徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

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白鷺館アニメ棟

アクロス福岡の九州交響楽団の復活は大盛り上がり

嬉野温泉から福岡へ移動

 この日は爆睡したようで、翌朝は6時半に自然に目が覚める。起床するとまずは入浴。朝から温かい湯が実に心地よい。やっぱり朝は一番に体を温めるのが調子が良いようである。なんかかなり久しぶりに「リフレッシュ」という感覚がある。

朝の嬉野温泉

 朝風呂からあがってマッタリすると朝食へ。朝から和食が心地よい。嬉野温泉らしく温泉水を使ったトロトロの湯豆腐付き。朝から食が進むので思わずお代わり。

和定食の朝食、美味し

嬉野温泉と言えばトロトロの湯豆腐

 さて今日の予定だが、博多で開催される九州交響楽団のコンサートに行くのが目的。会場はアクロス福岡で15時開演である。今日は博多で宿泊するつもりで、万葉倶楽部を予約している。

 

 

万葉倶楽部に到着する

 とりあえず9時頃にホテルをチェックアウトすると博多まで突っ走る。万葉倶楽部には1時間ちょっとで到着。宿泊予約をしていると10時からチェックインできるのでその手続きをしてしまう。ちなみに部屋に入れるのは15時からなので荷物は車に置いたまま。

万葉倶楽部福岡

 チェックインすると浴場で軽く汗を流すことにする。浴場には武雄温泉の浴槽と湯布院温泉の浴槽があり、湯布院温泉の浴槽の方が半露天になっている。半露天の浴槽でサッパリと汗を流す。

この施設はこのようなトラックで運び湯をしている

 風呂からあがると驚いたのは、昨日に嬉野温泉で入浴しまくった影響か、体に撥水性の被膜でもできたかの雰囲気でやけに水はじきが良くなっていること。それこそ犬のように体をブルっと振るったらタオルがいらないんではないかというような状況。以前から泉質によってはこういう現象が起こることは何度か体験してはいるが。

 軽く入浴を済ませたところで外出することにする。ここで車で外出すると博多の市街では何かと駐車場代が高い。だから車はここに置いたまま、万葉倶楽部の送迎バスで移動することにする。これを織り込んで今回はわざわざ先乗りした次第。毎時15分に万葉倶楽部→博多駅(降車のみ)→天神(これがアクロス福岡の最寄り)→中洲川端→博多駅(乗車のみ)→万葉倶楽部というコースで1時間で巡回している。このバスを利用して私は中洲川端で降車する。天神でなくてあえて中洲川端なのは目的があってこそ。ここの最寄りの福岡アジア美術館を訪問しようという考えである。せっかく博多くんだりまで来たんだから現地の美術館を見学してやろうと思っていたのだが、時期悪くちょうど展示の入れ替え時期とかだったので、残ったのはここだけだったというのが本当のところだが。

 美術館は大きなビルの7階にある。直通エレベーターが出ている。正直なところ出し物をほとんど知らない状態で訪問したのだが、どうやら面白そうなイラスト展をしているのでそれに入場することにする。

福岡アジア美術館

 

 

「入江明日香展 時空の旅人」福岡アジア美術館で10/9まで

イラスト的である

 多摩美大出身の入江明日香の作品を展示。入江は版画家ということで銅版画の繊細な線を活かした幻想的な作品を制作している。何度もパリを訪れてパリを題材にした作品なども制作している。

こちらはパリで

こちらは日本

 その一方で日本的なものをモチーフにした作品も描いており、四天王を題材にした作品が展示されている。

持国天

増長天

広目天

多聞天

 

 

 さらに日本の侍をイメージした作品が本展の表題作ともなっている。

杜若、サムライのイメージらしい

白い森

 しかしこのコロナ禍でパリと日本の行き来もできなくなり、その思いも作品に反映している。

パリ

そして東京

 銅版画であるのだが、最近流行のイラストのイメージも強い。正直なところ私は初見では天野喜孝を連想したのだが、天野の線はやや恐ろし気なところがあるのに対し、入江の線は銅版画の精細さを活かした繊細で優しい線であり、その辺りが最終的な作品に反映している。入江が描いている人物は植物などと融合したキマイラ的なものであり、下手するとモンスターに見えかねないのだが、それが幻想的な美しさになっているのは彼女の作風ならではだろう。

 

 通りすがりに入場しただけなのだが、期待以上に面白かった。次に本展の半券で入場できる隣のアジア展へ。

 

 

「エモーショナルアジア/インド近代絵画の精華」福岡アジア美術館で12/25まで

 アジアだから特にどうこうというよりも、今どきの現代アート展という趣が強いが、そこに微妙にアジア各地の状況が反映しているという印象。

 マレーシア出身のリュウ・クンユウの作品は中国の伝統的なモチーフと高層ビルを組み合わせることで、中国による都市開発を皮肉っているのだという。

お祝いの額

 韓国のイー・ブルによる作品はいかにも今時感のある作品。

さなぎ

 インドネシアのムハマッド・ユスフの力強い作品は現代文明の押し寄せる中での伝統との折り合いの困難さを感じさせるところがある。

三部作

 

 

 同じくインドネシアのジョンペット・クスウィダナントの作品は、多民族で複雑なこの国の歴史を象徴しているのだとか。

ロングマーチ・ジャワ

 タイのマニット・シーワニットプーンの作品は、有名な報道写真をモチーフにしてタイの現在の政治や急速に発展する消費文化などを風刺しているのだという。確かに元ネタはヴェトナム戦争などの現状を象徴した報道写真で、私も見覚えがある。

この無血戦争

 隣の会場では続いてインドの近代絵画だったのだが、こちらは正直なところあまりインパクトのある作品はなかった。

 以上、アジアの美術について。こちらも予想外に面白かったかなというところ。芸術的にどうかはともかくパワーは感じる。

会場でウネウネ動いていたナゾの化け物。なんかReゼロで見たことがある気がする

 

 

昼食にラーメンを摂るとホールへ

 美術館の見学を終えるとアクロス福岡方面に向けてブラブラ歩きながら、昼食を摂る店を探す。しかしそもそもあてがあるわけではない。たまたまビルの地下で見かけた「維櫻」というラーメン屋で「海老豚骨ラーメン(850円)」を注文する。

地下の「維櫻」

 ラーメンが出てきた途端に桜エビの匂いがプンと立ち上る。桜エビが好きな人間ならたまらないかもしれないが、そうでもない私の場合はいささかの生臭さを感じる。

豚骨エピラーメン

 豚骨ラーメンだとまさに掃いて捨てるぐらいあるから、個性化のためのアレンジだろうと思われる。確かに桜エビの香ばしさは加わっていていささか変化球の印象は受けるが、問題は桜エビの雑味まで加わってしまうところ。やはり乾物系があまり得意ではない私にとってはこの雑味はいささか煩わしい。

豚骨ラーメンとしては麺はやや太めか

 と言うわけで客を選ぶメニューという気がした。ツボにはまる者もいるかもしれないが、万人受けは難しいかも。まあ個性とは言えるからその点では正解なんだろうが。

 

 

改装なったアクロス福岡

 昼食を終えるとアクロス福岡へ。開場前から当日券を求める大行列が出来ている。なかなかの盛り上がりになっているようである。ほぼ満席に近い入りになっている。

北から見たアクロス福岡は超近代ビル

屋上緑化で南から見ると里山のように見える

ホールは改装直後

 アクロス福岡はこの度、改装工事が終わっての新装開店の模様。と言われても、以前に2回ほどしかここを訪れたことがないのでどこがどう変わったかは分からない。シューズボックス型の綺麗なホールである。

シューズボックス型のホール

何となく綺麗になった気はする

 

 

九州交響楽団 第407回定期演奏会

指揮 : 小泉和裕
ソプラノ : 安井 陽子
アルト : 福原 寿美枝
合唱 : 九響合唱団他

マーラー/交響曲 第2番 ハ短調「復活」

 「復活」と言えば、つい先日にアクセルロッド指揮の京響の演奏を聴いたところであるが、全体を通しての設計を考えて第1楽章はやや抑え気味で演奏していたアクセルロッドと違い、小泉は最初からまさにブイブイと行く。そもそも九州交響楽団も細かいコントロールよりも元気が先行するようなところのあるオケである。16編成超拡大編成になっていることもあって、勢いもパワーもかなりのもの。ここまで拡大したら統制の方が心配になるのだが、それについても問題なくまさに一丸となって小泉の指揮のもとに驀進という印象の演奏である。小泉もいつになく背筋が伸びている印象で相当に力が入っている。おかげて緊迫感というよりは、朗々とした非常に雄々しい「復活」という印象。これはこれでなかなかに良い。

 第一楽章でかなりぶちかましすぎたこともあるので、そうなるとバランスが難しくなるのが第二楽章以降の小楽章。下手すると緊張感が切れかけない危険性があるのであるが、小泉と九州交響楽団はそれをギリギリのところで保っている印象である。力強く歌い上げた第一楽章と対照的にこれらの楽章は美しさを出してくる。

 ここで目立ったのは福原の歌唱。力強くも美しいというところでなかなかの貫禄。下手したら弛緩しかねない音楽をピシッと引き締めてくれる。こういうところはさすがの実力者。

 そして最終楽章であるが、小泉は綺麗にまとめてきたというところ。この楽章もフィナーレに向けて徐々に盛り上げていくのだが、そこのところは良く設計されている。後半の合唱が加わってくるところなどはなかなかに荘厳にして感動的。九州合唱団を核にした混成編成らしき合唱団には完璧なまとまりはやや欠く部分がないでもないが、破綻に結びつくような問題はない。そのまま、合唱とオケが一体となった感動的なグランドフィナーレへ。

 場内はかなりの盛り上がりとなっていた。図らずしも「復活」の連荘という雰囲気になったが、やはり総合力ではアクセルロッド+京響に軍配の上がるところだったが、九州交響楽団がかなり力を入れてきた第1楽章単独だけで見るとその迫力と感動は上回ったかも(京響の第1楽章は、全曲終了してから「ああ、なるほど」と納得したが、あの時点では「イマイチ不完全燃焼だな」というのが本音だった)。

 

 

この日は早々にダウンしてしまう

 コンサートを終えると夕食のためにホールの地下の飲食店を訪問するが、空席があるにも関わらず「表で待ってくれ」と言われる。コロナの影響で空席を作っているのだろうか? それはともかくとしてよく見てみるとどの客もこれから注文という様子(つまりいずれもホールからの客か)。これだと表で待ってくれと言われてもザクっと1時間は待たされるのは確実な模様。これなら「すみません、満席です」と言われる方がマシである。「ふざけるな!」と頭にきたからさっさと後にしてもう万葉倶楽部に戻ってしまうことにする。博多の店は分からないし、そもそもこの周辺には店が見当たらないし、そこらの居酒屋を見つけて入るぐらいなら、いっそ万葉倶楽部でも変わらないだろうという判断。それにそもそも店を探してウロウロする体力がもう今はない。

 しばらく待つとバスが来るのでそれに乗車。万葉倶楽部に戻ると部屋のカギをもらって入室。とりあえずレストランへ夕食に。間に合わせでカツ丼を頼んだが、いかにも間に合わせになってしまった。正直なところ味はイマイチ。

夕食はカツ丼

 夕食を終えると浴場で入浴してゆったりと体を温める。入浴して部屋に戻ってくると・・・そこで力尽きてしまった。さっさと布団を敷くとその上にゴロン。気が付くとそのまま意識を失っていた。この日の就寝はよく覚えていないが、まだ9時になっていなかったと思う。

部屋は和室

個別空調完備


 

 

この遠征の翌日の記事

www.ksagi.work

この遠征の前日の記事

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