にあると考えているから走れるが、もし途中で倒木などで道が塞がれていて戻らないといけない羽目にでもなったらこれも万事休す。途中で転回できる場所など全くない上に、私のソリオはとにかく後ろが見にくい車なので、バックで戻ってくるなんてことになると死にそうである。

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比較的マシな部分でこの道幅

 というわけで冷や冷やドキドキで進むことになったが、とりあえず途中で高尾城の入り口を発見、その前にかろうじて一台停車は出来そうなことも確認、高尾城は帰路に立ち寄ることにして先に進むことにする。途中で分岐があったが、とりあえず右に進めと書いてあるみたいなのでそっちに進むと、ようやく神社の手前の駐車場に行き当たる。これでひとまずはホッとする。

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何とか山上の神社に到着した

 山上は神社になっていて、そこに城跡碑が立っている。城の規模が分からないのだが、この神社が城の一部だったことは確実なようで、実際に神社に向かって左手には明らかに堀切があるのが分かる。ただそれ以上は確認しようにも鬱蒼としていて、そこに分け入る気も起きない。

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結構立派な神社

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御神木の大銀杏

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その脇に城跡碑が

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確かに深い堀切があるよう

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神社の奥に立ち入ることはほぼ不可能

 

 

高尾城もついでに見学

 駐車場から引き返すと、今度は高尾城の方を見学する。一応は先ほどの平山城とは別の峰になるようである。ひたすら階段を登っていくことになるが、その脇に曲輪らしき削平地が複数存在する。山上の曲輪はかなり小さく、誰かの墓があるのみ。この城のゆかりの人物のものだろうか? とにかく山上の小曲輪を中心にした複数の曲輪からなるかなり小規模な城郭のようだ。

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高尾城の登り口(この脇に車一台辛うじて駐車可)

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ひたすら登っていくと

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山頂には誰かのお墓が

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周囲には小曲輪がありそう

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ここなど曲輪っぽいが・・・

 とにかく人の気配は全くないし、かといって誰かが下から車で登ってきたら万事休すだしということで落ち着かないことこの上ない。これはさっさと撤退するに限ると判断する。幸いにして下まで降りてくる間に対向車と出くわすことはなかったのである。

 何やら精神的に非常に疲れる城郭だった。次はここから比較的近い建昌城を訪問することにする。

 

 

建昌城はかなり整備されていた

 建昌城は案内看板も出ており、手前にはバリアフリー用のトイレまである駐車場が完備している。やけに至れり尽くせりだなと思ったら、建昌城の西の丸が今は貸農園になっているためのようである。その隣の曲輪が櫓の丸ということらしい。

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入口から案内あり

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正面の丘の上だ

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駐車場完備

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構造図

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看板の出ている西の丸は

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貸し農園となっている模様

 櫓の丸の隣にある高所の曲輪が本丸ということになるだろうと思われる。しかし二の丸以降の曲輪がどうも図面と合致しない。二の丸と思われる曲輪がそのまま境界なしに前の丸につながっているように見える。

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この奥の最高所が多分本丸だと思うが

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意外な高さのある本丸

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隣の二の丸?との間の堀切

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隣の曲輪はかなり大きい

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大きい曲輪を進んでいくと奥に土塁が見えてくる

 

 

ただどうも構造図と現地の構造が一致しないような・・・

 その向こうにはかなり立派な土塁や堀切があり、これがいわゆる大手口であろうと考えられる。

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明確に土塁があり

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その先にはかなり深い堀切

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恐らくこの先が大手口

 その向こうは胡麻ヶ城でその南に東の丸があるようなのだが、どうも微妙な位置関係が看板に書いてある図面と合致しない。

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多分左手が胡麻ヶ城で右手が東之丸

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鬱蒼とした胡麻ヶ城

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東之丸は下草が刈られている

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東之丸

 結局は城域全体を何度も回ってみたのだが、どうにも図面との整合がハッキリしなかった。どこかで私が根本的に認識を誤っている可能性もあるのだが、それも分からなかった。大体、この図に表示されている城跡標柱も見つけられなかったし・・・。

 ただとにかく大規模な城郭であり、見ごたえは十分にあった。まだどうも納得していない部分はあるが、それなりに堪能できる城郭ではあったのである。

 

 

平松城は小学校になっている

 次は平松城であるが、ここは跡地は小学校になってしまっていて、何となく城跡っぽい雰囲気が感じられるというだけ。

 

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かつての平松城は今は小学校

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立派な正門

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説明看板あり

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確かに雰囲気はあるが・・・

 

 

岩剣城は山容を見ただけで撤退する

 この脇に島津と激しい合戦を繰り広げたとされる岩剣城があるらしいのだが、その山を見た途端に絶句する。これは山というものではない。地面から突き出した巨大な岩である。こんなところをどうやって登れるのかは想像を絶しているのだが、とにかくあまりに異常な山容に圧倒されたのと、登山道があるらしい岩剣神社に近づこうにも道が狭すぎて車で進行するのが困難なようだったことから、岩剣城については撤退する。どうやら島津はこの城を攻め落としたらしいが、さすがにバーサーカー島津。やることが尋常でない。

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これを山といって良いのか?

 

 

鹿児島に戻る途中で思いがけず吉田麓に立ち寄ることに

 後は姶良ICから九州道に乗って鹿児島に移動するだけ・・・と思ったのだが、ぼーっと考え事をしていたせいで、入口を通り過ぎてしまう。慌ててどこかで回り込める道を探していたところ、先の信号に「吉田麓」という表記がある。これを見てピンときた。麓と言えば島津の城塞都市である。

 調べてみるとやはりビンゴ。昨日立ち寄った吉田松尾城周辺の武家屋敷があったらしい。とはいうものの今はほとんど何も残っていないとか。そんな中に縁鹿庵という蕎麦屋があるのでちょうど昼時なので立ち寄ることにする。

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緑鹿庵

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屋敷の中が店

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日本庭園付き

 天ぷらの板そばを注文する。そばは新そばを使用しているとのことで、口の中にそばの香りが広がり、しっかりと腰もある見事なそば。どうも今回の遠征ではそばで外しまくっていたのだが、ようやくにして本当のそばにありつくことができた。そうだよな、やっぱりそばはこうでないとと思わず頷いてしまう。

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鹿児島で初めて納得できるそばに遭遇した

 サクッと揚がった天ぷらも見事なもの。最後のそば湯まで満足していただいたのである。

 

 

よくよく考えるとこの一角が武家屋敷街の名残だった

 で、腹が膨れたところで頭が回ってきた。そう言えばこの店は、やけに立派な門構えで座敷からは庭園まで見える立派な屋敷なんだが、要はここが吉田麓の武家屋敷なのである。そう思って外に出てから改めてここの並びを見れば、隣は恐らく門は老朽化で撤去したのだと思われるが、造り自体は明らかに武家屋敷。その隣は建物はなくなって廃墟となっているが、土台の造りからここも武家屋敷だったことが分かる。

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確かにこの並びは武家屋敷だ

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一番手前は空き地になっているが面影あり

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その隣は門は撤去されたようだが、構えが武家屋敷

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そして緑鹿庵は疑う余地のない武家屋敷

 その隣に「興化寺跡の五輪塔」との表記があるので案内に従って進んでみると、廃校になった小学校の横の墓地に五輪塔が並んでいる。吉田氏ゆかりの地輪が発見されたことから、その霊をなぐさめるためにここに整備したとか。

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この案内に従って進んでみると

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廃校となった小学校にたどり着き

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その脇の墓地の中にこれが

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吉田氏ゆかりの五輪塔

 そもそもは道を間違ったことがきっかけだったが、思いがけないことで満足のいく昼食にあたると共に興味深いものを見学することができた。時にはこういうハッピーハプニングもあるものである。

 

 

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