徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

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白鷺館アニメ棟

久しぶりのMETライブビューイングはジョルダーノの「フェドーラ」

いざ神戸の劇場へ

 この週末はMETライブビューイングに出かけることにした。今回の演目はMET今期第4作目になる「フェドーラ」

 日曜の朝に起床するとただちに神戸の劇場に向かうことに。何しろ阪神高速は時間が読めないので早めに行動する必要がある。しかし今回は今まであり得ないことに・・・阪神高速が全く渋滞なしにすんなりと神戸に到着したのである。早めに行動したおかげで時間に余裕があるので、京橋SAに立ち寄ってそこで朝食を摂ることにする。

京橋SAの中華店に立ち寄る

 東行きSAには中華屋があるので、そこでラーメンと半炒飯のセット(920円)を頂く。まあ例によって可もなく不可もなくというところ。腹が減っているのでガッツリとした朝食である。

ラーメンと半炒飯

 

 

 朝食を終えるとakippaで予約した駐車場に車を入れて、国際会館に向かう。いつもはもっと映画館に近いところの駐車場を取るのだが、そこだと料金が高いので少し離れた200円安い駐車場に車を置いて数分歩く。かったるいと言えばかったるいのだが、例えばこの距離を往復するだけで200円もらえるような仕事はないわけだから、それを考えると悪くはないかもしれない。それにコロナ以降、とんでもないレベルで運動不足になって、それが覿面に健康状態にも反映しているだけに。

劇場まで歩く

劇場に到着

 劇場に到着した時はまだ入場時間までやや余裕あり。隣の空中庭園でしばしボンヤリとする。都会のオアシスとでも言うべきなのか知らないが、正直なところどうも公園としては「わざとらしさ」を感じてしまうのは仕方ないところ。ところでここの入口に「ガーデン」と書いてあるのを見る度に「ガッテン」と見間違えて仕方ないんだが。あれも老舗のなかなかの番組だったのに、知らない間に打ち切りになってしまった。どうやら後継は石原さとみが出ている某番組のようだが、1度見てみるとあまりに内容の造りが下品すぎて見る気がしなかった。番組をリニューアルする度にレベルが落ちていく末期症状のNHK。

どうもこのガーデンがガッテンに見えて仕方ないのだが

都会のオアシス

 しばしボンヤリしている内に開場時刻となるので劇場に入場する。観客は10人ちょっと程度。

 

 

METライブビューイニング ジョルダーノ「フェドーラ」

指揮:マルコ・アルミリアート
演出:デイヴィッド・マクヴィカー
出演:ソニア・ヨンチェヴァ、ピョートル・ベチャワ、ローザ・フェオラ、ルーカス・ミーチェム

 今回はMETでは四半世紀ぶりの上演というフェドーラ。主演のソプラノにとってハードと言われるこの演目をS.ヨンチェヴァという抜群の歌手を得て上演。そもそもこの作品はサラ・ベルナールのために書かれた戯曲だとのことで(そう言えばサラ・ベルナールの「フェドーラ」のミュシャのポスターを見たような気がする)、情熱的で堂々たる皇女フェドーラが印象に残る作品であるが、いかにもサラ・ベルナールに合いそうな気がする。

 これにジョルダーノがいかにもイタリアオペラらしい美しい音楽をつけたのだが、それがソプラノに対しては超高音から低音までを求めるというソプラノ殺しの音楽になってしまったという。しかしさすがのヨンチェヴァはそういう困難さは微塵とも感じさせずに堂々たる歌いっぷりである。テノールのベチャワとの美しい掛け合いでイタリアオペラを思い切り堪能させてくれる。

 ヒロインは狂おしいほどに愛情深い女性であり、それが故に婚約者殺しの犯人を追いかけてパリにまでやって来て、ロリスから真相を聞かされることで憎悪が愛情に反転して彼と恋に落ち、それが故に最後は自ら彼の許しを請うために自害するというかなりエキセントリックな行動を取ってしまうのであるが、そのような情熱的な女性をあますところなくタップリと描ききったヨンチェヴァはさすがである。

 一方、やや振り回された感のあるロリスを演じたベチャワは、やや直情的で純粋なこの若者を見事に演じきって、甘美なテノールで観客を酔わせている。またやや軽快な音楽となる二幕目のパリのシーンで、コメディリリーフであるオルガとして活躍したフェオラも実に見事であった。

 演出も非常に手堅く、3つの舞台のそれぞれの音楽の雰囲気に合わせた舞台設定など非常に練り込んでいたことが覗われた。この辺りはさすがにMETの総合力の高さである。


 久しぶりのMETライブビューイングだったがなかなかに堪能した。やっぱり私はイタリア系オペラと相性が良いようである。今回なんかも歌手がヤンヤン歌うタイプなので、かなり堪能したというのが実際のところ。満足して家路についたのである。