週末遠征はまずは関西フィルから
この週末の三連休は関西オケのコンサートの四連チャンである。まず初日は関西フィルから。仕事を早めに終えると車を飛ばして大阪に急行。例によって京橋手前辺りから長大な渋滞。三連休前の週末のせいか、いつもよりも車列が長くて通過するのに想定よりも時間を要し、駐車場に車を入れた時には開演1時間を切っている状態。とりあえず慌てていつもの「福島やまがそば」に飛び込んで「そばセット(880円)」を注文する。
天ぷらそばとおにぎりのセット。かなり空腹がひどかったので空きっ腹に染みる。それにしてもこのホールに来るといつもこのそばだ。たまには別のメニューも注文するべきだろうな。
そばをかきこんでホールに入場した時には開演30分を切っていた。マニアックな選曲も影響しているのか、今回は比較的空席も目立つ。なお台風の影響でリハーサル時間が不足したために、ヘルツォークからの申し出で一曲目のシュミットの「ノートル・ダム」はカットされることがアナウンスされる。どうやらヘルツォークという指揮者はかなり完璧主義者のようである。
関西フィルハーモニー管弦楽団 第331回定期演奏会
[指揮]マテュー・ヘルツォーク
[ヴァイオリン]オーギュスタン・デュメイ
[管弦楽]関西フィルハーモニー管弦楽団
スメタナ:交響詩「ボヘミアの森と草原より」
バルトーク:ヴァイオリン協奏曲 第1番 Sz.36
シマノフスキ:交響曲 第2番 変ロ長調 op.19
一曲目のスメタナは有名なモルダウではなくて、あえて第4曲の「ボヘミアの森と草原から」。わが祖国を通しで聞いたことは何度かあるが、あえてこの曲だけを聞くということは初めてである。
演奏は初っ端からガンガンかましてくるので驚かされる。日頃の関西フィルサウンドからすればやや暴走気味に思えるぐらいの熱量である。14型の3管編成に増員しての効果も感じられるが、それ以上にヘルツォークがそこからパワーを引き出している。しかも各セクションの細かいバランスにまで睨みを利かしているのが感じられ、なるほどこの人物、完璧主義者というのも頷けるところ。関西フィルのポテンシャルの最大値+アルファを引き出そうという姿勢が感じられる。もっともそれだけに危なっかしい場面もないではなかった。
バルトークはデュメイの妙技の一言。ヴァイオリンソロを中心にオケを重ねる曲だけに、デュメイの演奏がすべて。それが流石と言うかすごい音色を出してくる。単なる美しさとかそういう次元ではない深さのある音色である。もうそれだけで魅了されてしまう。久々にデュメイマジック全開という印象。つくづく「すごい音色を出すな」と感心させられる。デュメイの音色はやや癖があって、単純な美しいとは違う一種の濁りのようなものがあるのだが、それが深味に通じている感がある。今まで何度か漠然とイメージはしていたものの、やはり一筋縄ではいかない巨匠である。また曲自体もバルトークにしては素直で聞きやすい曲という印象。それだけにデュメイのソロが前面に浮き上がってくる。今回はデュメイの巨匠芸をとことん堪能させられることになった。
休憩後の後半はシマノフスキというこれまたマイナープロ。正直なところ私もシマノフスキを耳にするのは初体験である。正直なところ近代が入った奇怪な曲を警戒していたのであるが、思っていたよりは「普通」の曲であった。
ヘルツォークの演奏は、基本的に一曲目と同じで、かなりの熱量を持ちつつ細かい構成までも目を配っているかなり細心な演奏である。それだけにこの曲の構成が分かりやすい感があり、初めての曲であるが聞いている側が迷うことはない。
関西フィルのアンサンブルも一曲目よりはさらに一段精度が上昇しているように感じられたことから、ヘルツォークはかなりこの曲に力点を置いてリハを実行したのではという気もした。演奏技術的なことに云々する資格は皆無の私であるが、恐らくなかなかの難曲であるだろうと思われる。また難曲と言うのは奏者にのみでなく、指揮者においても錯綜するメロディを交通整理して的確にリードするのはなかなか困難な作業だと思われる。しかしその作業をこの指揮者は(見た限りにおいては)こともなげにこなしてしまうのである。
結果として煌びやかで華々しくも美しいという演奏であり、私が全く注目していなかったシマノフスキという作曲家も存在するということを刻み付けてくれたのである。
コンサートを終えると新今宮で宿泊
これでこの日のコンサートは終了。今日の宿泊ホテルに向かうことにする。今日宿泊するのは先週にも利用した新今宮のホテルみかど。
部屋は先週の時とは別の部屋になっているので構造は少々違うが構成は全く同じである。とりあえずモバイルワーク環境を構築するとしばし原稿入力。というものの、やはり仕事の後に大阪まで駆け付けたので疲労が強くて頭があまり回らない。そうこうしているうちに大浴場の男子番の時間が来たので入浴に行く。
大きな風呂で手足を伸ばしてゆったりと疲れを抜いて体を温めて帰ってくると、いよいよグダグダになって原稿執筆どころでない。この日は諦めてそのまま就寝するのである。
この遠征の翌日の記事