徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

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白鷺館アニメ棟

今年初のザ・シンフォニーホールは関西フィルの定期演奏会

阪神高速は相変わらずの難所でした

 今月からコンサート巡りを再開したが、今までフェスティバルホール、京都コンサートホール、兵庫芸文、アクリエひめじと回っていたのでザ・シンフォニーホールは今年初めてということになる。前回は昨年12月の関西フィルの第九だが、今回も関西フィルの定期演奏会である。飯守によるブルックナーの珍曲。交響曲第00番と0番というカップリングである。なお私は00は聴いたことがないが、0番は以前に珍曲マニア下野指揮の京都市交響楽団で聴いている。

 大阪への移動は例によって車である。渋滞を警戒して仕事を早めに終えて駆けつけるが、案の定阪神高速は毎度の渋滞である。ただいつもは京橋出口を過ぎた辺りから車が流れ始めるのが常なのだが、今日はその先も延々と流れない。何があったんだと思っていたら西宮の手前辺りで車が中央分離帯に突き刺さっていた。それでなくても阪神高速は異常な過密だから、ちょっとしたことで接触事故につながりやすい。それにしてもこんな道路で高速料金ふんだくる道路公団はボッタクリもいいところである。

 ようやく大阪に到着したが、高速を降りた下道も渋滞で、車を駐車場に入れたのは開演1時間前ぐらい。今日は通常よりも早めに職場を出たんだが、こりゃ通常通りに出ていたから完全に遅刻だった。全くどうにかならんのか、この渋滞は。

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ホール到着は開場直前だった

 

 

将棋会館の老舗洋食店「イレブン」で夕食

 とりあえずコンサートの前に夕食を摂る必要がある。今回立ち寄ったのは将棋会館にある「イレブン」。棋士たちが対局の時によく出前を取ったりすることで知られている老舗洋食店である。そう言えば設備の老朽化に伴う将棋会館の高槻への移転が決定されたとのことで、この店も移転するとの話のようだが、果たしてどこに移転するのかは不明である。この近くなら今後も立ち寄れるが、もし高槻に行ってしまったら二度と立ち寄ることもないだろう。

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将棋会館にある「イレブン」

 今回注文したのは「ビフカツ」。これは単品だからライスを付ける必要があるが、そこでライスでなく「バターライスセット」を付けることにする(計2350円)。聞くところによると藤井聡太竜王の好物だとか。

 単品ビフカツとバターライスセットの双方にサラダが付いているせいか、いきなり野菜サラダとマカロニサラダの2つのサラダが出てくる。このマカロニサラダがなかなか美味い。

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Wサラダ登場

 次にカップスープが登場。普通のコーンポタージュのようだがこれもなかなか。

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カップスープ

 

 

 まずはビフカツが登場。肉はそう大きくはないのだが、揚がり具合がレアすぎないミディアムという絶妙なところ。最近はレアカツが流行だが、私はあまりにレアすぎるカツはカツとしての一体感に難点が出ると考えているので、このぐらいの揚げ具合が最適と言うのが私のビフカツ理論。関西でカツと言った場合のスタンダードなカツである。また自家製デミグラスソースが合う。

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ビフカツ

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見事なミディアム

 ビフカツに続いてバターライス登場。洋風海老炒飯といった趣。よく喫茶店などであるピラフではなく、明らかに炒飯である。しっかりと炒めてある。これがまた絶妙に美味い。藤井聡太竜王が魅了されたのも分かる。

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炒飯を連想するバターライス

 久々に夕食をしっかりと満足して堪能できたところでホールに向かうことにする。もう既に開場時刻を過ぎているので、ホールにはゾロゾロと入場中。なお今回はマニアックすぎるプログラムが祟ってか、会員席及び2階席などに空席も多く、全体の入りはせいぜい5割といったところ。

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夕闇迫りつつある中をホールに向かう

 

 

関西フィルハーモニー管弦楽団 第326回定期演奏会

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久しぶりのザ・シンフォニーホール

[指揮]飯守泰次郎
[管弦楽]関西フィルハーモニー管弦楽団

~飯守のブルックナー・ツィクルス第10回(最終回)~
ブルックナー:交響曲 第00番 ヘ短調
ブルックナー:交響曲 第0番 ニ短調

 交響曲第00番はブルックナーの若き頃の習作のようである。若い頃の作品は後に黒歴史として処分したブルックナーだが、なぜかこの作品だけは残っていたらしい。何かの思い入れがあったのか、自信があったのか。

 さて曲自体はハッキリ言って若気の至りであり、まだブルックナーらしい節回しなどがあまり感じられず、古典的な印象が強く、第一楽章などはメンデルスゾーン辺りに聞こえる部分もある。よく聴いていると後のブルックナーにつながるところも皆無ではないのだが、やはりそれよりは良くも悪くも若さが正面に溢れた曲である。

 一方の0番はこれも番外なのだが、従来は1番の前に作られた習作とされていたのが、その後の研究によると実は1番よりも後に作曲されたっぽいということになったらしい。この曲は最初に試演した時に指揮者からの評価が低かったために、楽譜に「無効」と記してお蔵入りにしてしまったらしい。極度に他人の評価を気にするブルックナーらしいところである。ただ「無効」にも関わらず、なぜか破棄されずに後に博物館に贈呈したそうだから、本音ではそんなに失敗作とは思っていなかったのかもしれない。

 なおこの曲は先ほどの00番とは違って明らかにブルックナー節のようなものが随所に見られて、それなりに面白い曲ではある(間違いなく完成度は00番よりも高い)。もっともブルックナーがそれほど得意ではない私からすれば「既にこの頃からやけに長いな」となるのであるが。

 飯守の演奏であるが、メリハリを効かせたややアップ気味のグイグイ来る演奏で、関西フィルもかなり元気にバリバリと鳴らしていた。そのために色彩のハッキリとしたパワーのある演奏で、私のようにブルックナーがあまり得意でない者にとっては、眠気を防ぐのに最適の演奏となっていた(それでも00番は少々眠かったのだが)。

 関西フィルの金管陣はところどころ危なっかしい場面もなくはなかったが、とりあえず大過なくまとまったという印象。それに合わせて弦楽陣もなかなか粘っこい演奏をしていた。全体を通して冴えのあるまずまずの演奏であったと感じる。


 ところで演奏自体は若きブルックナーそのままの若々しさを感じさせるものだったのだが、それに反して飯守が足許がかなり覚束なくなっているのに驚かされた。指揮もほとんど座って行っていたのだが、椅子から立ち上がるのもやっとな感じで、指揮台から降りる時にはコンマスの岩谷に介助されているような状態。しかも0番終了後に満場の拍手に答えて舞台袖から再び登場したのは良かったのだが、そこでよろけて転倒してしまうという冷やっとする場面もあり、その後はスタッフに支えられて車椅子で退場した模様。飯守も御年81才とのことだから仕方ないのかもしれないが、最近も急病で急遽休演になったりなど、体調が懸念されるところである。